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本来、昭武と栄一では身分も違いますし、昭武にはより近しい家臣もいるわけです。その中でなぜ、栄一と信頼関係を築くことになったのか。実は昭武のパリ滞在中には、同行した水戸の侍たちとの考え方の違いが表面化したり、大政奉還が起きたりと、さまざまな問題が起こります。中でも大政奉還の際は、それを知らせる慶喜の手紙を受け取りますが、届くまでのタイムラグがあるし、すぐに帰国することもできない。そういう状況の中で、昭武は「自分はどうすべきか」と決断を迫られます。もともと、兄・慶喜の柔軟な考え方に影響を受けていた昭武は、そこで身分差に関係なく、栄一の柔軟さや聡明さに引かれていく。その変化が大きな見どころになると思います。
ナポレオン3世に謁見するシーンは、カッコよく映っていたらいいです。昭武にとっては大きな仕事でしたし、日本の全てを自分が背負い、その先頭に立って歩くわけですから。僕自身も期待しています。個人的に好きなのは、栄一とセーヌ川の畔を歩くシーンです。こちらもグリーンバックでの撮影でしたが、信頼できる相手となった栄一に、正直な思いを打ち明ける場面なので、いいシーンになっていると思います。
(取材・文/井上健一)
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