バズ・ラーマン監督「エルヴィスを介して、1950年代、60年代、70年代のアメリカを描きたいと思いました」 映画『エルヴィス』【インタビュー】

2022年7月1日 / 12:00

-エルヴィスを演じたオースティン・バトラーも、アフター・エルヴィスの世代に属するわけですよね。

 実はオースティンとエルヴィスにはつながりがありました。2人は同じ年齢の時にお母さんを亡くしています。そして、2人ともお母さんが死ぬ悪夢を何度も見たそうです。だからオースティンは、エルヴィスとの運命的なつながりを感じていたようです。それで、彼はものすごくエルヴィスのことを研究していました。彼は初めに私にビデオテープを送ってくれたのですが、それは特にオーディション用というわけではなく、彼が普通に歌を歌っているところが映っていました。でも、それを見たときに、私はオースティンがエルヴィスと同じ感性や魂を持っていると感じました。

-悪役のパーカー大佐役に、ハリウッドの良心ともいわれるトム・ハンクスを起用した理由は?

 俳優は、いつも「もっと幅広い役柄を演じたい」と思っています。もしトムが楽器だとしたら、今までわれわれが聴いてきた音楽以上のものを、彼は表現できると思います。「今回は、ダークなものを演じたい」というのが彼の希望でした。アメリカの観客はそんなトムを見て不安になるらしいです。例えば、自分が大好きな、人のいい親戚のおじさんが、急に悪い人になったような気分になるようです(笑)。

(取材・文/田中雄二)

バズ・ラーマン監督(左)とオースティン・バトラー

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

二宮和也「子どもたちの映画館デビューに持ってこいの作品です」『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』【インタビュー】

映画2025年5月17日

-役作りをする上で気を付けたことはありましたか。  気を付けたことで言うと、子どもたちがメインで見るので、物語の展開もそうですけど、スピード感みたいなものは割と気を付けていました。あとは、「こうやって言ったら分かるよね」というような、押し付 … 続きを読む

【週末映画コラム】異色ホラーを2本 デミ・ムーアがそこまでやるか…『サブスタンス』/現代性を持った古典の映画化『ノスフェラトゥ』

映画2025年5月16日

『ノスフェラトゥ』(5月16日公開)  1838年。不動産業者のトーマス・ハッター(ニコラス・ホルト)は、自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵(ビル・スカルスガルド)のもとへ向かう。  トーマスの不在中、彼の新妻エレン(リリー=ロー … 続きを読む

新原泰佑、世界初ミュージカル化「梨泰院クラス」に挑む「これは1つの総合芸術」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月16日

-ドラマ化が大ヒットを記録したこの作品をミュージカル化することにはどのような思いがありますか。  この作品をミュージカルにするのは、すごくハードルが高いのではないかと思ったので、驚きました。ストレートプレーで上演した方が、もっとダイレクトに … 続きを読む

グレッグ・ターザン・デイビス「とにかく、ただ純粋に面白い映画を撮ることだけが、自分たちに与えられたミッションでした」『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』【インタビュー】

映画2025年5月15日

-クリストファー・マッカリー監督の印象は?  今や彼は自分のおじさんのような存在なので「マッカリーおじさん」みたいな呼び方をしていますが、自分にとっては先生ですね。彼は演出だけではなくて指導力もとても優れています。自分が恵まれていると思うの … 続きを読む

研ナオコ、認知症のおばあちゃん役で9年ぶりの映画主演「主演女優賞を狙ってます(笑)」岡﨑育之介監督「研さんの人生の奥行きがにじみ出た」『うぉっしゅ』【インタビュー】

映画2025年5月12日

ーところで本作は、研さんの9年ぶりの映画主演作だそうですね。 研 そういうことは全く頭になかったです。「何周年記念のお祝い」みたいなことがあまり好きではないんです。「何年やったからといって、何が偉いの?」と思ってしまって。自分が人間的に成長 … 続きを読む

Willfriends

page top