【インタビュー】『太陽とボレロ』石丸幹二「水谷豊監督は、まるで太陽のような存在で、この映画のタイトルはまさに水谷さんのことではないかと思いました」

2022年6月2日 / 12:00

-鶴間は楽団の世話役的な役柄でしたが、演奏者の方を演じてみたかったのではないですか。

 最初にこの話を伺ったときは、「わー、オーケストラプレーヤーになれるかも」と早合点をして、「だったらこの楽器がやりたい」という気持ちが湧き上がってきたのですが、水谷さんは「石丸にはオーケストラをバックアップする役をやってもらおう」と思っていたようです。「そうかあ…」と思いました(笑)。でも、逆にそういう役の方が、人間っぽさが出るのかなと。面白いかもしれないと思いました。そして、檀れいさん演じる理子と一緒に楽団を支える役どころだと伺って、檀さんとは何度もご一緒して、気心の知れた仲なので、面白いものになるだろうと。それで、楽器を吹きたいという思いは収めました(笑)。でも、サックスを吹かせてもらい、より長く一人で演奏できたのでよかったです。

-テレビの「題名のない音楽会」の司会もしていますが、クラシック音楽に対する思いを聞かせてください。

 クラシック音楽は、何百年もの時代を経て残っている名曲です。だから美術品でいえば骨董(こっとう)品みたいなものです。今回は、水谷さんがとてもすてきな曲を選ばれました。映画を通して浴びることで、クラシックの良さを再発見してもらえると思うし、クラシックに触れてこなかった方にも、こうして人間ドラマが付くと、面白いものだと思っていただけるのではないかと思います。

-では、最後に映画のみどころ、アピールポイントなど、観客に向けて一言お願いします。

 この映画の中には、さまざまな人間模様が描かれていますが、その背景には一貫して自然が描かれています。ロケ地である松本や軽井沢の風景もふんだんに入っていて、旅行をしたような気分にもなれます。音楽も聴けて、一粒で二度おいしいみたいな楽しみ方ができる映画になっています。演奏シーンは誰も吹き替えをしていないので、リアルな演奏が聴けますし、彼らの前で指揮棒を振る水谷さんの姿も必見です。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2022「太陽とボレロ」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

-実際に福士さんと共演してみていかがでしたか。  とてもすてきな方で、待ち時間にちょっとお話できたんですけど、すごく温厚な方でした。お芝居に関してはすごく真面目でストイックで、「このせりふはこうやって言ってみるのもありかも」というような優し … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

-ご自宅でも絵の練習をされたそうですね。  台本が来るたびに絵を担当するチームとの打ち合わせがあり、練習用の絵が並んだ計算ドリルのようなプリントを数十枚いただくので、それを自宅に持ち帰り、宿題のように繰り返し描いて練習していました。 -歌麿 … 続きを読む

「べらぼう」ついに完結! 蔦重、治済の最期はいかに生まれたか?「横浜流星さんは、肉体的にも作り込んで」演出家が明かす最終回の舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月14日

-治済役が大きな話題となった生田さんについて、撮影を通じて感じた俳優としての魅力を教えてください。  生田さんで印象に残っているのが、何事にも動じないことです。常に泰然自若として、変なクセを出さない。ある意味、視聴者に想像させるようなキャラ … 続きを読む

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

Willfriends

page top