「パリを訪れた昭武は、栄一の柔軟さや聡明さに引かれ、信頼関係を築いていきます」板垣李光人(徳川昭武)【「青天を衝け」インタビュー】

2021年7月5日 / 06:33

-物語の上では、一緒にパリを訪れた昭武と栄一が絆を結んでいく過程が大きなポイントになると思いますが、見どころを教えてください。

 本来、昭武と栄一では身分も違いますし、昭武にはより近しい家臣もいるわけです。その中でなぜ、栄一と信頼関係を築くことになったのか。実は昭武のパリ滞在中には、同行した水戸の侍たちとの考え方の違いが表面化したり、大政奉還が起きたりと、さまざまな問題が起こります。中でも大政奉還の際は、それを知らせる慶喜の手紙を受け取りますが、届くまでのタイムラグがあるし、すぐに帰国することもできない。そういう状況の中で、昭武は「自分はどうすべきか」と決断を迫られます。もともと、兄・慶喜の柔軟な考え方に影響を受けていた昭武は、そこで身分差に関係なく、栄一の柔軟さや聡明さに引かれていく。その変化が大きな見どころになると思います。

-板垣さんが考える昭武の魅力が発揮されたシーンは?

 ナポレオン3世に謁見するシーンは、カッコよく映っていたらいいです。昭武にとっては大きな仕事でしたし、日本の全てを自分が背負い、その先頭に立って歩くわけですから。僕自身も期待しています。個人的に好きなのは、栄一とセーヌ川の畔を歩くシーンです。こちらもグリーンバックでの撮影でしたが、信頼できる相手となった栄一に、正直な思いを打ち明ける場面なので、いいシーンになっていると思います。

(取材・文/井上健一)

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