【インタビュー】『泣く子はいねぇが』仲野太賀「等身大の自分を余すことなく表現できると思った」吉岡里帆「プレッシャーで、頭がはち切れそうでした(笑)」同い年の2人が真正面から向き合った撮影の舞台裏

2020年11月19日 / 10:00

-共演した中で、印象に残っていることは?

仲野 撮影初日、吉岡さんと初めて向き合ったときに、「強っ!」と思ったんですよね。「うわ、ことね強い!」って。

吉岡 (笑)。

仲野 それはもちろん、たすくとことねという関係性もあったと思いますが、それ以上に、吉岡さんから気迫みたいなものを感じたんです。吉岡さんがどんなふうにこの作品を捉えているのか、事前に話をする時間がなくて不安だったんですけど、目を見たら一瞬で分かったんです、本気で来てくれてるって。たすくが「圧倒的にかなわない」と思うようなたたずまい。母としての覚悟や女性の強さを感じさせる中に、はかなさもあって…。そういうものをはらんで現場に来てくれたので、本当に感謝しかありませんでした。

吉岡 そう言ってもらえるのは、すごくうれしいです。私もプレッシャーを感じて現場に行っていたので…。この作品に懸ける監督の思いや題材の難しさがある上に、シーン数もそれほど多くない中で、きちんと影響を与えなければいけない。最初に撮影したのは、冒頭の「子どもが生まれた直後なのに、破局寸前」みたいな場面だったんですけど、物語の軸になる部分だったので、かなり悩みながら現場に入りましたから。悩み過ぎて、頭が痛くて、熱くて、はち切れそうでした(笑)。

-本作は、企画に名を連ねる是枝裕和監督が才能を認めた新人・佐藤快磨監督の劇場映画デビュー作としても注目を集めています。お二人から見た佐藤監督の印象は?

仲野 世の中には、「誰かが決めた平均点」ってありますよね。その平均点にちょっと追いつかない人を、すごくいとおしく描くことができる人だな…と。それは多分、人間に対する期待とか愛情があるからだと思うんです。僕は今まで、これほどスタッフに愛された新人監督に出会ったことがありません。みんな監督と脚本を信じて、この映画を作っている。そういうところが、すごく魅力的。このタイミングで、同年代の映画作家に佐藤監督がいる。これ以上、心強いことはありません。

吉岡 言いたいことがそっくりで、びっくりしました(笑)。本当に、人が見落としてしまう部分とか、切り捨ててしまう部分を、絶対に切り捨てない。なんなら、ゴミ箱から拾って「これ、まだ使えるよ」って、くしゃくしゃになった紙を伸ばして、メモ帳に使ったりできる人。そういう印象です。本当に優しい人だから、撮れる映画だな…と。完成した映画を見ても、ものすごく佐藤監督を感じる。同年代にこういう方がいらっしゃるのは、本当にうれしいことだし、そんな方の作品に出られたことを、誇らしく思います。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

丸山隆平「きっと誰も見たことがないものになる」 舞台「water」で挑む半自伝的作品【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月14日

 丸山隆平と、演劇団体マームとジプシーの主宰を務め、劇作家・演出家として注目される藤田貴大が企画し、作り上げる舞台「water」が9月27日から上演される。本作は、丸山の記憶の断片を散りばめながら、藤田の視点で見つけた京都という土地、そして … 続きを読む

倉悠貴 豊臣兄弟を支える軍師・黒田官兵衛を好演中「最後までしっかり演じ切りたい」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年9月13日

-本作では戦国時代の過酷さが描かれる一方で、ユーモアのあるシーンも多いですが、その辺もお二人が空気感を作っているのでしょうか。  その点は、お二人と一緒に現場を引っ張ってくださる蜂須賀正勝役の高橋努さんの存在も大きいです。この作品は、戦国時 … 続きを読む

安田章大、『髪結いの亭主』の初めての舞台化に「人間たちの退廃感がより響くのではないか」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月9日

 1990年に公開されたパトリス・ルコント監督の代表作『髪結いの亭主』が、安田章大主演で初めて舞台化される。原作となる映画は、一人の男の純粋で偏愛的な恋心を描いたフランス映画の傑作。今回の舞台化では、原作映画を大胆にアレンジし、物語を195 … 続きを読む

【映画コラム】8月の公開映画から

映画2026年9月4日

「ミニオンズ&モンスターズ」(8月7日公開)★★★ 映画のパロディーが満載  最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズがたどり着いたのは、1920年代のハリウッド。西部劇の撮影に乱入したことから映画スタジオに入り込み、人気スターと … 続きを読む

山口馬木也 柴田勝家の最期は「不思議な体験でした」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年8月30日

-劇中では、秀長と秀吉に対する「認めたくないが、認めざるを得ない」という勝家の複雑な心情が見事に表現されていました。秀吉役の池松壮亮さんとのお芝居はいかがでしたか。  仲野太賀さんと池松壮亮さんは、周囲に対する気配りを欠かさない素晴らしい俳 … 続きを読む

page top