【インタビュー】舞台「冒険者たち ~JOURNEY TO THE WEST~」柄本時生「難しくもあり楽しい」三蔵法師役で神奈川を巡演

2022年2月2日 / 08:00

 KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督である長塚圭史が、芸術監督就任後、初めて書き下ろした新作舞台、KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト「冒険者たち ~JOURNEY TO THE WEST~」が、2月8日から上演される。本作は、誰もが知る「西遊記」を基にしたオリジナル作品。天竺(てんじく)を目指す道中に、時空を超えてなぜか神奈川の国に迷い込んでしまった三蔵法師の一行が、神奈川各地の伝説や昔話、はたまた現代をも旅する姿を描く。三蔵法師を演じる柄本時生に、公演への意気込みを聞いた。

三蔵法師役の柄本時生 (C)エンタメOVO

-本作への出演が発表された際には「まさか呼んでもらえるとは思っていなかった」というコメントを出していましたが、出演が決まったときの率直な気持ちを教えてください。

 うれしかったのはもちろんですが、きついだろうなと。

-「きつい」というのは、長塚さんの他の作品を見て感じたことですか。

 いえ、僕は圭さん(長塚)が演出した作品を見たことはないのですが、俳優仲間から話を聞いていると、僕がやったことがないタイプの稽古になるんじゃないかなと思ったので、新しいことをするという意味での「きつい」ですね。

-実際に稽古をしてみていかがですか。キャストの皆さんも意見を出し合うかなりクリエーティブな稽古になっていると聞いていますが。

 率直に、皆さんすごいなと思います。今は、長塚さんと共同演出の大澤遊さん、それから成河さんの3人が率先して意見を出し合って作り上げてくれています。成河さんは、「ここはこうしたらいいんじゃないか」「身体表現はこうした方がよりよく見えるんじゃないか」と僕に的確に教えてくださるので、すごくありがたいですし、感心ばかりしています(笑)。

-柄本さんは意見を出していくタイプではないのですか。

 僕はあまり言えないですね。これまで、指示されたことをいかに正確に表現するかを考えて仕事をしてきたので、自分から意見することはあまりありませんでした。ですが、昨日、初めて「ここをこうするのはどうですか?」と少しだけ言ってみました(笑)。それが今後、採用されるのかは分かりませんが、とりあえず、やってみようと試しているところです。

-長塚さんが柄本さんと映画で共演した際に、いつか舞台でも柄本さんと一緒にやりたいと思い、それが今回のオファーにつながったと聞いています。映画での共演時はどんな話をしましたか。

 一緒に飲みに行かせてもらっていましたが、大した話をしてないと思うんですよね(笑)。大林宣彦監督が余命宣告を受けた後の撮影だったので、「あの人のために頑張ろう」と言って、そのときの撮影についての話をしていたんだと思います。舞台の話は全然していませんでした。なので、オファーを頂いたことは、僕には「まさか」でした(笑)。

-脚本を読んでどんな感想を持ちましたか。

 「ああ、やっぱりか」と思うような、“言いにくい”せりふの羅列で、それを言えるようにするにはどうすればいいかを考えるのが難しくもあり、楽しいです。演劇らしい作品で、面白いです。

-三蔵法師を演じる上では、どんなところを意識していますか。

 とにかく、せりふだけでも言えるようにならないと、とは思っています(笑)。

-経を唱えるシーンもあるそうですね。

 本当に、修行をしているような感覚になります。(経の)言葉には意味があるのですが、長いですし、早口で言わないといけないので、今は言葉の意味よりもまずは言えるようにならないと…。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

Willfriends

page top