【インタビュー】映画『静かな雨』仲野太賀 縁がなかった“恋愛映画”に期待! 世界を視野に入れた活動にも意欲的

2020年2月6日 / 14:52

 若手実力派俳優の一人として注目を集め、映画・ドラマに引っ張りだこの仲野太賀。コメディーからシリアスものまで幅広いジャンルの作品で存在感を見せつけているが、この度挑戦するのは純愛映画。あまり経験がないというラブストーリーにどう挑むのか…? 昨年の改名にまつわる知られざるエピソードを、今後の展望とともに語ってくれた。

仲野太賀(スタイリスト:榎本愛子)

 本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』で知られる宮下奈都の同名小説を基にした映画『静かな雨』。事故の後遺症により記憶が刻まれなくなったこよみ(衛藤美彩)と、彼女を支える行助(仲野)。一日一日を大切に生きる2人の心情を美しい映像とサウンドでみずみずしく描いた、切なくもいとおしい物語だ。

 そう聞いて、ピンとくる人もいるだろうが、本作は2018年に公開された山田孝之と長澤まさみのダブル主演映画『50回目のファーストキス』と“記憶障害のヒロインをめぐる恋物語”というモチーフが同じ。仲野は目覚めるたびに記憶がリセットされる瑠衣(長澤)の弟・慎太郎役で出演したため、「同じモチーフだったので正直迷いました」と本作のオファーを受けた約1年前の心境を吐露する。

 しかし、中川龍太郎監督から「全く違う形になるから比較対象にはならないよ」と伝えられたことで安心し、映画『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(15)でもタッグを組み、普段から交流のある同世代の中川監督の「力になりたい」という気持ちも込めて出演を決めた。

 また、「中川くんが初めて原作がある映画を手掛けるので、これまでのフィルモグラフィーの中で異端になる作品を作りたかったし、普通の純愛物語にしたくなかった」と熱い思いがあったことも打ち明けると、「おとぎ話のような独特な世界観を持つ物語だから、枝葉の部分はエッジが効いていても、幹の部分は普遍的なものにしたかったし、そのあんばいに結構悩み、みんなでディスカッションを重ねました」と撮影時を振り返った。

 「ほとんど経験がない」というラブストーリーだが、「コメディーでも、家族ものでも、恋愛ものでも、『この人のためになりたい』と愛情を向けることが役作りのスタートになるので、その相手が、友人や家族、恋人でも気持ちの起こし方は変わりませんでした」と気負いはなかった様子。満足のいく行助を演じられた仲野は、「恋愛ものは今まで縁がなかったけど、機会があれば今後もやっていきたいです」と期待を寄せた。

 女性のタイプも尋ねてみると、「子どもの頃から勉強ができなくて、クラスでも騒がしい方だったので、自分とは真逆のおとなしくて知的な女の子に引かれていました。ビジュアル的には、海とか森とか田舎とか自然が似合うナチュラルな感じが好きかな」とにっこり。

 加えて、「僕は仕事の優先順位が高いので、相手にもそうであってほしいし、互いに高め合えるといいですね」と理想の関係性にも言及した。

 本格的ラブストーリーに挑戦した仲野は本作以降、4本の映画の公開が控えており、今ノリにノッている。その要因は改名にもあるのだろか…。

 もともと「太賀」という芸名は父・中野英雄と事務所によって決められたもので、仲野は「ずっと名字がほしかった」と明かす。そもそも仲野自身、2世であることは「一人の役者としての自分を見てほしいという気持ちはあったけど、2世俳優という目で見られることは宿命だから仕方がない」と考えていた。

 とはいえ、「名字がないことで2世であることを隠している」ようにも感じており、「そんなに気になるなら変えちゃえ!」と決意。その際、「中野」ではなく「仲野」にしたのは、「俳優人生において仲間との出会いが財産」と感じていたからだそうだ。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

 日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。  主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

 40人の武装強盗団が、ニューデリー行きの特急寝台列車を襲撃! 刀を手に乗客から金品を奪う強盗団のリーダー、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は、大富豪タークルとその娘トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を人質に取り、身代金奪取をもくろむ。だがその列車 … 続きを読む

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

Willfriends

page top