【インタビュー】映画『子供はわかってあげない』沖田修一監督「今回は、青春映画を真正面からやったという感じです」

2022年2月25日 / 12:00

-「人は教わったことなら人に教えられる」「誰かに教わったことを、また誰かに教えて、そうやって世の中はできているんだな」など、印象に残るせりふが多かったのですが、これは原作からの引用ですか、それともオリジナルでしょうか。

 基本的には、原作にはないせりふを映画でやりたいと思って、脚本家のふじきみつ彦さんに書いてもらいました。ただ、今挙げられたせりふは全部田島さんのものです(笑)。田島さんの原作は印象に残る言葉が多いので、原作が好きな方は「この言葉がないのか」とか、そういう見方をするかもしれないぐらい、強いワードが出てくる原作でした。僕も「人は教わったことなら人に教えられる」は本当にそうだと思うし、映画でも出したいと思う言葉でした。

-では、今回はふじきさんに助けられたところもあったのでしょうか。

 一緒に仕事をするのは初めてでしたが、ふじきさんは、シティボーイズさんのコントも書いていらして、僕もシティボーイズが好きで、コントを見て面白いと思っていたので、何となく気持ちは分かってもらえるだろうと。しかも、原作の田島さんもシティボーイズが好きで、原作の中にもちよいちょいシティボーイズが出てくるんです。好みが一緒なのだから、ふじきさんには、もう好きに書いてもらおうと。シティボーイズでつながったんです。僕の映画に必ずきたろうさんが出てくるのもそういうことです(笑)。

-この映画は、これまで監督が撮ってきた映画の中で、どういう位置づけになるのでしょうか。

 一本、一本、面白そうだなと思って撮っているだけなので分からないですね。ただ、比較的楽しい部分に振り切った映画だったと思いますし、今までやったことがないことにチャレンジできた映画だったとも思います。それに、高校生の女の子が「好き」っていうラストシーンは、オリジナルではとても思いつかない気がしていて(笑)、女性の原作者が書いたところの雰囲気に寄せていると思います。10代の女の子の気持ちになって脚本を書き直しましたけど、やっぱり分からないですね(笑)。でも、自分じゃない、10代の女の子の気持ちを、44歳のおっさんが描くというのは楽しかったです。今回は、青春映画を真正面からやったという感じです。

-改めて映画の見どころを。これからDVDで映画を見る人にも一言お願いします。

 ひと夏の夏休みを描いた映画ですが、いつ見ても楽しい気分になれるような映画になったと思います。僕自身も、たまにもう一度見たいなと思うぐらい、楽しい、好きな映画になったので、この映画を長く大事に思ってくれる人が、一人でも多くいてくれたらいいなと思います。どこかで、「そういえば」という感じで思い出してもらって、愛されるような映画になってくれればいいと思います。

(取材・文/田中雄二)

発売元:アミューズソフト 販売元:ポニーキャニオン (C)「子供はわかってあげない」製作委員会(C)田島列島/講談社

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

鈴鹿央士「絶対に映画館で見て損はさせない映画になっています」『藁にもすがる獣たち』【インタビュー】

映画2026年9月29日

-おばあちゃん役の風吹ジュンさんとの印象に残ったエピソードがあれば。  とても面倒見のいい方で、何か聞いたら何でも返してくれるし、気を使ってくださいました。本当は僕が気を使わなければいけないのに、風吹さんの方から、「大丈夫よ。頑張ろうね」っ … 続きを読む

向井理、演出家・倉持裕と再びタッグ 6人で描き出す会話劇に「戻ってきたな。こういうことがやりたかった」 M&Oplaysプロデュース「ブランク」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月29日

 向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む

「生きることはこんなに面白いと示したい」制作統括が「ブラッサム」に込めた思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月28日

-そんな珠の父・清治は、現代ではありえないほど娘に厳しく接しますね。  厳しい父親の話は、宇野千代さんの著書にも書かれていることです。現代の視点で見るとつらい話ではありますが、当時の家父長制の下では、ああいう側面があったことは事実です。ただ … 続きを読む

石橋静河「皆さんに『一歩前進してみようかな』と思っていただけたら」連続テレビ小説主演に懸ける思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月26日

  -劇中では、渡部篤郎さん演じる珠の父・清治が強烈な存在感を放っています。珠と清治の関係も物語の重要なカギになりそうですが、2人の関係をどのように捉えていますか。  実際のお父様は、宇野千代さんが「ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のよ … 続きを読む

page top