【インタビュー】映画『一度も撃ってません』阪本順治監督「こういう時代だからこそ石橋蓮司を見てほしい」

2020年6月29日 / 06:00

-それが表現できるのは、やはり石橋蓮司さんということになるわけですね。

 蓮司さんは、時代を読み取ったりする賢さや、今の社会に対する言葉もちゃんと持ってらっしゃいます。だからこそ、それを裏返しにしても、ちゃんとあの人の実人生が出てくるんです。蓮司さんは今年79歳ですが、まだまだお元気なんですから、主役として映画を担ってもらいたいという思いがありました。もう、共演していない人がいないぐらい、ありとあらゆる映画やドラマに出演されていて、蓮司さんが出ているからこそ生まれたシーンもたくさんあって。もう本当に“宝物”のような存在ですよ。今回は、僕にとっての宝物の人たちに集まってもらったので、それが結果的に観客の皆さんにとっても宝物のような映画になればいいかなあと思います。

-では、この映画をどんな人たちに見てもらいたいですか。

 この映画は、若い観客はもちろん、若い俳優さんにも見てもらいたいです。それで、年長者たちの遊び方や、映画を豊かにするための遊びはこういうこと、というのを知ってもらいたい。今は芝居がうまい若い俳優さんはたくさんいますし、役作りも真面目にストイックにしている。でも、その向こう側に、もう一つ見なければいけない風景があって、そこに到達した人たちの芝居を見てほしいと思います。

 今回も、妻夫木聡くんをはじめとする若手たちには、自分が主演でなくても、蓮司さんと芝居を交わすことへの期待値が相当あったと思います。たとえワンシーンでも、蓮司さんと一緒に過ごすことで生まれてくるものがあるという。そういう思いを持ってきたので、ゲストでも友情出演でもなくなってくる。普段以上に気張らないと蓮司さんに太刀打ちができないからです。でも、スターが入れ代わり立ち代わり現れるから、実は蓮司さんも僕も緊張して大変でした。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ

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