【インタビュー】土曜ドラマ「六畳間のピアノマン」加藤シゲアキ「何かを変えたければ行動することが大事」

2021年2月5日 / 12:00

 土曜ドラマ「六畳間のピアノマン」が、2月6日午後9時から毎週土曜日にNHK総合で放送される(全4回、27日のみ9時10分開始)。本作は、安藤祐介の『六畳間のピアノマン(改題:逃げ出せなかった君へ)』が原作。ビリー・ジョエルの名曲「ピアノ・マン」を動画投稿サイトで歌う「六畳間のピアノマン」を名乗る青年と、彼と関わりを持った人々の人生模様を四つの物語で描く。第1回の主人公・村沢憲治を加藤シゲアキ(NEWS)が演じる。ピアノマンこと夏野誠(古舘佑太郎)の元同僚の村沢は、8年前に上司のパワハラで悩む夏野を救えなかった過去に苦しみながら、現在は派遣社員として職場を転々としている。今回は、加藤にドラマの見どころや、撮影を通して感じた思いなどを聞いた。

村沢憲治役の加藤シゲアキ(C)NHK

-ドラマの撮影はいかがでしたか。

 第1回の主役を演じるというのは、プレッシャーというか、重責でしたが、大阪での撮影ということもあって、笑いの絶えない現場でした。アットホームな空気感であるのと同時に、撮影が始まったら集中して作品を作り上げていく、とにかくドラマを良質なものにしたいという志が感じられる、非常にやりがいのある現場でした。個人的なことを言うと、僕は撮影期間中にコロナにかかってしまって、随分とご迷惑をお掛けしてしまったのですが、それでも温かく迎えてくださり、どうにか無事に全話オールアップすることができてホッとしております。

-村沢を演じたことで、加藤さんの中で何か変化はありましたか。

 8年前と現在、そして1年後を行ったり来たりする物語なのですが、村沢に共感する部分がたくさんありました。理不尽な目に遭うというのは、誰しもいくらか経験があることだと思います。その中で、ときに勇気を振り絞って前に進んでいく…。村沢のせりふにもあるのですが、一見、誰かのためにアクションを起こしているようで、実は自分が変わるために大胆なアクションを起こすわけです。そういう村沢の大胆さにはすごく共鳴したし、感情移入しました。

-関西弁でのお芝居はどうでしたか。

 難しかったです。僕自身は5歳から10歳ぐらいまでの間、大阪の豊中市で過ごしていたので、初めて覚えた言語は割と大阪でのものが多かったんです。でも、やはりこっちに引っ越ししてきてからは、子どもで順応も早く、東京の言葉に変わっていきました。多少大阪の言葉も自分の中に残ってはいるだろうという自負はあったのですが、関西弁でせりふを覚えて言う…。ある意味、自分の言葉でないものを自分のものにしていく作業というのは初めてだったので最初はすごく戸惑いました。

-どういうアプローチをしましたか。

 方言指導の方に音声を頂いてずっと聞いていました。ただ、聞いているうちに思い起こされていったものが多くて、音声も感情を入れずに棒読みで読んでくださっていたので、途中からはその音声をなぞるというよりは、お芝居するときに多少アレンジして、自分なりの言葉でしゃべることができるようになっていきました。場面ごとに緩急を付けるお芝居は難しかったですけど、新鮮で楽しく演じることができました。

-「組織でどう生きるか」を描いたドラマでもあります。加藤さん自身、組織で生きていく上で大切にしていることはりますか。

 これは僕自身、常々思っていることなのですが、組織というのは、作っているのは全員、個人、人間のはずなのに、組織という集合体になると全く別の顔をしてしまう。そしてその巨大なものの波、動きというものには、なかなか一個人があらがうことができないケースがあると思うんです。組織にあらがった場合、人生がどうなるかという不安はあるけれど、逃げてもいいだろう、逃げた方が勝ちというケースもあるんだろうなと今回は思いました。組織を変えようということが、まず大前提だと思いますが、村沢のように会社を去るというアクションが、その後の会社をよくしていくこともある。組織に属している人間たちが、人間らしさを失わないようにと意識し続けることができれば、よりよい会社になっていくのだと思います。

-選択肢はいろいろあるということですね。

 もっと個人的なことで言えば、何かを変えたければ行動することが大事なんだと思います。僕が作家になったきっかけは、このままではどうにもならないと思って、事務所の偉い方に直接電話を掛けたことでした。今考えたら怖いですが、そのとき思い切ってやってみたことが、今の作家の活動につながっていると思います。また、僕が小学6年生のときに中学受験を控えていて、その期間はジャニーズ事務所をお休みしていたのですが、戻るときに直接ジャニー(喜多川)さんに電話をかけたら、『ユー、来ちゃいなよ!』と言われて、改めて活動することになったんです。なので、自分の中でいろんなことを考えていても物事はあまり変わらないけれど、時には大胆なアクションを起こすことで、みんなの目も変わることもあるのかなと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

広瀬すず「この女性たちの化学反応は一体何なんだという、すごく不思議な感覚になります」『遠い山なみの光』【インタビュー】

映画2025年9月9日

 ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロが自身の出生地・長崎を舞台に執筆した長編小説デビュー作を、石川慶監督が映画化したヒューマンミステリー『遠い山なみの光』が9月5日から全国公開された。1950年代の長崎に暮らす主人公の悦子をはじめ、悦子 … 続きを読む

増田貴久、NEWS衣装のこだわりは「そのシーンを覚える一つのアイテムになる」こと 「ファッションフリークショー」ではアンバサダー就任【インタビュー】

ドラマ2025年9月9日

 2023年の日本初演で大きな反響を呼んだ、ジャンポール・ゴルチエの激動の半生を描いたエンターテインメント「ファッションフリークショー」が、9月12日から日本再上陸する。本作は、世界的ファッションデザイナーとして知られるジャンポール・ゴルチ … 続きを読む

岩崎愛奈プロデューサー「一緒に『生きるとは何か』を考えていただけたらうれしいです」日曜劇場『19番目のカルテ』【インタビュー】

ドラマ2025年9月6日

 TBSでは毎週日曜夜9時から、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」が放送中。富士屋カツヒトによる連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」(ゼノンコミックス/コアミックス)を原作に、「コウノドリ」シリーズ(TBS系)の坪田文が脚本を手 … 続きを読む

井之脇海「ものすごい達成感がありました」蔦重に見守られながら迎えた新之助の最期【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年9月4日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。8月31日放送の第33回「打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく … 続きを読む

坂東龍汰「この映画は絶対に映画館で見てほしいです。特にドラゴンライドのシーンは圧巻です」『ヒックとドラゴン』【インタビュー】

映画2025年9月4日

 ドリームワークス・アニメーションの代表作を実写映画化したドラゴンライド・アドベンチャー『ヒックとドラゴン』が9月5日から全国公開される。バイキングとドラゴンが争いを続けてきた島を舞台に、心優しいバイキングの少年ヒックと傷ついたドラゴンの交 … 続きを読む

Willfriends

page top