【インタビュー】『洗骨』照屋年之監督「現場に芸人のゴリは一切なく、ただ汗まみれで無精ひげで、一生懸命演出している素の僕がいました」

2019年2月8日 / 13:10

-そういう作品で好きなものは?

 一番好きなのは、『リトル・ミス・サンシャイン』(06)かもしれません。あの映画も、駄目な家族が美少女コンテストに出場する末娘と一緒に会場へ向かう途中、珍道中を繰り広げながら一つになって行く物語です。コンテストの勝ち負けはどうでもよくて、大事なのは家族が一つになること…。今気付いたのですが、『洗骨』はこの映画の影響を受けていますね(笑)。

-モチーフは異なりますが、共通する部分はありますね。

 やはり僕は、そういう話が好きなんです(笑)。

-俳優の皆さんのお芝居も見事です。中でも、妻に先立たれた夫・信綱を演じる奥田瑛二さんの駄目おやじぶりが際立っています。

 最初の頃は、男らしくてカッコいい奥田瑛二の部分が残っていて、僕のイメージからはやや遠かったので、「取ってください」とお願いしました。「誰に向かって言っているんだ」と脅されたときは一瞬、冷や汗をかきましたが(笑)。奥田さんなりの冗談だったようです。でも、「もっと情けなく」、「もっと無気力に」とお願いしていくと、どんどん情けない信綱になっていくんです。“奥田瑛二らしさ”はどこにもない。やっぱりすごい役者だなと。「こんな奥田瑛二見たことない」という姿が映っているので、ぜひ注目してください。

-監督の名義を芸名“ゴリ”ではなく、本名にした理由は?

 現場に芸人のゴリは一切なく、ただただ汗まみれで無精ひげで、一生懸命演出している素の僕がいただけです。ゴリは常に他人の目を意識していますが、監督のときは僕がモニターをチェックし、演者や現場を見て指示を出す。人に見られるのではなく、僕が見ている。まったく逆なので、プロデューサーから「本名でいいのでは?」と言われたとき、僕も“照屋年之”の方がしっくりきました。今回は名のある俳優の皆さんに出演していただいているので、僕の名前を出す必要もありません。僕はただひたすら、撮ることを楽しんでいただけですから。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)『洗骨』製作委員会

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