【インタビュー】『海獣の子供』芦田愛菜「見る人によって感じることが違ってもいいと思えるような作品」石橋陽彩「自分の考えていたものを遥かに上回る映像と音楽に圧倒された」

2019年6月6日 / 12:00

 自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休みの初日の部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。母親と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも居場所を失うことになる。そんな琉花が、父が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽にたたずんでいたとき、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海”とその兄“空”と出会う。“14歳の少女”と“ジュゴンに育てられた2人の兄弟”とのひと夏の出会いを描いた『海獣の子供』(6月7日公開)で琉花の声を演じた芦田愛菜と、海の声を演じた石橋陽彩に、作品への思いや見どころについて聞いた。

芦田愛菜(左)と石橋陽彩

-完成した映画を見てどんなことを感じましたか。

芦田 音楽や映像、全てが互いに引き立てあって命が宿っているような気がしました。私を含めて映画を見る人によって感じることが違ってもいいと思えるような作品です。

石橋 収録前に原作を読んだときに、自分の頭の中で動きなどを想像しながら読みましたが、実際に映画を見てみると、自分の考えていたものを遥かに上回る映像や音楽に圧倒されました。

-この映画には「親子」「出会い」「生と死」などいろいろなテーマがありましたが、最初に脚本を読んだときに印象に残ったテーマはありましたか。

芦田 私は「命あるものにいつか死は来るもの」だと思っていて、琉花は生の立場から死を見ているけれど、海と空は「自分たちはもう長くない」と分かっていて、死の立場から生を見ている。生と死は正反対のように感じるけれど、隣り合わせのものなのかな?と思ったので「生と死」かなと思いました。

石橋 僕にはそこまで難しいことは言えない(笑)。僕は「新たな世界」だと思います。自分たちの知らない海の世界や海の生き物の神秘がこの作品で見られるので。

-印象に残ったシーンは?

芦田 海くんと水槽の中で出会うシーンです。音楽がどんどん盛り上がっていくのもそうなんですけど、琉花が「不思議なものに出会っちゃったぞ」という、何かが始まるような、自分では気付いていない高揚感や期待感などが表現されていて大好きです。

-お二人が演じた琉花と海について共感する部分などはありましたか。

芦田 琉花は言葉では多くは語りませんが、心ではいろいろなことを思っているけどそれをうまく言葉にできないもどかしさを抱えている女の子で、私自身もそういう気持ちはすごく共感できるなと思いました。

石橋 海くんは自分の考えに素直で、思いついたらすぐに行動したり表情に出たりする子。自分の考えに素直というところが僕と似ていると思います。

-石橋さんも海のように感情豊かなんですね。

石橋 いや、あそこまで激しくはないです(笑)。でも、悲しいときは思いっ切り泣くし、楽しいときは思いっ切り笑うのでやっぱり海くんと似ているかも(笑)。

-今回の映画は、夏休み中に起こった出来事でしたが、お二人は夏休みで忘れられない思い出や出来事はありますか。

芦田 小学校低学年のときに、友達と秘密基地を作って遊んだことがとても懐かしくて、いい思い出だったなぁと思いました。

石橋 特別な思い出ではないですけど、毎年夏に家族やいとこと一緒に大きなプールに行くことが一大イベントです。

-芦田さんはこれまで劇場版のアニメ作品や吹き替えで声優を経験し、ドラマのナレーションもしていますが、アフレコの現場にはもう慣れましたか。

芦田 まだ慣れないです(笑)。でも、とても楽しいです。声のお芝居とナレーションではまたちょっと違うかなと思います。アフレコは声だけで全てを伝えるということがとても難しいけれど、自分でキャラクターを作り上げていくというところがとても楽しいです。ナレーションはお芝居の雰囲気を壊さないように、第三者の目線で、少し離れたところから見守るような存在になることができるように心掛けています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

岡本圭人、岡本健一と2度目の親子共演への思い 「成長した姿を見せられたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年3月27日

 若村麻由美と岡本圭人、岡本健一が出演する舞台「La Mère 母」と「Le Fils 息子」が2つの劇場で同時上演される。同作は、劇作家フロリアン・ゼレールによる家族三部作のうちの2作で、若村が主演する「La Mère 母」は日本初上演、 … 続きを読む

「光る君へ」第十一回「まどう心」互いの思いとは裏腹に、さらに開くまひろと道長の距離【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年3月23日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。3月17日に放送された第十一回「まどう心」では、藤原兼家(段田安則)によるクーデター“寛和の変”の事後処理、およびそれに伴う主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の行動が描かれた。  兼 … 続きを読む

【週末映画コラム】4K復元版で「ドル3部作」を一挙上映『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』

映画2024年3月22日

 監督セルジオ・レオーネ、音楽エンニオ・モリコーネ、主演クリント・イーストウッドという伝説のトリオが放った「ドル3部作」(「ドル箱3部作」と表記されることも多い)が、マカロニ・ウエスタン誕生60周年を記念し、4K復元版として3月22日から一 … 続きを読む

「生への回帰というのがこの映画の目指したところです」荒木伸二監督、若葉竜也『ペナルティループ』【インタビュー】

映画2024年3月21日

 朝6時、いつものように目覚めた岩森淳は、恋人の砂原唯(山下リオ)を殺した溝口登(伊勢谷友介)を殺害する。翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、なぜか溝口も生きている。そして今日もまた、岩森は復讐(ふくしゅう)を繰り返していく。荒木伸二監 … 続きを読む

伊野尾慧、「新しいことに挑戦したい」 ミュージカル初出演で見せる新たな一面【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年3月20日

 バラエティーや映画やドラマといった映像作品だけでなく、朝の情報番組やトーク番組にもレギュラー出演し、多岐にわたって活躍しているHey! Say! JUMPの伊野尾慧が、4月9日から上演されるブロードウェイミュージカル「ハネムーン・イン・ベ … 続きを読む

Willfriends

page top