【インタビュー】映画『大怪獣のあとしまつ』山田涼介「この映画は、怪獣とは直接戦っていないのに、皆がすごく戦っている感を出しているんです(笑)」 土屋太鳳「特撮の現場は久しぶりだったので、『ただいま』という感じでした(笑)」

2022年2月2日 / 07:00

 人類を恐怖に陥れた巨大怪獣が、ある日突然死んだ。この巨大な死体=ゴミを一体どうするか…。死体処理という極秘ミッションを任されたのは特務隊員の帯刀アラタだった。そして、環境大臣の秘書官として、雨音ユキノもこのミッションに関わっていた。怪獣の死んだ後の世界を描いた空想特撮エンターテインメント『大怪獣のあとしまつ』が2月4日から全国公開される。本作で、互いに大怪獣の死体処理に挑むアラタとユキノを演じた山田涼介と土屋太鳳に話を聞いた。

(C)2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

-東映と松竹の2社共同製作の特撮物に出た感想は?

土屋 オファーを頂いたときは、すごくうれしかったです。怪獣が出てくる話は、誰もが見たことがあると思いますが、倒された後の怪獣はどうなったんだろう? というのは、誰もが疑問に思っていたことだと思います。それを追求していく映画ということで、予告編で「倒すよりムズくね?」という言葉が出てきますが、あの言葉を作った方はさすがだなと思いました。東映さんと松竹さんがタッグを組むことができたのは、今の時代だからこそだと思います。そういう機会にご一緒できたことは、すごくうれしいと思いました。涼介さんともご一緒したいと思っていたので、とてもありがたかったです。

山田 この映画のオファーを知ったときは、「何それ?」と思いました。でも、タイトルにも、脚本にもインパクトがあったので、「ぜひ、出させてほしいです」とお願いしました。太鳳ちゃんが言う通り、誰もが一度は考えたことがあるというか、言われてみれば、確かに「あれどうなっているの?」と。この映画では、大の大人たちが怪獣の死体処理に真剣に悩みながら、会議をしたりしますが、最後は「結局そうやって”あとしまつ”ををするのね」という落ちがつく。僕も最後のあとしまつの様子には驚きましたが、これは誰にも予想ができないと思います。「そうきたか」と楽しんでもらえると思います。

-確かに、政府の会議の様子はとても面白いですね。

山田 僕も太鳳ちゃんも、大臣サイドのお芝居は見ていなかったのですが、完成した映画を見たらすごかったです(笑)。僕たち2人のシーンは結構真剣にやっていましたが、大臣サイドは割とひっちゃかめっちゃかにやっていたので、そのコントラストがすごく面白くなっていると思いました。この映画は変な人の集まりですから(笑)。

土屋 ああいう場面ほど、すごく真剣にやることが大事なんだなと思いました。真剣な会議なのに突然変なことを言い出す人がいたりして、妙にリアルだなと思いました。そのリアルさが逆に心をくすぐるみたいな感じがしました。大ベテランの方々ばかりでしたので、強烈なのにリアルに見えるのはどうしてだろうと、すごく考えました(笑)。

-見えないもの(怪獣や風景)を相手に演技をするのは大変でしたか。今回は、専門用語も多かったですね。

山田 僕は、割とVFXを使ったものに出させてもらうことが多かったので、それに対する抵抗感はありませんでした。特務隊員役ということで、難しい言葉も出てきましたが、それも、そんなに苦労はしませんでした。どちらかというと、10キロぐらいあるミサイルを持ったり、背負ったりしながらお芝居をするのが大変でした。あれを持ちながら怪獣から飛び降りるところは特にきつかったです。

土屋 あのシーンにはすごく引きつけられてドキドキしました。

山田 この映画は、怪獣とは直接戦っていないのに、もう死んでいるのに、皆がすごく戦っている感を出しているんです(笑)。でも、皆大真面目にやっているので、見ているこちらも「この後どうなるんだろう」と、すごくドキドキするんです。次の展開が楽しみな映画になっているので、三木(聡)監督はすごいなと思いました。

土屋 私も『ウルトラマンゼロ THE MOVIE超決戦!ベリアル銀河帝国』(10)に出演させていただきましたが、そのときに助監督さんから「特撮を撮るときに必要なのは大きな感情表現。人間が大きな芝居をしないと、怪獣に負けちゃうんだよ」って言われました。その言葉がすごく印象に残っていたので、アラタが落ちる瞬間や草むらを走るシーンは、それを意識しながらお芝居をしていました。特撮の現場は久しぶりだったので、「ただいま」という感じでした(笑)。

-実際に共演してみて、どんな印象でしたか。

山田 土屋太鳳という女優さんをずっと見ていましたし、何かイメージ通りの人だなと思いました。

土屋 つまんないですね(笑)。

山田 全然つまんなくないよ。穏やかで、礼儀正しくてという、すごくいいイメージだったのですが、こんなにイメージ通りの人がいるんだという感じでした。芸能人も人間なので、イメージ通りではない人もいるかもしれませんが、本当に皆さんが抱くイメージ通りの女優さんです。お芝居に対してもすごく真面目ですし、人間味があって、話していても楽しいです。冗談を言ったらちゃんと返してくれますし。すごく温かい人だなという印象でした。

土屋 私の演技はどうでしたか。

山田 演技は、僕が言うのもなんですけど、相手役として非常にやりやすい方だなと思いました。

土屋 涼介さんは、すごいなと思いました。座長としても、人としても、コンディションが安定しています。すごい俳優さんたちがいる中で、引っ張っていくのは難しかったと思いますが、引っ張るぞという感じではなく、涼介さんがそこにいることで、空気が穏やかになったり、映像で見る人にはその役にいとおしさを感じさせるところが、素晴らしいと思いました。現場ではユキノとして感情を当てることが多かったのですが、常にアラタとして返してくださるので、ぶつかりがいがありました。あとは、いつも自然体で、自分の感じたことが目に宿りやすい方だと思いました。

山田 ありがとうございます。何か恥ずかしいですね。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

二宮和也「子どもたちの映画館デビューに持ってこいの作品です」『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』【インタビュー】

映画2025年5月17日

 テレ東系で毎週月~金、朝7時30分から放送中の乳幼児向け番組「シナぷしゅ」の映画化第2弾。番組のメインキャラクター「ぷしゅぷしゅ」と相棒「にゅう」が、バカンスで訪れた「どんぐりアイランド」を舞台に繰り広げる冒険をオリジナルストーリーで描き … 続きを読む

【週末映画コラム】異色ホラーを2本 デミ・ムーアがそこまでやるか…『サブスタンス』/現代性を持った古典の映画化『ノスフェラトゥ』

映画2025年5月16日

『サブスタンス』(5月16日公開)  50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベス・スパークル(デミ・ムーア)は、容姿の衰えによってレギュラー番組を降ろされたことから、若さと美しさと完璧な自分が得られるという、禁断の再生医療「サブスタンス= … 続きを読む

新原泰佑、世界初ミュージカル化「梨泰院クラス」に挑む「これは1つの総合芸術」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月16日

 世界中で大ヒットを記録した「梨泰院クラス」が、初めてミュージカル化される。主人公のパク・セロイを演じるのは小瀧望。日本・韓国・アメリカのクリエーターが集結し、さまざまな人種が混じり合う自由な街・梨泰院で権力格差や理不尽な出来事に立ち向かう … 続きを読む

グレッグ・ターザン・デイビス「とにかく、ただ純粋に面白い映画を撮ることだけが、自分たちに与えられたミッションでした」『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』【インタビュー】

映画2025年5月15日

 トム・クルーズ主演の大ヒットスパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズの第8作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が、5月23日の公開に先駆けて17日から先行上映される。前作『ミッション:インポッシブル/デッ … 続きを読む

研ナオコ、認知症のおばあちゃん役で9年ぶりの映画主演「主演女優賞を狙ってます(笑)」岡﨑育之介監督「研さんの人生の奥行きがにじみ出た」『うぉっしゅ』【インタビュー】

映画2025年5月12日

 人生に迷いながらソープ嬢として働く若い女性・加那と、彼女に介護されることになった認知症の祖母・紀江の交流を明るくポップなタッチで描いたユニークな映画『うぉっしゅ』が絶賛公開中だ。  本作で、加那を演じる若手注目株の中尾有伽と共に、紀江役で … 続きを読む

Willfriends

page top