山下美月が“かつてなく最高の主人公”に 「自分も成瀬あかりのような人間に近づきたい」舞台「成瀬は天下を取りにいく」【インタビュー】

2026年6月16日 / 08:00

 舞台「成瀬は天下を取りにいく」が7月4日(土)から上演される。本屋大賞をはじめ数多くの文学賞を受賞し、主人公・成瀬あかりが全力で我が道を突き進む姿が読者を魅了した、シリーズ累計発行部数210万部を突破する大人気小説『成瀬あかりシリーズ』。初の舞台化となる本作では、『成瀬は天下を取りにいく』と続編『成瀬は信じた道をいく』を基に描く。成瀬を演じるのは、初の単独主演舞台となる山下美月。山下に役への思いや役作り、本作への意気込みなどを聞いた。

山下美月 【ヘアメーク:miura(JOUER)/スタイリスト:ゴウダアツコ】

-いよいよ公演が迫ってきていますが、今の心境は?

 まだあまり実感はありません。ビジュアルが公開されてから、いろいろな方に「原作が好きだから舞台も楽しみにしている」と声を掛けていただき、そこで初めて少しずつ現実味が湧いてきました。それでも、本当に私が演じるのかなという気持ちはありますが、今は楽しみな気持ちが100パーセントです。

-公開されたビジュアルでは、作中でも印象的な埼玉西武ライオンズのユニホーム姿を披露していますね。

 初めてこのユニホームを着させていただいたのですが、通気性も良く、汗も吸収してくれるので、この夏にぴったりです(笑)。このユニホームと一緒に、地方公演で京都や滋賀に行けるのも楽しみにしています。

-山下さんは成瀬というキャラクターに、どのような印象を持ちましたか。

 初めて小説を読んだときは、かっこよくて、りりしくて、自分の周りにはあまりいないタイプの女の子という印象でした。個性の強いキャラクターですが、自然体で、自分を作ることなく生きていると感じました。

 自分自身、芸能界にいると、どうしても良く見せなければとか、失敗しないようにしなければと、考えてしまうことがあります。でも成瀬は、どんなときも物おじすることなく、ありのままの自分で立ち向かっていきます。それはなかなかできることではないと思うので、私自身も成瀬あかりのような人に近づきたいと思いました。

-成瀬は感情表現の起伏が少なく、あまり笑わない役柄ですが、役作りはどのように考えていますか。

 笑わないキャラクターは、これまであまり演じたことがなかったと思います。ただ、クールとも少し違うんです。成瀬には、自分の信念を貫いているからこその表情があると思うので、冷たい子に見えないようなお芝居を考えたいと思っています。

 私自身も、「笑顔でいて」と言われることが多い人生だったので、逆に安心する気持ちもあります。無理に笑うことは心をすり減らしてしまう行為でもあると思いますが、成瀬は自分に正直に生きているからこそのりりしさがあります。成瀬あかりとして稽古から本番までの約2カ月を過ごせることを、今から楽しみにしています。

-作品にはコミカルな場面も多いと思いますが、感情を表に出さないようにするのは大変ですね。

 そうですね。共演の皆さんのお芝居が本当に面白いので、稽古ではたくさん笑って、本番では少し我慢したいと思います(笑)。共演の皆さんには、なるべくアドリブを入れないでほしいです(笑)。

-成瀬の親友でもある島崎みゆきを演じる藤野涼子さんとの初共演で楽しみなことはありますか。

 成瀬にとって島崎はとても大切な存在なので、それを実際に同い年の藤野さんと演じられることを楽しみにしています。藤野さんの出演作を拝見していたこともあり、少しクールでしっかりした、大人っぽい雰囲気の方なのかなと思っていましたが、実際にお会いすると、とても朗らかで優しい方でした。

 島崎のはつらつとしたキャラクターは藤野さんにぴったりだと感じていますし、舞台経験も豊富でいらっしゃるので、隣でたくさんのことを吸収しながら、2人で良い関係性を築いていけたらと思っています。

 それと、「ゼゼカラ」というコンビ名で、成瀬と島崎が漫才をするシーンが劇中にあるのですが、人生で漫才をする機会は今回が最初で最後かもしれません。そこが一番の課題だと思っています。

-テレビのバラエティー番組などで漫才の経験はありますか。

  バラエティー番組や舞台でコントのようなものをやったことはありますが、漫才は全く違うベクトルのお笑いだと思っています。共演のしずちゃん(山崎静代)さんに怒られないよう頑張りたいです(笑)。

-ご自身では、ボケとツッコミのどちらだと思いますか。

 人生で初めて考えたテーマです(笑)。でも、ツッコミはできないと思います。それこそ関西の方は自然にツッコミをされるじゃないですか。出演したドラマなどで芸人さんとご一緒したときも、本当に1分に5回くらいツッコんでくださるんです(笑)。頭の回転が速くて、本当にすごいなと思いました。私はその真逆ですし、自分ではボケているつもりもないのですが、ツッコミをしている姿は全く想像できません(笑)。

-成瀬はけん玉のチャンピオンとして、小説の中でも技を披露しますが、舞台でけん玉をすることに自信はありますか。

 舞台のお話をいただいてから、けん玉の練習を始めましたが、本当に上達しなくて(笑)。最初は「もしもし亀よ」のリズムに合わせてお皿に乗せることすらできず、「けん玉ってこんなに難しいんだ……」と思いました。今はお皿に乗せるくらいならできるようになりました。ただ、舞台では大技を披露することになるのですが、台本にはどんな技をするのか書かれていないので、少し不安です(笑)。これから本格的に練習することになると思うので、頑張りたいと思います。

-作品の舞台でもある滋賀県大津市での公演もあります。滋賀県や大津市にはどんなイメージがありますか。

 滋賀には行ったことがないので、滋賀公演をとても楽しみにしています。滋賀県出身の友人もおらず、滋賀や大津について人から聞く機会もあまりありませんでしたが、小説を読んで初めていろいろな場所を知りました。

 やはり滋賀というと琵琶湖のイメージが大きいです。小説にも登場する琵琶湖のクルーズ船「ミシガン」には乗ってみたいですし、成瀬がアルバイトをしているスーパー「フレンドマート」にも行ってみたいと思っています(笑)。

-聖地巡礼のような楽しみもありそうですね。

 そうですね。舞台のモデルになった場所にはぜひ行ってみたいですし、公演前の取材で大津や琵琶湖を訪れる予定なので、それも楽しみにしています。「成瀬あかりシリーズ」の影響で街全体が盛り上がっているそうですし、大津の皆さんが歓迎してくださっている空気も感じるので、少しプレッシャーでもあります(笑)。これまで滋賀のことをあまり知らなかったという方も、この舞台をきっかけに実際に聖地巡礼をしてくださるかもしれません。それも楽しみにしています。

-作品名にちなんで、ご自身が「天下を取りたい」と思うことはありますか。

 あまり考えたことはありませんでした(笑)。芸能界には本当にすごい方がたくさんいらっしゃるので、1番になれそうなものは思い浮かばないです。ただ、プライベートでは料理をすることが大好きで、自炊もよくします。1番ということではないかもしれませんが、誰よりもおいしいご飯を作れる人になりたいです。料理に関する資格もいつか取得したいと思っていますが、なかなか時間が取れないので、将来的には専門的な勉強もしてみたいと思っています。

-最後に、本作を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

 本当にさまざまな反響をいただき、この作品がどれほど多くの方に愛されている大切な作品なのかを、あらためて実感しています。もちろんプレッシャーもありますが、今から本番がとても楽しみです。脚本・演出のG2さんが、これまでに見たことのないようなステージを生み出してくださると思っています。ぜひ舞台「成瀬は天下を取りにいく」を楽しみにお待ちいただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/櫻井宏充)

 舞台「成瀬は天下を取りにいく」は、7月4日(土)~12日(日)に都内・サンシャイン劇場ほか、京都、滋賀で上演。

舞台「成瀬は天下を取りにいく」 Ⓒ松竹


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