【映画コラム】トム・ハンクスが久しぶりに本領を発揮した『王様のためのホログラム』

2017年2月11日 / 15:02
(C)2016 HOLOGRAM FOR THE KING LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

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 エリート人生から外れた一人の男の奮闘の様子を、トム・ハンクス主演で描いた『王様のためのホログラム』が公開された。

 中国企業の進出による不況のため、自動車メーカーの重役の座から転落したアラン(ハンクス)。彼はIT企業に就職するが、与えられた仕事はサウジアラビアの砂漠で王様に最先端映像装置の3Dホログラムを売ることだった。

 神秘の国でアランの身に起こるハプニングの数々を寓話的に描く本作は、デイヴ・エガーズの原作を読んだハンクスが絶賛のコメントをツイートに投稿したことが映画化の発端になったという。

 監督は『ラン・ローラ・ラン』(98)で注目され、『クラウド アトラス』(12)でもハンクスとコンビを組んだドイツ出身のトム・ティクヴア。

 立派な車、すてきなマイホーム、美しい妻、その全てが一瞬にして消えるさまを見せるオープニングが秀逸だ。舞台を砂漠に移した後は、アランが遭遇するカルチャーギャップのおかしさに加えて、彼が抱える仕事、病、家族に関する悩みなど、いわゆる“中年の危機問題”の克服が見どころとなる。

 『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)など、終始困惑の表情を浮かべる気の弱い憎めない男の役を得意とするハンクスが久しぶりに本領を発揮。アランと友情を結ぶタクシー運転手役のアレクサンダー・ブラック、女医役のサリタ・チョウドリーがエキゾチックな魅力を発散する。ベン・ウィショーもあっと驚く役でカメオ出演するなど、俳優の演技力が身上ともいえる小品の佳作。やはりハンクスにはこういう役が良く似合う。(田中雄二)


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