【インタビュー】『虹色デイズ』恒松祐里「監督面談のとき、『この役を乗り越えれば俳優として成長できるかも』と感じました」

2018年7月5日 / 12:00

-恒松さんと中川さんというと、「真田丸」を思い出します。

 そういえばそうですね。同じ作品に出るのは「真田丸」以来ですが、あのときは共演する場面がなかったので、時代を越えてようやく共演できました(笑)。

-この映画を経験して、演技に対する意識は変わりましたか。

 この映画では、飯塚監督のカラーに染まる意味もあって、原作を捨てて自分の感情で勝負することになりました。戸惑いもありましたが、原作に頼れない状況に追い込まれた私のもがきや苦しんだ部分が作品に出ています。それを見たら、「意外に私は追い込まれて伸びるタイプかも…?」と(笑)。

-今後はまた違った恒松さんのお芝居が見られそうですね。

 そうなるといいですね。こういう感情を爆発させるような役は一度、原作を落とし込んでから全部捨てて、自分を追い込んで行くアプローチもあるのかなと気づきました。頑張ります(笑)。

-この作品も含めて、今年は出演した映画が数多く公開されますが、俳優として感じる映画の魅力は?

 テレビドラマの場合、1時間のものを10話ぐらいかけて演じていくので、その人物の人となりが徐々に分かっていきますが、映画は2時間の間にどういう人かを見せなければいけません。そこが面白さでもあり、難しさでもあります。ただ最近は、うまいだけでなく、もっと深いお芝居ができるようになりたいと思っています。そうすれば、「この人のお芝居いいな」と感じてもらえるのかなと…。

-そういう意味で、目標とされる俳優は?

 最近見た映画では、『孤狼の血』(18)の役所広司さんがすごかったです。どの角度から見ても役所さんなんですが、後ろ姿だけで、その人の心情や人柄が伝わってくる…。深いお芝居って、こういうことかなと思いました。

-そういうお芝居が目標でしょうか。

 そうですね。ただそれには、自分がもっといろいろな知識を得て、深い人間にならなければ…と思っています。演じるのは結局、私自身ですから。そのために、これからも勉強を続けていくつもりです。でも実は、やってみたいのはカッコいい女スパイ役です(笑)。

(取材・文/井上健一)

(C)2018「虹色デイズ」製作委員会(C)水野美波/集英社

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

▼新しい美の概念  志賀直哉や武者小路実篤らと文芸雑誌『白樺』を創刊し、西洋美術を紹介していた柳宗悦(1889-1961)は、浅川兄弟との関わりで初めて朝鮮に興味を持つことになる。  「(彫刻家を目指していた)伯教さんは『白樺』を読み、柳先 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

-劇中に流れるさまざまな曲は、全て監督のチョイスですか。  音楽は全て私のチョイスです。こういうシーン、こういう状況だったらこの音楽は意味があるかなと考えながら一つ一つ選んでいきましたが、いろんな人たちの意見も聞きましたし、私自身もたくさん … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

Willfriends

page top