「僕と小栗さんの関係が、西郷さんと坂本龍馬に似ていると思いながら演じています」鈴木亮平(西郷吉之助)【「西郷どん」インタビュー】

2018年7月15日 / 20:50

-かつて共に幕政改革を目指した一橋慶喜(松田翔太)との対立もポイントですね。

 以前の吉之助は、「斉彬様(渡辺謙)がそう言うから」という理由で信じていただけで、自分の目で一橋様を見極めていたわけではありません。今では、取り巻く状況もお互いに重ねてきた時間も、当時とは変わっています。そこで1人の人間として向き合ってみたら、どうも違う…と。信じていたのとは違う人間で、そのために民が苦しむ…。それが分かった瞬間にたもとを分かつ。そんな流れになっています。

-その辺りのお芝居はどのように?

 完全に「徳川を討つ」と決意するまでは、磯田屋で一緒に過ごした日々や、(橋本)左内さん(風間俊介)と3人でいたときのことを、きちんと自分の中に置いておこうと思っていました。最後の最後まで「自分の思うような人であってほしい」という希望を持ち続けながらも、ある時点で「この人は違う。もう駄目だ」となる。その間で引っ張られていく気持ちを大事に演じようと。その後は、「地の果てまで追い詰めてやる」というせりふがあるように、息の根を止めるつもりで戦うことになります。

-革命に突き進む西郷という人物を、どう捉えていますか。

 僕は「鬼モード」と呼んでいるのですが(笑)、今は倒幕のために非情な人物に徹しています。とはいえ、人情も捨てることができず、苦しさが積み重なっていく。やっぱり、政治をゼロから立ち上げていくのは向いていないと、自分でも思っていたのではないかと思います。他人の立場に立ち過ぎる人なんです。よく言えば、人情家。明治に入るとすぐに引退して薩摩に帰ってしまいますが、その気持ちがだんだん分かってきました。

-いよいよ幕末らしい雰囲気になり、これから見始める視聴者も多そうです。

 ここからが一番面白いところです!皆さんが知る西郷さんが登場して、物語が大きく動いていくのはここから。それを見て「この人はどんな若い時代を過ごしてきたのかな?」と興味を持ったら、DVDやオンデマンドで第1回からさかのぼる。そういう見方もお薦めです(笑)。

(取材・文/井上健一)

西郷吉之助役の鈴木亮平

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

-どんな点が楽しかったのでしょうか。  舞台や実写作品の場合、役を演じていても、どこか自分が残っているんです。でも、アニメーションは外見が自分と全く異なるので、より強い没入感が味わえて。それがすごく楽しかったです。 -そういう意味では、主人 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

【日本映画】  邦画界は、今年も『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『チェンソーマン レゼ篇』『名探偵コナン 隻眼の残像』など、アニメーション作品が興行成績の上位を占めたが、実写映画でも大ヒット作が生まれた。歌舞伎を題材とした … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 ▽家族を世話する母    ムン・ソリは、「クイーンメーカー」(23年)や「私たちの人生レース」(同)のように、女性の主体性や自分らしさを打ち出す役を担い、エンパワーメントの姿を体現してきた。だが「おつかれさま」では、“肩書きのない母”を真 … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

-この映画は、ちょっとフランス映画みたいなところがありましたね。  分かります。私もそう思いました。確かにそういう味わいがありますね。最初の撮影が、矢添と2人で、部屋で紅茶を飲んでいるシーンだったんですけど、プレイバックしてモニターを見た時 … 続きを読む

Willfriends

page top