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旧PARCO劇場のクロージングシリーズで上演された、2016年の「メルシー!おもてなし ~志の輔らくごMIX~」に主演した中井貴一が、新生PARCO劇場のオープニング・シリーズのラストを飾る舞台「月とシネマ―The Film on the Moon Cinema―」にも主演、舞台は17日から上演される。(※新型コロナウイルスの影響により一部公演中止、4月30日以降の開催は改めて発表)
作・演出は「メルシー!おもてなし」以来のタッグとなるG2。中井は、昭和の古き良き映画館経営者の息子に生まれ、昭和に育ち、平成にもまれながら成功を収めたフリーの映画プロデューサー並木憲次を演じる。地方にある実家の映画館の相続のために、故郷に帰った並木がたどり着いた父親の真実とは…? 主演の中井が、本作に懸ける意気込み、コロナ禍で感じたこと、そして両親への思いなどを語った。
最初に、「どういう作品をやりたいか」ということを聞いてもらえたんです。もともと、新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出たときに、僕たちの商売が一番回復するのが遅い商売になるだろうな…と予想していました。そして、どうにか演劇が上演できるとなったとき、G2さんと打ち合わせをして、僕自身は「ウイルスが怖いのではなくて、ウイルスによって人間の心が殺伐とすることが一番怖いと思っている」と伝えました。「僕らが演劇で何ができるのか」と考えたときに、自分たちのやりたいことだけをやればいいのではなく「1時間、2時間でも心が動く“何か”を作れないか」と思いました。「ジワーッと何かに包まれて劇場を後にするような作品を、今回は特にやりたい」と伝え、G2さんがこの企画を考えてくれました。
面白いですよね。70代、50代、30代、20代と本当に幅広いのですが、20代の人たちに言葉が通じないこともあって(笑)。たとえば、実際言ったものとは違うけど、「棚からぼた餅」みたいな言葉を使うと、若い2人が「??」みたいな顔をして、「『棚からぼた餅』とはどういうことですか?」と。そういうことが実際に稽古場で起こっている。それを見ていて、すごく面白い。みんなバラエティーに富んでいて、貫地谷さんがちょうど間に入って、僕らのつなぎ役をしてくれるので、それはとても助かっています(笑)。
僕は本当に幼い頃…2歳半の頃に、父親と別れてしまったのですが、昔はよく母親から「性格がそっくりだ」と言われました。あと「みそ汁の飲み方が似ている」とも。でも不思議ですよね。実際は見て育っていない。何で似るのか分からないけど、DNAの中に「みそ汁の飲み方」という引き出しがあって、そこは似るのかなと思ったりしましたけど(笑)。
父は39歳の時に亡くなり、僕ははるかにその年を超えたわけですが、周りの人に「似てきたね~」と言われることが多いんですよ。これも不思議ですよね。39歳の父と、なんで今の僕が似てくるんだろうと(笑)。決して、みんなは60歳のときの父を知っている訳ではないのだけど、外見というよりも、内側から出てくる雰囲気だとか、そういうものが似てきているということなんでしょうかね。
この仕事を始めたのは、自分の父がどんな仕事をしていたのかを知りたいと思ったのがきっかけの一つでもありました。自分が死んだときに、もし、(指で天を指しながら)あそこで会えるとしたら、「39歳からの世界では、こういうことが役者としてあったよ」と話せるように、今は土産話をたくさん作っておきたいという気持ちもあるかもしれません。
見ていました。でもそれは作品を見るというよりは、父を追っている感じでした。「おやじの声が聞きたい」とか、「おやじの動きが見てみたい」とか。そういうことのために、映画を見ていた気がします。父の記憶は全くないんです。湯飲みを持っている父の手の感じの記憶がちょっと残っていたりするぐらいで。
常にです。多分、僕が今まで仕事をやってこられたのは、両親の力以外の何ものでもないと思っていて。自分の才能なんて微々たるもので、本当にあの人たちが導いてくれているとずっと思っています。
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