エンターテインメント・ウェブマガジン
アガサ・クリスティ生誕130年となる2020年、演出・河原雅彦、主演・椎名桔平による、舞台版「オリエント急行殺人事件」が上演される。本作は、1934年に英国で出版された後、名探偵エルキュール・ポアロが軽妙に事件を解決するさまが世界中の人々を魅了し、幾度もドラマ化、映画化されてきた。舞台版は、2019年に日本で初演された。ポアロを演じる椎名に、作品への思いや、役作りについて聞いた。
2年前に舞台に立たせていただいたときも、5年ぶりだったんです。今回も久しぶりの舞台になってしまいましたが、この作品に出演させていただけることは、大変光栄に思っています。僕にとって、この作品は、新しいチャレンジです。ポアロのイメージは自分とは一致しなかったものですから、果たして自分にできるのかという思いもあります。原作のファンの方も、映画のファンの方もいらっしゃいますが、その方たちがこの作品を、そしてポアロという役を新鮮に見てもらえればと思って、今、稽古に励んでいます。
1934年当時、アメリカやヨーロッパから見たら、東洋は神秘的な土地だったと思います。そんなミステリアスな異国に向かう、オリエント急行もまた、独特の世界観があり、それが魅力の一つだと思います。それはある意味、人間が本来持っている「見果てぬ地への憧れ」にも共通するものなんじゃないかな、とこの作品を読んで感じました。物語的なことで言えば、すでに多くの方がこの作品の結末を知っていると思いますが、出版された当時は、誰も想像できない結末だったはずです。これだけ斬新なミステリーはなかなかない。その斬新さは色あせないものではないでしょうか。
今(取材当時)、稽古真っ最中なのですが、まだ、あまり決めつけないで、稽古の中で何が生まれてくるのかを考えながら演じている段階です。稽古が終わって自宅で夜に台本を読んでいると「こうしたらどうかな」というアイデアが生まれてきて、でもそうすると最初から演技を変えないといけないぞ、とか(笑)。そんなことを日々、考えて、試しています。
演出の仕方がとても優しく、丁寧な方です。ご自身でも演技をされているので、気持ちの出どころを理解した上で演出をつけてくださいます。なので、俳優としてはとても理解しやいと感じました。それから、直接お伺いしたことはないですが、河原さんは「言葉」に対して強いこだわりや独自性があるように思います。昨年、初演を成功させているという裏付けもあり、すぐに信頼感が持てました。
僕よりも舞台を好きな方もたくさんいらっしゃいますし、舞台を主戦場にされている役者さんもたくさんいらっしゃる。その中で、僕が出ていくのはおこがましいという気持ちもあって、なかなかコンスタントに出演はできていないのが現状です(笑)。ただ、先日、鹿賀丈史さんが出演されていた、ミュージカル「生きる」を見に行き、新しいミュージカルの表現に感動し、改めて舞台作品への思いも強くなりました。僕も音楽の勉強を続けていけば、いつかミュージカルにもチャレンジできる機会があるかもしれない、それも楽しんじゃないかなと、そんなことも考えたりしました。
映画2025年7月4日
第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年7月4日
2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。 物語の舞台は歌舞 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年7月3日
グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む
映画2025年7月3日
1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む
ドラマ2025年7月2日
磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む