【インタビュー】映画『DIVOC-12』藤井道人監督「ロンちゃんはみんなの太陽」ロン・モンロウ「皆さんに共感していただけるすてきな作品になったと思います」コロナ禍で挑んだ映画撮影の舞台裏

2021年9月30日 / 06:53

-そういう現場のいい雰囲気は、映画からも伝わってきます。話は変わりますが、『DIVOC-12』という作品は「コロナ禍の影響を受けるクリエーターの支援」を目的に誕生しました。この点について、藤井監督はどんなことを感じましたか。

藤井 去年はいろんな人が、「映画を守ろう」と声を上げていました。その中で、監督という仕事をしている自分は、そこに共鳴するだけでなく、どんな行動を起こせるかを考えていたんです。そんなとき、このお話を頂いたので、すごくうれしかったです。自分からアクションを起こす、背中を見せる、という意味で参加できましたから。それと同時に、責任も感じました。

-この作品に取り組むことで、物作りに携わる人間としてコロナ禍に向き合う姿勢や考え方に変化はありましたか。

藤井 10年前の震災でも社会の機能がストップしたことがありましたが、今回も同じように、僕らの業界でも仕事を失った人たちがいます。クリエーティブな表現が思うようにできないという問題もありますが、まず最優先すべきは、生きること。「用意」「スタート」「OK」「NG」という言葉に生活を懸けているスタッフたちが、どう生きていけるのか。そこに対しての危機感を、この1年ですごく持ちました。やっぱり、このままじゃ駄目で、もう一度同じようなことが起きたとき、自分たちがサポートできるように準備すべきだろうなと。

-ロンさんはtwitterのプロフィールに「人間万事塞翁が馬」と書かれていますが、とても前向きで今の時代にふさわしいすてきな言葉です。「成長への気付き」というこの映画のテーマにも通じるものがありますね。

ロン 大好きな言葉です。今はコロナの時代で、以前は当たり前だったことが、当たり前でなくなり、たくさんの方がいろんなものを失いました。私も旅行には行けませんし、家族にもずっと会えていません。でもきっと大丈夫。明日に向かって、前を向いて頑張っていこうと。そんな私の思いが、この言葉には込められています。そういう意味で、この映画も喪失にまつわるお話なので、皆さんに共感していただけるすてきな作品になったと思います。

(取材・文・写真/井上健一)

『名もなき一篇・アンナ』

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