【インタビュー】『トイ・ストーリー4』ジョシュ・クーリー監督「この映画を仕上げてみて、ウッディの物語としては一通り完結したと思いました」

2019年7月10日 / 09:00

 新たな持ち主ボニーのお気に入りの手作りおもちゃのフォーキーを探す旅に出たウッディ。旧友や新たなおもちゃとの出会いを経て、彼はある決断をする。前作『トイ・ストーリー3』(10)の“その後”を描いた『トイ・ストーリー4』が7月12日から公開される。公開を前に来日したジョシュ・クーリー監督に、デビュー作となった映画への思いや、見どころについて聞いた。

ジョシュ・クーリー監督

-前作『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ監督は、「シリーズものなので大変だった」とおっしゃっていましたが、監督もそうした難しさは感じましたか。

 確かに、シリーズ物をやる際には、オリジナル物とは違った課題があり、新たなチャレンジが必要になります。特に『トイ・ストーリー』シリーズには、歴史がありますし、たくさんの人から愛されてもいます。ピクサースタジオはもちろん、観客にとっても、とても大きな映画なので、「また感動したい。楽しみたい」という期待も大きいのです。それに応えるのはとても大きなストレスで、幾晩も眠れない夜を過ごしました。ただ、私自身もこのシリーズやキャラクターたちを観客と同じように愛しているので、その映画の監督ができることはとても名誉なことだと思いましたし、このキャラクターたちをどう動かそうか、という楽しみも感じました。

-本作が監督デビュー作ですが、ご自分が監督をする上で、新たに加えてみたことはありましたか。

 いい質問ですね。実は幾つかあります。まず、ピンボールマシンのシーンですが、私はピンボールがとても好きなので背景として使いました。それから、LPレコードから流れてくる曲は、私が大好きな映画『シャイニング』(80)の音楽です。また、これはまだ誰にも言っていませんが、アンティークショップの壁にかかったライセンス証に書かれたイニシャルは実は私の家族のものです。もちろん誰も気付かないのですが、私の子どもたちが見て大喜びしました(笑)。

-今回はウッディの選択と自立が物語の核だと感じましたが。

 確かに、ウッディなりの目的を見つけて、子どもの部屋から飛び出してより大きな世界に行ったという意味では自立なのですが、それは新たな目的のためにしたことです。

-ウッディを演じたトム・ハンクスの声の効用もありますが、今回はウッディが持ち主のボニーを、父親のような目で見ているところがあったと感じましたが。

 トムはもう25年もウッディを演じ続けているので、ウッディが経てきた歴史もよく理解しています。なので「この段階ではウッディはどんなことを感じているのか」ということを2人で話し合い、トムのアイデアを反映させながら作っていきました。この映画では、ウッディは父親やメンター=師の役割を果たしています。ですから、トムもそれを声に込めたところはあると思います。例えば、(アンティークトイの)ギャビー・ギャビーが箱に入ったときに、ウッディが彼女を勇気づけるようなメンター的な言葉を言う場面もあります。

-今回は、そのギャビー・ギャビーの他にも、新たなキャラクターが登場しましたが、監督ご自身のお気に入りのキャラクターは?

 (バイクスタントマンの)デューク・カブーン(声:キアヌ・リーブス)が大好きです。彼は一見自信満々のように見えるけれど、過去についての話をすると泣き崩れてしまうというキャラクターです。彼のような、CMで見たときはすごかったのに、実際に買ってみたら大したことはなかった、というおもちゃは私も持っていました。また、おもちゃに限らず、CMはすごいのに、実際はそうでもないということはたくさんあると思います。そんな意味で、デュークはとても面白いキャラクターだと思います。

-今回は、ある意味、『3』からの終わりの始まりのような物語でしたが、今回の終わり方を見ると、新たな展開でまだまだ続けられそうな気もしましたが…。

 ノー(笑)。ネクストはありません。この映画を仕上げてみて、ウッディの物語としては一通り完結したと思いました。確かに『トイ・ストーリー』シリーズは、毎回、何か新しいものの始まりを予感させながら終わるし、今回もそういうトーンで終わってはいますが、今のところ新たなプランはありません。私はそれでいいと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

Willfriends

page top