【インタビュー】「女の一生」大竹しのぶ&高橋克実&段田安則&風間杜夫「一言一言がじんわりとお客さんの心に染みわたっていく作品に」

2020年10月20日 / 08:05

-本作を見たお客さんにどんなことを伝えたいですか。

段田 芝居を見て元気を出していただきたいとか、希望を見いだしていただきたいと言っても、ありふれた言葉でしかないとは思いますが、生きてさえいれば、次の手立てが見つかって、希望も見えるんだと僕は思っています。この物語でも、まさにそのようなせりふが出てきます。(困難な状況で前を向くことは)簡単なことではないですが、この舞台を見て、頑張ろうと思っていただければ幸いです。

大竹 シェークスピアの時代にも、同じように世界中を震撼(しんかん)させる疫病がはやったことがあったそうです。そのとき、シェークスピアは、劇団のことを考えて郊外に避難し、そこで「マクベス」の「明けない夜はない」というせりふが生まれたと本で読みました。今、私たちも、現実を受け止めて前を向くしかないと思っています。お客さまは不安を抱えながら、それでも劇場で見たいと思って来てくださるので、来て良かったと思ってもらえる芝居を今だからこそ作らなくちゃいけないと思います。

高橋 コロナのことももちろんそうなのですが、それだけでなく、あちこちに心に刺さるせりふがあります。どこの家庭にもあるような悩みや、日常が描かれているので、きっと皆さん、どこかに共感できると思うんです。家族とのつながりとか、仕事の失敗とか、誰もが持っているような悩みも出てくるので、それを見て、みんな同じなんだなと思ってもらえたらいいのかなと思います。主人公のけいも、「なんでこうなったんだろう」と言いながらも、乗り越えて生きていきます。生きるってきっと、そういうことなんです。ああ、自分もこうだったな。自分も頑張ってきたんだなと思ってもらえたらと思います。

風間 この作品の稽古で、僕、泣いてしまったんですよ。泣けて泣けて仕方なくて…。センチメンタルな意味ではなく、泣きたいときは思い切り泣いた方がいいと思います。それで、錯覚でもいいから、ちょっと前向きに生きてみようかなと思ってもらえたら。きっとそう思える舞台だと思います。大きな感動が、なんて、そんなことまでは期待していません。錯覚でいいから、ここから心構えも新たに始まるんだと思ってもらえたらうれしいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

舞台「女の一生」 布引けい役の大竹しのぶ

 舞台「女の一生」は、11月2日~26日に、都内・新橋演舞場で上演。
公式サイト https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/enbujyo_20201031/

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

鈴鹿央士「絶対に映画館で見て損はさせない映画になっています」『藁にもすがる獣たち』【インタビュー】

映画2026年9月29日

-おばあちゃん役の風吹ジュンさんとの印象に残ったエピソードがあれば。  とても面倒見のいい方で、何か聞いたら何でも返してくれるし、気を使ってくださいました。本当は僕が気を使わなければいけないのに、風吹さんの方から、「大丈夫よ。頑張ろうね」っ … 続きを読む

向井理、演出家・倉持裕と再びタッグ 6人で描き出す会話劇に「戻ってきたな。こういうことがやりたかった」 M&Oplaysプロデュース「ブランク」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月29日

 向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む

「生きることはこんなに面白いと示したい」制作統括が「ブラッサム」に込めた思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月28日

-そんな珠の父・清治は、現代ではありえないほど娘に厳しく接しますね。  厳しい父親の話は、宇野千代さんの著書にも書かれていることです。現代の視点で見るとつらい話ではありますが、当時の家父長制の下では、ああいう側面があったことは事実です。ただ … 続きを読む

page top