【インタビュー】『輪違屋糸里 京女たちの幕末』藤野涼子「この作品は私にとって、学生から大人へと考え方が変わる第一歩になりました」

2018年12月14日 / 18:00

-そういう環境で、ご自身も成長していったという手応えはありますか。

 現場に慣れていったこともありますが、最初の頃と比べると、自分でも糸里と一緒に成長できたと感じる部分がたくさんあります。クライマックスのたんかを切る場面は、最後の方に撮影したのですが、そういうことを見越してスケジュールを組んでくださったのだと思います。

-糸里は江戸時代の女性ということで、藤野さんと同じ年齢でも生き方は全く異なります。そういう部分でギャップを感じることはありましたか。

 共通する部分と全く違う部分がありました。共通する部分は、16歳の少女としての感情です。違うのは、天真らんまんな16歳と言っても、親のいない糸里は、生きるために自分でお金を稼がなければならないことです。悲しいことやつらいこともあると思いますが、糸里は舞妓という仕事柄、常に笑顔でいなければならない。悲しいことばかりに目を向けていると負のパワーに引きずられてしまいますが、そうならないところが糸里の強さ。舞妓という仕事自体が、そういう強い女性を作っているのだと感じました。

-糸里を演じてみて、ご自身の視野も広がりましたか。

 女性として新しい考え方を学ぶ機会になり、視野も広がりました。おかげで、次に撮影した「ひよっこ」(17)でも、また違った視点を持つことができました。そういう意味で、この作品は私にとって、学生から大人へと考え方が変わる第一歩になりました。

-今後の時代劇に対する意欲は?

 どんどん挑戦させていただきたいです。その他にも、コメディーのようなテンポのある作品にも出演させていただきたいと思っています。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2018 銀幕維新の会/「輪違屋糸里」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作『宝島』/純文学風ミステリーの趣『遠い山なみの光』

映画2025年9月18日

『遠い山なみの光』(9月5日公開)  1980年代のイギリス。日本人の母とイギリス人の父との間に生まれロンドンで暮らすニキ(カミラ・アイコ)は、大学を中退し作家を目指している。ある日、彼女は執筆のため、異父姉の景子が亡くなって以来疎遠になっ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

▼新しい美の概念  志賀直哉や武者小路実篤らと文芸雑誌『白樺』を創刊し、西洋美術を紹介していた柳宗悦(1889-1961)は、浅川兄弟との関わりで初めて朝鮮に興味を持つことになる。  「(彫刻家を目指していた)伯教さんは『白樺』を読み、柳先 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

-劇中に流れるさまざまな曲は、全て監督のチョイスですか。  音楽は全て私のチョイスです。こういうシーン、こういう状況だったらこの音楽は意味があるかなと考えながら一つ一つ選んでいきましたが、いろんな人たちの意見も聞きましたし、私自身もたくさん … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

Willfriends

page top