【インタビュー】ミュージカル「The View Upstairs-君が見た、あの日-」平間壮一&小関裕太、12年ぶりの舞台共演「2人が同じステージに立つとどうなるんだろう」

2021年11月30日 / 08:05

 米ニューオーリンズの「アップステアーズ・ラウンジ」という同性愛者クラブで、1973年に実際に起きた未解決事件を基にしたミュージカル「The View Upstairs-君が見た、あの日-」が、2022年2月1日から上演される。現代から73年にタイムスリップしてしまう、若きデザイナーのウェスを演じる平間壮一と、ウェスに引かれていく若い男娼パトリックを演じる小関裕太に、本作への出演が決まった心境や、12年ぶりとなる舞台共演への思いを聞いた。

ミュージカル「The View Upstairs-君が見た、あの日-」

-同じ事務所の先輩後輩で、昔から知っている間柄のお二人ですが、舞台での共演は久しぶりです。共演が決まったときの心境を改めて教えてください。

平間 僕は、意外でした。裕太との共演がうれしい気持ちはもちろんあったのですが、あまりにも久しぶりなので、2人が同じステージに立つとどうなるんだろうとも思いました。

-何年ぶりの共演になるんですか。

平間 ライブ(AMUSE PRESENTS SUPER ハンサムLIVE)では、少し前にもありましたが、お芝居だとだいぶ前だよね。「BLACK&WHITE」(10年上演)以来かな。あれはいつだった?

小関 12年前です。僕も、今回ご一緒できるというので、昔のことを思い出していたのですが、僕は初めてご一緒した「FROGS」(07年上演)のことが印象に残っています。当時、僕はまだ小学6年生で、待機時間中に冷凍庫にぬれたティッシュを入れておいて、練習が終わって開けてみて凍っていることに喜んでいるような時期だったので(笑)、壮一さんをはじめとした共演者の皆さんはすごくお兄さんに見えました。その壮一さんとこういう形で共演できるということは、僕にはすごく感慨深いです。僕、当時、壮一さんが子どもたち皆にプレゼントしてくれたキャップはまだ実家に飾ってあるんですよ(笑)。

平間 それはうれしい!

-本作の物語については、現時点ではどのように感じていますか。

小関 ドラッグをやっていてタイムスリップするという非現実的な設定ではありますが、実際に起こった事件を基にしているストーリーなので、説得力があると思いました。当時と今とではゲイカルチャーに対する世間の認識も違っていますが、それらも含めて、綿密に作られた作品で、個人的に歌の練習をスタートしてからは、歌詞の中にもたくさんのストーリーが描き出されているのを感じています。この作品には「芸術を取り戻そう」という大きなテーマがあります。「全てを肯定し、彼らの虚しい思いや悔しい思い、ハッピーな思いを今、自分たちの手で芸術として表そう」ということが描かれているので、コロナ禍の今と通じるところがあり、今上演することに意味がある作品だと思いました。

平間 日本でもゲイカルチャーやLGBTは徐々に受け入れられてはいますが、それでも決して完全ではないと思います。そんな今、このテーマの作品に出演することで、僕は何を伝えればいいのか、一番最初に考えました。(取材当時は)まだ日本語訳の台本を読めていないので、この作品がどんなテーマを持って、どこに向かっているのかは分かっていないのですが、「人はこうあるべき」ということをお見せできる作品になればいいなと思っています。今は、誰もが生きやすい世の中になるようにという思いを込めて演じたいです。

-稽古が始まるまでに、役作りのために準備したいと思っていることは?

平間 (15年に上演した)「RENT」でエンジェルというゲイの役を演じることが決まったとき、僕自身は男性を好きになる気持ちがよく理解できませんでした。ですが、演出家の方やスタッフの方たちにいろいろと教えてもらい、そして、実際に演じてみて、男性が男性を格好いいと思う気持ちはなんとなく分かりました。うまく言葉では伝えられないのですが、「人としてみる」というか…、女性であっても、男性であっても、性別ではなく、人として出会ったことを大切にしているということを学んだので、今回もそこを大事にしたいと思っています。

小関 僕も、どうやってこの役に向かおうかというのはすごく悩みました。このお話を最初に聞いたときは、ちょうど「ハンサムライブ」をやっていたときだったので、(ハンサムライブの)振り付けを担当されていて、本作にも出演されるSHUNさんやスタッフさんなど、音楽に詳しい方たちにもお話を聞いたり、相談したりしました。この作品においては、いろいろな方を頼って、視野を広げていくことでより良い作品を作り上げられると思ったんです。なので、とにかく、お話をたくさん聞かせてもらいました。それから、もちろん、本作の演出家である市川(洋二郎)さんは、当時のニューオーリンズのゲイカルチャーに詳しく、この作品がどのような思いを持っているのかも知っているので、直接質問をさせていただいて教えてもらいました。ショーは行っていても、思った以上に迫害がすごかったから、普段は、リップ一つとってもバレないように気をつけて使っていたというような、リアルなお話を聞かせていただいたり、資料を見せてもらったりしています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

天海祐希、田中哲司、小日向文世、でんでん、塚地武雅「12年の集大成を見届けてください!」大ヒットシリーズ、ついに完結! 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」【インタビュー】

映画2025年12月23日

 2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

Willfriends

page top