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【インタビュー】『アラジン』中村倫也「大人になったから納得するようなせりふも数々ある」 木下晴香「年齢を重ねることで魅力を感じるところが変わっていく」

 ディズニーアニメーション映画の不朽の名作『アラジン』が実写となって公開され、大きな盛り上がりを見せている。本作のプレミアム吹き替え版でアラジン役を演じた中村倫也とジャスミン役の木下晴香に吹き替えでの苦労や“運命の出会い”について聞いた。

木下晴香(左)と中村倫也

-オーディションで選ばれての抜てきとお聞きしています。すでに何度も聞かれているとは思いますが、改めて、吹き替えでの出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

中村 僕が彼女(木下)のコメントを言ってもいいですか?(笑)。「自然と涙が出てきました」でしょ?

木下 (笑)。小さい頃から大好きな作品だったので、本当に泣くほどうれしかったんです。なんだか、(取材の度に)何度もこう答えているので、まるで台本を読んでいるかのようですが、本当にうれしかったんです!

中村 (アニメの『アラジン』を)最初に見たのは何歳のとき?

木下 幼稚園の頃です。それからずっと大好きでした。

中村 その頃からジャスミン役をやってみたいと思っていた? 「ジャスミンごっこ」とかしていた?

木下 それはやっていなかったです(笑)。でも、今回、出演できると聞いて、夢じゃないかと思って本当に頬をつねりました。うれしいという感情と「これは本当なのかな」という気持ちで混乱状態で、ただただ頬をつねるっていう時間が繰り広げられました(笑)。

-中村さんはいかがですか。

中村 選ばれるとは思っていなかったので意外でしたし、マネジャーと「マジか?」って言い合う時間が繰り広げられました(笑)。自分も小学校のときにアニメーションを見て、ワクワクした経験があったので、きっとこの作品も今の子どもたちにとって同じような作品になるだろうと思いましたし、『アラジン』を見て大人になった人にとっても、そういう思いを、また思い出してもらえる作品になると思ったので、しっかりと務めなければと思いました。

-子どもの頃と、大人になった今見るのとでは、同じ作品でも共感するポイントも変わってくると思います。本作を今見て、改めて影響を受けたことや学んだことがあれば教えてください。

中村 僕は(アラジンとジャスミンが魔法のじゅうたんに乗って歌う)「ホール・ニュー・ワールド」の後に、ジャスミンにアラジンの正体がバレそうになるシーンの言葉が印象に残ってます。アラジンは正体がバレないように誤魔化そうとするんですが、ジャスミンは「何で気付かなかったんだろう。人は見た目ばっかり見ている」というんです。そのシーンを試写で見たとき、涙が止まらなかったです。子どもの頃だったら、そのせりふの意味も分からなかったと思いますが、大人になったからグッとくる。大人になったから納得できるようなせりふも数々あるなと感じました。

木下 幼い頃は、ジーニーやジーニーの使う魔法にワクワクしていた印象があるのですが、改めて出演が決まってから見たら、ジャスミンが国民を思う気持ちの強さとか、女性として魅力的なジャスミンの姿が印象的でした。私自身がそう感じたように、年齢を重ねることで魅力を感じるところが変わっていく作品なので、幅広い年代の方に共感していただけると思います。それぞれに魅力に感じるところや共感できるところが違うからこそ、たくさんの人に愛されている作品だと思いました。

-『アラジン』といえば、素晴らしい楽曲の数々でも知られています。お二人はミュージカルでもご活躍されていますが、ミュージカルで舞台上で歌うことと、吹き替えで歌うことにはどのような違いがありましたか。

中村 歌に限らず、芝居においてもそうでしたが…。普段、芝居では自分の間(ま)や身体表現があって、それによって成立しているんですが、吹き替えは声だけなので、自分以外の人の表情や息づかいに合わせるということが大きく違いました。特に歌唱シーンでは、翻訳されている歌詞がオリジナルキャストが歌っているフレーズとは違う日本語になっていたりもするので、そこは特に意識しました。

木下 私は普段はミュージカルを中心に活動しているので、自分の表現やそのときに生まれたものを歌に乗せていくのですが、吹き替えでは映像があるので、そこに映っている細かい表情の変化にヒントやイメージをもらいながら歌いました。それは私にとって初めてのことだったので、すごく新鮮に歌うことができたと思います。

-本作では、アラジンとジャスミンの運命の出会いが印象的ですが、お二人は運命の出会いに憧れはありますか。運命を信じますか。

木下 もし、この人だと思う人が現れたらと思うとすごくドキドキしますし、1回はそういった経験もしてみたいなって思います。舞台ではそういう出会いのシーンを演じたことはあるんですが、(運命の出会いをしたら)天にも昇る気持ちということは役を通して経験したので、すてきなものだとは思います。

中村 僕は、まだ起こっていないことを、運命だと信じることはないです。ただ、過ぎ去ったことを振り返ったときに、もしかしたらあれは必然だったのかなって思うことはあるかもしれない。何事も努力して勝ち取っていくものだと思っているので、そうして勝ち取ったものが運命と呼べたらすてきだなと思います。

-男性から見ると、劇中のアラジンとジャスミンの“運命の出会い”はどう感じますか。

中村 僕は(性格が)ひねくれていますし(笑)、作る側の人間なので、一般的な男性と見方が違うかもしれませんが…、“運命”ということであれば、例えばこうして取材を受けて話していることも一つの出会いだと思いますし、街ですれ違うことも一つの出会いだと思います。そこから、恋愛関係になったり、師弟関係になったり、仕事のパートナーになったりと、関係が深まったり、変化していって初めて“運命”だと思うので、大事なのは関係がどう変わるか。アラジンとジャスミンも、偶然出会って、アラジンがジャスミンを助けて一緒に逃げて、話をしてみたら意見があって、という積み重ねが大事だったんだと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

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