「嫌われ者・久光の人間味を出して、『憎めない』と感じてもらえるようにしたい」青木崇高(島津久光)【「西郷どん」インタビュー】

2018年6月10日 / 20:50

-視聴者からは「久光、かわいい」という声も聞かれますが。

 “ひさみちゅ”と言われていました(笑)。今後はすご味も出てきますが、芯の部分は残すようにしているので、かわいらしさはより増しているのではないでしょうか(笑)。久光は愛情をたっぷり受けて育ってきた人間と考え、演じる上では“愛情”をテーマにしています。安心できるような家臣が自分のそばにできたら溺愛する…そんな人にしたいと。そういう意味で、マザコン的な感じはなくなるかもしれませんが、かわいらしさは残るのではないかと。

-大久保一蔵(瑛太)との関係も気になるところです。

 久光に接近した大久保は、久光を盛り立てていくことに手応えを感じていますが、ある日突然、久光が自分を溺愛して離さないことに気付く…。そこで怖さを出せたら面白いですね。この人から離れたら、とてつもなく恐ろしいことが待っているのではないか…?そういうヒヤヒヤした状況の中で大久保が決意を固めた時、果たして久光がどうなるのか。僕自身にも分かりませんが、その瞬間を演じるのが楽しみです。

-青木さんは日本舞踊を学んでいるそうですが、それは時代劇を考えてのことでしょうか。

 そうです。僕が言うのもせんえつですが、時代劇の動きや所作の基本は日舞。先輩方に言わせれば、殺陣と日舞と乗馬は、役者であれば身に付けていて当然のもの。でも、今はそれがなかなか難しい。とはいえ、お客さんにそういう言い訳は通用しませんから、時間を見つけて自分で勉強するしかない。その一方で、今は生活も洋式化し、見る側もそのあたりが分からなくなってきています。だから余計に、年配の方にも安心して見ていただけるラインを保ちたい。海外の方にもカッコいいと感じていただける文化ですから、できる限りしっかり勉強していきたいと思っています。

-今後、久光は江戸に出て、一橋慶喜(松田翔太)らと衝突する場面もあるようですね。

 兄上の遺志を継いで自信満々で乗り込んでいったのに、「どこの田舎侍だ?」みたいな感じでけちょんけちょんに言われてカーッとなる…。演じていて面白かったです。行く先々でけんかばかりしているので、疲れますけど(笑)。とはいえ、遠い薩摩から千人近い家臣を引き連れて江戸まで出て行くバイタリティーには、久光の底力を感じます。しかも、彼にとっては人生を懸けた大勝負で、そこで自信をつけるなど、勝ち得たものは大きかったはず。ぜひ楽しみにして下さい。

(取材・文/井上健一)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

DAIGO「クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、『パーシーのクリスマス急行』にぜひ乗車してください」『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』【インタビュー】

映画2025年12月12日

-パーシーのように、与えられた仕事を楽しくやるコツがあれば教えください。  仕事があることが幸せ。シンプルにそういう意識を持ってやっています。僕もミュージシャンを目指していろいろとやっていましたが、思うように行かなくて。でも、音楽に対する情 … 続きを読む

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

-堤さんと高橋さんは高橋さんのドラマデビュー作以来のタッグと聞いています。堤さんは高橋さんの吉良上野介にどのような期待を寄せていますか。 堤 ぴったりだと思いますよ。生き馬の目を抜く芸能界で酸いも甘いも知り尽くしていますから。デビューの瞬間 … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

-治済に対する仇討ちのため、対立関係にあった蔦重と松平定信(井上祐貴)がタッグを組む展開にも驚かされると同時に、思わず胸が熱くなりました。 藤並 白河藩に戻った後の定信は、それまでとは打って変わって、大田南畝や山東京伝に本を書かせているんで … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。  功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む

Willfriends

page top