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「半落ち」「64-ロクヨン-」などの横山秀夫の同名小説を実写映画化した、孤高の泥棒が事件を解き明かす異色の犯罪ミステリー『影踏み』で、プロの窃盗犯として生きる真壁修一役で主演を務めた山崎まさよしと、修一と恋仲の久子役で共演した尾野真千子。本作で初タッグを組んだ2人に、互いの印象や撮影時のエピソードのほか、山崎には役者を続ける理由を、尾野にははまり役ともいえる薄幸女性を演じる上での思いなどを語ってもらった。
真壁は、住人が寝静まった民家で盗みを働く「ノビ師」と呼ばれるすご腕の窃盗犯だが、ある夜、侵入した家で就寝中の夫に火を放とうとする妻を止めた矢先、仕組まれたようにやってきた刑事に逮捕されてしまう。2年後、出所した真壁は、久子の制止を振り切り、自身を「修兄ィ」と慕う若者・啓二(北村匠海)と共に、あの夜の隠された真実に迫っていく…。
山崎 『月とキャベツ』と同じ監督・スタッフなので断る理由がなく、二つ返事で引き受けました。逆に、このスタッフが集まって別の人を主演に据えていたら、「なんで俺やないねん!」ってなりますよね(笑)。
山崎 ウィキペディアで自分の名前を引いたら「ミュージシャン」「俳優」って書いてあるんです。10数年前は、数えるぐらいの作品しかやっていないし、「俳優」は取った方がええんちゃうかなって思っていたんです。でも、デビューから四半世紀にわたって芸能界で生きてきて、自分の見られ方に腹をくくった方がええんちゃうかなってなったんですよ。それに加えて、今回は条件がそろっていて、断る理由もなかったので引き受けました。
山崎 それは経験があまりないので分からないです。ただ、芝居がうまくいって、監督からOKをもらったら、「やった! 今のよかったんか?」とうれしくなります(笑)。
山崎 例えば、刑事や検察官、医者や弁護士といった役を僕が演じてもリアリティーがないけど、泥棒を「自分の腕一本で生きてきた職人気質の男」と捉えるのであれば、ミュージシャンである自分でも演じられる気がしました。役作りは、演技のスキルがないのに作り込み過ぎるのは怖いので、あえてしませんでしたが、真壁を突き動かす情念や過去に対する葛藤については考えていました。
山崎 「どうしますか?」と聞いても、逆に「山ちゃん、どうしたい?」と言われることの繰り返しでしたね。結局自分で考えて出しても、「それはないな」って言われたり、編集でカットされたり…。みんながどうしていいか分からなくなるときってあるんですよ。でも、これが映画なんだと思ってやるしかなかったです。
尾野 脚本に引かれたことはもちろんですが、「山崎まさよしさんと芝居ができるって面白いやん!」と思ったのが決め手でした。
尾野 ミュージシャンだからなのか、普通の役者とは違いました。お芝居がストレートで、作られていない正直さがあって好きです。すてきな感性にズキュンと来ました(笑)。
尾野 自分と真逆の女性役はやりやすいです。やりがいもあり、「見せてやろうじゃない!」という気持ちになるので、性悪女や人を殺す役は楽しんでやっています。逆に、自分に似ている女性を演じる方がなぜかしっくりこないので、コメディーとかは苦手です。
尾野 感覚です。だって山崎まさよしという人がどんな人か分からないから、役を作っていってもひっくり返されると思うんです。なので、普段からなるべく作らず、現場で「そういう感じでやられるんですね」と相手を見ながら構築していきます。
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