【インタビュー】WOWOW「斎藤工×板谷由夏 映画工房」斎藤工「映像の現場を主戦場としている人間がどう見るかが切り口」板谷由夏「リビングで映画を見ているような雰囲気」10周年を迎えた映画情報番組の舞台裏

2021年9月30日 / 13:05

 WOWOWで放送される話題作の紹介や独自の特集を通じて、映画の楽しみ方を伝えてきた映画情報番組「斎藤工×板谷由夏 映画工房」(毎週金曜日午後9時30分ほか放送・配信【無料放送】)が、2021年10月に放送開始から10周年を迎える。長年、MCを務めてきたのは、俳優やクリエーターとして映画と向き合ってきた斎藤工と、数々の作品で活躍する女優の板谷由夏。10周年を記念して取材に応じた2人が、番組の舞台裏や長寿の秘訣(ひけつ)を語ってくれた。

板谷由夏(ヘアメーク:JILL 林カツヨシ/スタイリスト:古田ひろひこ)と斎藤工(ヘアメーク:赤塚修二(メーキャップルーム)/スタイリスト:yoppy @ juice) (C)エンタメOVO

-10周年おめでとうございます。10年続くテレビ番組は滅多にありませんが、番組開始当初、ここまで続くことは予想していたのでしょうか。

斎藤 どんな始まりもそうですけど、終わりを想起していたわけではありませんし、かといって節目を目指していた、ということでもないんですよね。ただ、スタッフさんと板谷さん、中井(圭/映画解説者)さんとの関係値みたいなものが自然といい配置になって、それぞれがすべきことを言語化しないまま、何となく理解し合ってきたのかなと。

-いつ頃からそういう感覚を持っていたのでしょうか。

斎藤 当初から、板谷さんと自分と中井さんの相性みたいなものはよかったんです。楽屋で話している感じと、オン・オフの区別があまりないですし。もちろん、収録中ではありますが、そんなに違いがないというか。

板谷 そんなにないよね。

斎藤 距離感は一緒のままだから、そういう意味では、距離感がよかったんじゃないかな。

板谷 確かに、リビングで映画を見ているような雰囲気のままやっていますよね。3人ともあまりカチッと決めてないし、それをスタッフさんたちも良しとしてくれているところがあるから。リラックスして自由度も高いし。でも、紹介する作品はちゃんと熱があるので、その紹介はきちんとしておきたいと思いながら。

-視聴者や映画ファンにとって、どんな番組であろうと心掛けてきたのでしょうか。

斎藤 映画紹介番組や評論家の方には、脈々と積み上げられてきた歴史があり、今も活躍されている方がたくさんいるので、最初からそういう番組が新たに増えるという感覚ではなかったんです。それよりも、映像の現場を主戦場としている人間がどう見るか、というところが唯一の切り口だったのかなと。当事者として、現場の声も何となく耳に入ってくるわけですから。僕らは意識していたわけではありませんが、自然とそれが特徴になっていったような気がします。一緒に仕事をしたことがある俳優や監督との距離感、僕らにはこう見えているという景観みたいなものが、現場寄りの映画に対する寄り添い方になったらいいな、という感じで。

板谷 ただ、役者2人がやっているので、ゲストで監督がいらっしゃると、2人とも緊張しちゃうんです(笑)。リスペクトしている監督の場合なんか、いきなりがちがちになって。

斎藤 オーディションみたいな緊張感になって。青山真治監督の回とか、やばかった(笑)。

-そういう意味では、普段は映画の作り手であるお二人が、映画を紹介する番組に関わることで、作り手としての姿勢に影響を受けた部分はありますか。

斎藤 めちゃくちゃありました。自分の視野で考えると、自分が今向き合っている作品は重大トピックスなんですけど、10年間、毎週、多種多様な作品を紹介していたおかげで、他人から見ると、僕が関わる作品や僕自身は一登場人物に過ぎないと気付いたんです。そういう目線を持つと、「こういう作品はだいたいこうなるよね」とか、「これもう古いでしょ、見てる人にばれてますよ」みたいなことに、良くも悪くも気付くようになって。

-それは、役者としてのご自身にどんな影響が?

斎藤 例えば、最近やったドラマでピアノを弾くシーンがあったんです。でも、今や手元が吹き替えだとすぐにばれてしまう。それを「もしかしたら弾いているかも?」ぐらいにはしたいと思って、電子ピアノで猛練習したんです。そして、実際、吹き替えなしでやらせてもらって。それはもう、意地です。「どうせ手元は吹き替えでしょ」っていう目線があることに、映画をこれだけたくさん紹介してきたことで気付いてしまったので。そういううそを本物に見せるポイントをいくつ作れるかが、俳優の価値だと気付いたので、今はそこに尽力しています。それは、「映画工房」をやっていたからこそです。

 
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