【インタビュー】映画『いのちスケッチ』 佐藤寛太 一流俳優との共演を経て高みを目指す

2019年11月13日 / 15:11

 福岡県大牟田市に実在する、動物福祉に特化した世界的にも珍しい動物園を舞台に、「命」の物語をつむぐ映画『いのちスケッチ』。主演の佐藤寛太(劇団EXILE)は、これまで恋愛・青春映画に多数出演してきたが、今回は夢破れて故郷に帰るものの、家族や仕事仲間、動物たちと触れ合いながら、再び前向きに歩き出す青年・亮太を繊細に演じている。本作を経て、役者としての成長を期待する佐藤に、撮影時の様子やベテラン役者との共演の感想、今後の展望などを聞いた。

佐藤寛太

-今までとは毛色の違う作品ですが、オファーを受けたときのお気持ちは?

 福岡は母親の故郷なので恩返しができるような気がしました。今回は大牟田弁を使いましたが、博多弁に近い方言を話せる喜びも大きかったです。それに、動物も漫画も好きだし、亮太が漫画家を目指して上京するところは、俳優になりたくて上京した僕と共通しているので役と重ね合わせやすいと思いました。

-しかし、亮太は夢破れて地元に帰りますよね。佐藤さんは順風満帆の人生のように見えますが。

 はたからはそう見えるかもしれませんが、毎回、自分が表現したいことがちゃんと表せているのか不安になったり、満足できなかったりすることがあります。グループの先輩たちはみんな個性が違い、モデルケースになる人がいないので、正直、この先どんな役者を目指して、どうなりたいのか? と考えることは多いです。

-地元に帰りたいと思うこともありますか。

 それはまだないです。でも、一人暮らしに憧れていたわけではないので、実家で暮らしたいとは思います。実家だと何もしなくていいじゃないですか。お母さんは神様ですよね(笑)。撮影が入ると家事に手が回らなくなるので、めっちゃ売れたら福岡から通いたいです。

-亮太が働く延命動物園の野田彰園長役の武田鉄矢さん、亮太の祖母役の渡辺美佐子さんなど、ベテランのキャストと共に、シリアスな作品に挑むことに対する緊張はあったのでしょうか。

 タイトルやキャストの名前を聞いたときは、緊張よりも、この作品で成長できると思いました。ベテラン俳優の方たちの演技は勉強になるし、自分が磨かれるんじゃないかなと期待しました。命をテーマに動物と向き合うような作品も役者人生の中で何本もあるわけではないので、しっかり対峙(たいじ)し、思い出に残る一本にしようと思いました。

-武田さんは同郷の大先輩でもありますが、何を学びましたか。

 武田さんは本当にすごかったです。あの“武田鉄矢ワールド”には圧倒されて、見ていることしかできませんでした…。でも、アドリブで僕にパスを出してくれたときに、返せたことがあったんです。そこはカットされましたが、武田さんから「よくついてこれたね」と言ってもらえてうれしかったです。本編に入っていないからこそ、僕だけの宝物になりました。具体的にアドバイスをするのではなく、「やるから見てろ」「ついて来い」という感じで、背中で示す姿がすてきで、僕もいつかああいう俳優になりたいと思いました。

-座長として心掛けたことは何でしょうか。

 どの現場でも、主演の熱量が作品の熱量に変わっていくので、自分が主演をやるときはいつでも100パーセントで臨もうと考えていたし、実際、かなり集中してできました。それがみんなに伝わればいいなと思っていました。

-絵描きにも挑戦されましたがいかがでしたか。

 めちゃめちゃ大変でした。撮影をしていないときは、動物のフンを片付けるか、絵を描いているかのどっちかというぐらい、毎日すごい練習をしました。漫画は1冊にかける労力が半端ないので、漫喫で読んでいたことが申し訳ないと思いました(笑)。ちゃんと買わなきゃ駄目ですね。

-動物園では、実際に動物と触れあうことも多かったようですが、お気に入りの動物は?

 キリンです。間近で見るキリンは想像をはるかに超える大きさで、「ヤベー!」ってシンプルに思いました(笑)。そのキリンが頭を下げて寄ってきてくれるんですが、それは僕たち人間が逆立ちをしているのと同じつらさがあるんです。それなのに、そうやって懐いてくれる姿はかわいらしいし、気性も穏やかで、触れ合うだけで優しさを感じました。この世で一番好きな動物になりました。

 
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