【インタビュー】映画『AI崩壊』大沢たかお 休業中に俳優をやめる覚悟…覆したのは“スリル”の再燃

2020年1月30日 / 18:21

 2019年に公開された大人気漫画の実写映画『キングダム』で将軍・王騎役を演じるに当たり、体重を15キロも増やす肉体改造など、徹底した役作りで話題を集めた大沢たかお。ミドル世代の人気俳優として仕事は引きも切らず、数々の作品に携わっている印象だが、実は2016年から約2年間にわたって俳優活動を休業しており、芸能界に復帰する気持ちも薄れていたのだとか。その気持ちを覆したのは…“スリル”だ。

大沢たかお

 2015年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」に出演後、人知れず2年間も俳優活動を休んでいた大沢。当時を思い返し、「極端に言うと、戻ってくる気はありませんでした。自分の中に明快なものがない限り、作品作りに携わっても、いい結果が出ないと思っていました」と吐露する。

 芸能界デビューはモデルで、芝居の世界に飛び込んだのは26歳の頃。「ものすごいスリリングなことを求めていて、作品を一本やったらやめる気持ちでいました。実際、なんの経験もなかったから大変なことばかりで、だからこそ徹底的に準備をして臨んだので、後の二十数年間と比較しても、あれだけ頑張ったスリリングな1年はないです」と回顧する。

 その感覚が忘れられないことや、「経験はマイナス。新しい発想が生まれなくなるし、台本をもらっても、先が読めて、見ている人が感じることも予測できるから、だんだん息が詰まってきて、面白くなくなりました」と仕事に対する意欲が薄れたことを告白した。

 大沢にとっての「明快なもの」とは、作品に携わる“意義”と“スリル”だ。そもそも「演技愛があるわけではない」ため、「日常的なストーリーや家族の物語、ラブストーリーといったリスクを伴わない無難な作品は、いいとか悪いとかではなく僕がやる必要はない」と断言する。そのため、休業中は「スリルを感じられる作品に出会えるなら、それだけをやって俳優をやめよう」という覚悟もしていた。

 その中で出会ったのが、映画『キングダム』や、英・ロンドンのウエスト・エンドで上演されたミュージカル「王様と私」、そして『AI崩壊』だ。これらを選んだ共通の理由は、「今までの自分の経験が全く通用しないし、誰もが簡単に思いつくイメージで関わったら大失敗する。行けるところのギリギリまで行って勝負しないと評価されない」こと。

 『AI崩壊』は、全国民の個人情報、健康を完全に管理する医療AI<のぞみ>が突如、年齢、年収、家族構成、病歴、犯罪歴等から合理的に人間の生きる価値を選別して殺りくを開始。パニックに陥る10年後の日本を舞台に、AIを暴走させたテロリストと断定された天才科学者の桐生浩介(大沢)が決死の逃亡劇を図るサスペンス超大作映画。

 数年前から講演会に赴くほどAIに興味を持ち、「社会の構造が変わるような革命的なものになると感じていた」と話す大沢は、「AIが自分の仕事に直接かかってくるとは考えもしなかった」と驚きつつ、「入江悠監督の作品も好きだったし、今の日本には珍しいオリジナル脚本のエンターテイメント作」に食指が動いたことを説明する。

 過酷な役作りで挑んだ『キングダム』の王騎役、芝居の本場イギリスに単身渡り、全編英語のせりふに挑んだ「王様と私」のクララホム首相役や王様役。では、桐生役における“勝負”とは? 

 大沢は「オリジナル作品だからこそ話をどんどん変えていけるし、AIによる人類の殺りくという挑戦的な作品だからこそ、ルールに縛られないアプローチができました」と語ると、入江監督やプロデューサーと意見交換を重ね、「エンターテイメント大作にもかかわらず、桐生がスーパーヒーローではなく普通の人間だったらどうだろうか? という考えにたどりつきました」と振り返る。

 逃走シーンでも、「アクション映画の中のトム・クルーズみたいな走りでは駄目。だって、皆さんの旦那さんや彼氏が急に走ることになったときにスマートに走れますか? しかも桐生は科学者で、走ることを必要とする生活をしていないから、突然ダッシュなんてしたら疲れるし、ボロボロになりますよね」と見解を示す。

 「だから、頭はいいけど、それ以外は欠落して、もがき苦しむような人間を演じようと思いました。そういう主人公は今まで演じたことがなかったので、自分としては挑戦でした」と充実した表情をのぞかせる。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】角川映画50th ANNIVERSARY「角川映画祭」

映画2026年5月18日

 角川映画50th ANNIVERSARY「角川映画祭」が、5月1日から9月17日まで都内・角川シネマ有楽町で開催中だ(全国順次開催)。  初作となった『犬神家の一族』(76)から50年。その間、角川映画は「読んでから見るか、見てから読むか … 続きを読む

ユースケ・サンタマリア「クイズ番組が題材のミステリーが面白そうだなと」傑作ミステリー小説の映画化で好演『君のクイズ』【インタビュー】

映画2026年5月15日

 テレビで生放送中のクイズ番組の決勝戦。賞金1千万円を懸けた最終問題に、挑戦者の本庄絆(神木隆之介)は“一文字も聞かず”に正解する。前代未聞の事態は世間を騒がせ、本庄は姿を消す。番組の総合演出を務めた坂田泰彦(ムロツヨシ)は、生放送でその検 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第18回「羽柴兄弟!」新登場した羽柴家臣団期待の俳優陣【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年5月14日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴小一郎長秀/仲野太賀)が、兄・秀吉(=羽柴秀吉/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。5月10日に放送された第18回 … 続きを読む

佐々木蔵之介「毎朝、亡き大森一樹監督に思いをはせながら現場に通っていました」名監督の遺志を継いで主演に挑んだ時代劇『幕末ヒポクラテスたち』【インタビュー】

映画2026年5月8日

 大ヒット作『ゴジラ-1.0』(23)からNHKの大河ドラマ「光る君へ」(24)まで、幅広い作品で活躍を続ける佐々木蔵之介。その主演最新作が、幕末の京都の小さな村を舞台にした医療時代劇『幕末ヒポクラテスたち』(5月8日公開)だ。中国・唐由来 … 続きを読む

ミュージカル「メリー・ポピンズ」通算250回公演達成! 濱田めぐみ「長く長く上演していけたら」 大貫勇輔「毎公演、奇跡を起こせるように」

舞台・ミュージカル2026年5月5日

 ウォルト・ディズニーが映画化し、アカデミー賞5部門を受賞した映画を原作とした、ミュージカル「メリー・ポピンズ」。現在上演中の日本プロダクションが、5月6日に記念すべき250回公演を迎える。それに先立ち、メリー・ポピンズ役の濱田めぐみと、バ … 続きを読む

page top