【インタビュー】改竄「熱海殺人事件」馬場ふみか&兒玉遥 それぞれのアプローチで挑む婦人警官役「作品にとっても自分にとってもプラスになるように」

2020年3月14日 / 09:08

 つかこうへい演劇祭 ―没後10年に祈るー 第二弾「改竄・熱海殺人事件」が上演中だ。つかこうへいの代表作の一つであり、これまでに何度も再演を重ねてきた「熱海殺人事件」だが、令和初上演となる今回は、「ザ・ロンゲストスプリング」と「モンテカルロ・イリュージョン」の豪華2本立てで送る。決定版として有名な「ザ・ロンゲストスプリング」で、木村伝兵衛部長刑事を演じるのは荒井敦史。捨て身の潜入捜査を行う水野朋子役を馬場ふみかが演じる。一方、「モンテカルロ・イリュージョン」は、かつて阿部寛が主演し、数あるバージョンの中でも異端とも言われる作品。木村伝兵衛部長刑事を多和田任益、木村のパートナーの警官・水野朋子役を兒玉遥が演じる。同じ水野役を演じながらも、全く違ったキャラクターを作り上げている馬場と兒玉に公演への意気込みを聞いた。

兒玉遥(左)と馬場ふみか

-開幕を間近に控え、稽古にも熱が入っている時期かと思いますが、稽古の進み具合はいかがですか。

兒玉 私はこの作品が舞台は2作品目になるんですが、「モンテカルロ・イリュージョン」は歌と踊りも入り、多様性が求められる作品だと思うので、しっかりとやり切りたいなと思います。

馬場 「ザ・ロンゲストスプリング」チームは、今日(取材日)、初めて衣装を着ての通し稽古をするのですが、衣装を着ることでまた新しく気付くこともあると思うので、まだまだやらなくてはいけないことがたくさんあるという気持ちです。

-お二人が稽古場で意見を交わすようなことはあるんですか。

馬場 それぞれのバージョンごとにお稽古をしているので、入れ替わりのタイミングであいさつするくらいで、実はしっかりとお話はできていないんです。

兒玉 同じ水野役なので、もっとお話ししたいと思っていたのですが…。こうやって対談をするのも初めてなので今日はうれしいです!

-では、改めて、舞台への出演が決まったときの気持ちを教えてください。

兒玉 私は(2019年に上演された「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」で水野を演じた)今泉佑唯ちゃんから、稽古でいっぱい悩んだという話を聞いていたので、私にできるかなという不安やプレッシャーがありました。でも、任されたからには、私が演じる意味を考えて、作品にとっても、自分にとっても、プラスになるように頑張ろうと思っています。

馬場 私も、心のどこかであの舞台に立ちたいという気持ちがあったので、お話を頂けたときはうれしかったですが、同時に自分にできるのかなという気持ちもありました。でも、今回を逃したら一生できないと思ったので、これは絶対にやらなくちゃと思ってお受けいたしました。

-「モンテカルロ・イリュージョン」の魅力や見どころは?

兒玉 歌やダンスが入る華やかなステージで、一人一人のエピソードがしっかりと描かれています。そのエピソードは、時系列も場所もバラバラではあるのですが、最後にはしっかりとまとまるので、全体の雰囲気を楽しみながら見ていただけるといいと思います。

-「ザ・ロンゲストスプリング」は決定版ともいわれるバージョンですが、こちらのバージョンの魅力は?

馬場 今回は(演出の)中屋敷(法仁)さんが男女の話を選んで脚本にしています。なので、登場人物たちが、それぞれに自分の女の話、男の話をひたすらしているんです。「私の男は」「俺の女は」ってぶつけ合っているので、胸焼けがするぐらい暑苦しいと思います(笑)。

-バージョンによって同じ水野でもキャラクターが全く違うと思いますが、お二人はそれぞれ水野という人物をどうとらえていますか。

兒玉 モンテカルロでは、水野は木村部長のことを好きなのに、木村部長がバイセクシャルなので相手にされず、ずっと一方通行なんです。思いが報われることはないのに、水野は真っすぐに木村を思っています。好き過ぎて、究極の状況になって、すごくダサい言葉を言ってしまったりもするのですが、そんな気持ちを応援しながら見てもらえたらうれしいです。

馬場 ロンゲストでは、水野と木村の関係性が全く違います。お互いに好きなんだけど、絶対に交わらない。劇中では、気持ちが通じているようなシーンもありますが、どうしてもたどり着かない。もどかしい二人なので、演じていると切なくなります。

-中屋敷さんの演出の印象は?

兒玉 タイトルに「改竄(かいざん)」という文字が入っていたので、どういう意味だろうと思っていたのですが、お稽古が始まったら最初の台本から変更することも多くて、まさに「改竄」しながら物語を作っている気がします。

馬場 うん。それから、中屋敷さんは、ここでこういう動きをしてほしいと、細かく演出をしてくださるので演じやすいですね。その動きも、何度か演じているうちにしっくりきて、意味のあるものになっているので、素晴らしい演出だと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【インタビュー】舞台「迷子の時間-語る室2020-」松岡広大が語る舞台への思い「芝居をすることは生活の一部」

舞台・ミュージカル2020年10月26日

 前川知大・演出、亀梨和也が主演する舞台「迷子の時間-語る室2020-」が11月7日から開幕する。本作は、新生PARCO劇場のオープニング・シリーズの一作として上演されるもので、前川が、2015年に自身が主宰する劇団イキウメで上演した「語る … 続きを読む

【映画コラム】ストリップ劇場を舞台にしたラブストーリー『彼女は夢で踊る』

映画2020年10月24日

 新型コロナウイルスの影響で、東京での上映が延期されていた、広島発の映画『彼女は夢で踊る』が10月23日から公開された。  広島の老舗ストリップ劇場に閉館の時が迫っていた。社長の木下(加藤雅也)は、過去の華やかな時代や、自らの若き日(犬飼貴 … 続きを読む

【インタビュー】舞台「チョコレートドーナツ」宮本亞門「人が愛し合ったところに真実が生まれるということを大切にしたい」 谷原章介「ポールとしてルディの一番のファンでありたい」

舞台・ミュージカル2020年10月23日

 12月7日からPARCO 劇場オープニング・シリーズ「チョコレートドーナツ」が上演される。原作は、日本でもロングランヒットしたトラビス・ファイン監督の映画『チョコレートドーナツ』。1979 年のウェスト・ハリウッドを舞台に、ショーパブの口 … 続きを読む

【インタビュー】『オレたち応援屋!!』A.B.C-Zのメンバーがそろって主演!「5人のやりとりは、素の僕たちに近い」

映画2020年10月22日

 A.B.C-Zの橋本良亮、戸塚祥太、河合郁人、五関晃一、塚田僚一が主演する映画『オレたち応援屋!!』が、10月23日から全国公開される。本作は、A.B.C-Zのメジャーデビューに合わせ、5人単独で座長を務める形で始まった舞台“ABC座”の … 続きを読む

【インタビュー】「女の一生」大竹しのぶ&高橋克実&段田安則&風間杜夫「一言一言がじんわりとお客さんの心に染みわたっていく作品に」

舞台・ミュージカル2020年10月20日

 昭和20年、終戦直後に森本薫が書き下ろし、杉村春子が初演した「女の一生」。杉村は、その生涯で、947回にわたって主人公の布引けいを演じ、観客から圧倒的な支持を得た。今回、その布引けい役に大竹しのぶが初めて挑む。段田安則が、けいが拾われる堤 … 続きを読む

page top