【インタビュー】『凪待ち』白石和彌監督「香取慎吾さんは、今まで出会ったどの俳優とも違う。衝撃を受けました」

2019年6月28日 / 14:11

-ギャンブル依存という設定については?

 もともと、こういう話をやりたいと言っていたのは、競輪が大好きな脚本家の加藤正人さんです。僕自身はまったくギャンブルはやらないので、最初は「どうかな…?」とも思いました。ただ、ギャンブル依存症に対する社会の取り組みや国の立ち位置について、「ちょっとおかしいのでは…?」という問題意識は持っていたので、いろいろ考えるうちに「面白そうだ」と。

-香取さんは、そういう社会的なテーマには乗ってきた感じでしょうか。

 全くNGはありませんでした。不思議に思ったのは、香取さんがリリーさんからお金を借りる場面のこと。借りた後の「本当にすいません…」という表情が真に迫っているんです。「こういう人、見たことある」という感じで…。お金を借りる人は借りた瞬間、必ずああいう顔をするんです。でも、香取さんは生活に困ってお金を借りたことなんて絶対にないはず。だから、どうしてあんな顔ができるのかと…。本当にゾクッとしました。間違いなく、世の中をよく見ていますよね。

-郁男という役には、香取さんの今までのさまざまな経験が生きている感じですね。

 そう思います。映画映えもする方ですし、このままではもったいない。忙しいことは分かっていますが、年に2本ぐらい映画に出てほしい。本当にすごい人だと思います。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2018「凪待ち」FILM PARTNERS

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

-堤さんと高橋さんは高橋さんのドラマデビュー作以来のタッグと聞いています。堤さんは高橋さんの吉良上野介にどのような期待を寄せていますか。 堤 ぴったりだと思いますよ。生き馬の目を抜く芸能界で酸いも甘いも知り尽くしていますから。デビューの瞬間 … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

-治済に対する仇討ちのため、対立関係にあった蔦重と松平定信(井上祐貴)がタッグを組む展開にも驚かされると同時に、思わず胸が熱くなりました。 藤並 白河藩に戻った後の定信は、それまでとは打って変わって、大田南畝や山東京伝に本を書かせているんで … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。  功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

Willfriends

page top