エンターテインメント・ウェブマガジン
コロナ禍の影響を受けるクリエーターやスタッフ、俳優たちが創作活動を継続することを目指したオムニバス映画『DIVOC-12』が、10月1日から全国公開される。12人の監督が生み出した12のバラエティー豊かな物語からなる本作で、『名もなき一篇・アンナ』を手掛けたのが、『新聞記者』(19)『ヤクザと家族 The Family』(21)などで注目された映画監督・藤井道人。映画初出演でヒロイン、アンナを演じたロン・モンロウと共に、撮影の舞台裏や映画に込めた思いを語ってくれた。
藤井 僕たちがこの1年で失ったものって、ものだったり、人だったり、いろんなものがありますけど、僕にとっては、“言葉”というのも大きかったんです。なぜかというと、海外にもたくさんの仲間がいて、海外で作品を撮ることも、自分の中では大切なものでしたから。そういうところから、言葉も性別も違う2人の旅、みたいなものを実験的に描きたいという思いが芽生えてきたとき、ロンちゃんが思い浮かんだんです。日本に来たときから知っていた彼女の持つ空気感が、この映画にぴったりだと思って。
ロン 最初は「自分にできるのかな?」とすごく不安でした。監督も有名な方ですし、共演する横浜流星さんもとても素晴らしい俳優さんでしたから。でも、撮影前に藤井監督の作品をたくさん拝見させていただき、「藤井監督ならぜひご一緒してみたい」と信頼して撮影に臨むことができました。
ロン 監督にはとても丁寧に演技指導をしていただきました。最初は難しかったのですが、監督が演技のポイントをいろいろと教えてくださったおかげで、徐々にアンナの気持ちが分かってきて。例えば、沖縄でちょっと明るいアンナを演じるときは、「アンナはロンちゃんのままで」、京都では「静かで落ち着いた雰囲気で」、北海道では「ゆったりとした雰囲気で」と、それぞれの場所に合わせて指示を頂いたので、雰囲気をどんどんつかめて行きました。
藤井 同じ台本で芝居が続きますが、暑い沖縄でお芝居をするときと、朝方の京都で撮るお芝居と、北海道の牧場でしんみりしながら立っているときでは、やっぱり感情も変わりますから。そういうことを伝えていきました。
藤井 この1年、僕たちが行きたくても行けなかった場所を選びました。僕たちを待ってくれているはずだった思い出の観光地。でも、今はそこに行くことができない。だからこそ、ロンちゃんと流星が立っているのは、絵葉書のような場所であるべきだろうと。この映画は僕たちからのギフトでもあるので、スクショして新しい絵葉書になってくれたら、という思いもその裏にはあります。さらに、この映画は10分ということもあり、例えば10年後、またつらくなったとき、「ロンちゃんと流星に慰めてもらおう」という見方もできるでしょうし。そういう思いで、2021年現在、残っている場所をちゃんと撮ろうと。
ロン 長距離の移動が多く忙しくて大変でしたが、いろいろな風景を見て、お芝居ができましたので、楽しかったです。
藤井 ロンちゃんはすごくタフで、みんなの太陽でした。ロンちゃんがいたから、みんなも「こんなに移動できないよ」みたいなことは言わなかったし。朝もすごく元気で(笑)。
ロン 朝は強いです(笑)。でも、チームの皆さんに常に気を配っていただいて本当に優しかったので、皆さんと友だちになることができました。皆さんが頑張られていたおかげで、私も頑張ることができましたし。撮影が終わったときは、「これで終わり…?」と寂しくなったぐらいで。それぐらい楽しかったです。
映画2025年10月17日
『秒速5センチメートル』(10月10日公開) 1991年、春。東京の小学校で出会った遠野貴樹(上田悠斗)と転校生の篠原明里(白山乃愛)は、互いの孤独を癒やすかのように心を通わせていくが、卒業と同時に明里は栃木に引っ越してしまう。 中学1 … 続きを読む
映画2025年10月16日
世界的に有名な天才浮世絵師・葛飾北斎。その北斎と長年生活を共にし、自らも絵師“葛飾応為”として名をはせた娘・お栄の生きざまを描いた『おーい、応為』が10月17日から全国公開となる。劇中、北斎(永瀬正敏)の弟子の絵師“魚屋北渓”として知られ … 続きを読む
映画2025年10月15日
再開発が進む東京・渋谷を舞台に、母の死と残された父と息子の関係性を描いた『見はらし世代』が10月10日から全国公開された。団塚唯我のオリジナル脚本による長編デビュー作となる本作で、主人公の蓮を演じた黒崎煌代と父の初を演じた遠藤憲一に話を聞 … 続きを読む
ドラマ2025年10月14日
草なぎ剛主演の月10・新ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時/初回15分拡大)が13日から放送スタートとなった。本作は、妻を亡くし、幼い息子を男手一つで育てるシングルファーザ … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年10月13日
Travis Japanの川島如恵留が主演する舞台「すべての幸運を手にした男」が11月14日から東京グローブ座で上演される。世界を代表する劇作家アーサー・ミラーの初期の名作として名高い本作は、主人公デイヴィッド・ビーヴスに思いもかけない幸 … 続きを読む