【インタビュー】『君は月夜に光り輝く』月川翔監督 永野芽郁&北村匠海ダブル主演作は「『お涙頂戴の難病もの』ではなく、『生きることについての映画』という気持ちで作りました」

2019年9月17日 / 12:00

-永野さんと北村さんの共演はいかがでしたか。

 相性はすごく良かったです。お互いに居心地が良かったのではないでしょうか。僕も、2人に実力を発揮してほしかったので、自然体でいられる現場にすることを心掛けました。そのせいか、2人だけのクライマックスを撮影するときには、思わず僕も泣いてしまったほどで…。普通は「こう動いて」という僕の指示に合わせて「段取り」という形で俳優が動き、それを見て芝居を調整した上で、テスト、本番へと進みます。でもこのときは、段取りの段階で、まるで本当にそれが目の前で起きている出来事のように見えて、心を動かされました。パッと周りを見たら、スタッフもみんな泣いている(笑)。だから、これはテストなしで、すぐ本番に行こうと。

-現場での様子を見て、永野さんの印象は変わりましたか。

 圧倒されました。自分がある程度決めてきたものから、変えづらい俳優の方もいますが、永野さんはこちらがリクエストすれば、「分かりました」と切り替えて柔軟に対応する。現場での集中力も高いです。本番中は本当にその時間を生きている人に見えるのに、終わるといつもの天真らんまんな永野芽郁に戻る。匠海くんもちょっと戸惑っているようでした。「今、あんな芝居していたのに…」と(笑)。僕が今までご一緒した中にはいなかったタイプ。すごい女優です。

-監督がこの作品で最も伝えたかったことは?

 一見、「お涙頂戴の難病もの」と思われそうですが、僕としては、「生きることについての映画」という気持ちで作りました。その象徴が、「光り輝く」という表現。原作よりも「死」のにおいを薄め、元気いっぱいな永野さんをキャスティングしたのもそのためです。徹頭徹尾、「生きる」ことを意識して作った映画です。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)『君は月夜に光り輝く』製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

-撮影で特に印象に残った場面を教えて下さい。  近所の少年たちにいじめられた幸太が大雨の中、おじさんの家の前で黙って座り込んでいるシーンが、すごく印象に残っています。カメラに綺麗に映るように、大量の雨を降らせていたので、その水圧がものすごく … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

-その結果、完成したこの映画では、強盗団が使う刀やナイフのほか、列車備え付けのシャッターや消火器、乗客の荷物など、一見武器になりそうにない身近なものを使った多彩なアクションが見所です。そういうアイデアはどこから生まれたのでしょうか。  私は … 続きを読む

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

-ジュゼッペ役の佐野晶哉さんの印象はいかがでしたか。  ご一緒するのは今回が初めてでした。先に佐野さんの声が吹き込まれている状態でアフレコをさせていただきましたが、1日だけ一緒にお芝居ができた日がありました。その時に、第一声から本当に迷いな … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

Willfriends

page top