【インタビュー】『未来のミライ』齋藤優一郎プロデューサー「これほど巨大なテーマにたどり着いた作品は今までなかった」

2019年1月22日 / 12:00

-そうすると、今後は?

 映画監督って大きく分けると2種類あるのかもしれません。一つは、優れた才能とテクニックを持って、どんな球が飛んできても、ものすごく面白い作品を作れるタイプ。もう一つは、どんな作品であっても否応なく自分の人生や内的なものが作品に投影されていくタイプ。細田さんは後者で、それは今後も変わらないでしょう。そして、常に変化していくものと、変わらないもの双方を描き続けていく。今年52歳になりますが、創作へのエネルギーやバイタリティーは満ちあふれています。それは、これまでよりもさらにドライブがかかっている気がしています。

-『時をかける少女』(06)以来、3年ごとに新作を発表してきましたが、次の作品も3年後になるのでしょうか。

 次の映画も考え始めていますが、今はそれ以上、言えることはありません。ただ、「3年」という時期に関して、細田さんは「3年がギリギリ」という言い方をしています。1本のアニメーション映画を作るには、どうしても時間がかかる。ただ、今、世界の変化はものすごく著しい。もし製作に4年、5年とかかってしまうと、企画が古くなり、映画と社会との間にズレが生じてしまう恐れがある。細田さんは、仮に時代劇を作ろうと、映画というのは常に現代を描くものだと思っています。だからこそ、どうしてもそのズレを意識せざるを得ません。そういう意味で、3年がギリギリではないかと言っているのだと思います。

-細田監督のやりたいことが時代に合っているか、という意味でしょうか。

 そうですね。でも、また新しいチャレンジに満ちあふれた作品になると思います。だから絶対に3年以内に作れるかと言ったら、それはまだ分かりません。それでも「3年」は意識したいと思っています。その一方で、今年は『サマーウォーズ』が公開から10年を迎えるのですが、「『サマーウォーズ』を見て、こんな世界を作ってみたいと思って、いまVR開発をしています」とか「ロボットやAI、ネットの未来を議論したいので、参加してもらえませんか」などといったお話を、特に最近よく頂くようになりました。それはとてもうれしく、光栄なことだと思っています。でもそれと同じように、10年前に描いた作品の世界と現実との距離が近接してきている、それも面白いなあと思っています。

-時代を先取りしていたと?

 いえ、そういうことではなく…。やはり映画は現代を描くものなのだと、変化するものと変わらないもの、それを10年前の作品に改めて教えられたということです。また新しい映画に挑戦していきたいと思っています。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2018 スタジオ地図

 

 

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