【インタビュー】舞台「月とシネマ」中井貴一 俳優を続けてこられたのは「両親の力以外の何ものでもない」

2021年4月25日 / 08:00

-役者として大きな野望を抱いたことはないのですか。

 うーん。「自分はこうあるべきだ」とか、「どこのポジションに行きたい」といったことはあまり考えたことがないかもしれません。ただ、今の時流の中で、どういうものをお客さんが喜んでくれるのだろうか…、それは一番難しいことなんですが、そこをずっと探っていきたい。それが今の僕の野望です。この先、自分の体は今より動かなくなるだろうし、いろんな場面で「よっこいしょ」と言わないといけない年齢になってくるわけですが、その中で最大限の努力をして、その時代のお客さんを喜ばすことができるもの、そういう普遍的なものを見せていきたいな、という気持ちはすごくあります。

-本作の舞台は映画館ですが、中井さんが初めて映画館で見た作品を覚えていますか。

 手塚治虫さんの『ジャングル大帝』(66)です。これは小学校1年生、幼稚園だったかな。姉と母と叔父さんの4人で行った記憶があります。『ジャングル大帝』が大好きだったんですよ。それをこんな大きな画面で見られるんだと思って、ものすごくワクワクしたのは、忘れられないですね(笑)。

-それだけ大きな体験だったのですね。

 その画面や内容がどうだったかということよりも、「ジャングル大帝が見られる!」という、そのワクワク感がいいですよね。だから、自分たちが演目を上演するときも、お客さんがそういうワクワク感で劇場に足を運んでくれるといいなってずっと思っています。

(取材・文・写真/山中京子)

舞台「月とシネマ」

 PARCO劇場オープニング・シリーズ「月とシネマ―The Film on the Moon Cinema―」は、4月17日~5月9日に都内・PARCO劇場ほか、大阪で上演。(※新型コロナウイルスの影響により一部公演中止、4月30日から開幕予定)

公式サイト https://stage.parco.jp/program/mooncinema

 

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