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「“正人ロス”を絶対に起こしたい!」“ふわモテ”キャラに自信とたくらみ… 中村倫也(朝井正人)【「半分、青い。」インタビュー】

 さまざまなキャラクターを演じ分け、“カメレオン俳優”として引く手あまたの中村倫也が、本作では律(佐藤健)が上京して最初にできた友人で、鈴愛(永野芽郁)が恋に落ちる、ゆるふわモテ男子の大学生・朝井正人を演じている。恩返しの気持ちを胸に2回目の朝ドラ出演に挑む中村が、キャリアを重ねたことによる役者としての変化や、本役に込めた思い、さらに役者冥利(みょうり)に尽きる、ある現象のくわだてを、いたずらな笑みを浮かべながら明かしてくれた。

朝井正人役の中村倫也

-正人は「フワッとした雰囲気で、つかみどころがないキャラクター」ですが、演じてみての手応えは?

 謎がある人物は難しいです。やり過ぎると興味を引き付ける要素が減るし、やらな過ぎると、そもそも興味を持ってもらえないし…。漂う雲みたいな人で、いろんな役をやってきた中で、一番あんばいが難しい役でしたけど、今は何とかなったかな…と思っています。

-ご自身も“カメレオン俳優”といわれ、作品によってかなり変貌するので、実態がつかめないところは同じですね。

 18歳でデビューしたときから「実態をつかみきれない俳優」と思われることを望んでいたので、そう言っていただけて本望です。芸能人的には、パーソナルな部分にほれてもらった方がいいのかもしれませんが、役者的には、「これがはまり役だよね」と見る人が100人いれば100通りの見方をされたいので、今回は正人をはまり役だと思ってくれる人がいればうれしいです。

-具体的にご自身と似ている部分はありますか。

 正人は北海道なまりがばれないように、ゆっくり話しますが、俺も考えながらしゃべるから、話すテンポが遅かったり、微妙な間が生まれたりするところは似ているのかな。

-「不思議なことに絶えず複数の女性からモテている」という設定はどうでしょうか。

 「女の子よりきれいな顔してモテようたって難しいよ。俺ぐらいがちょうどいいんだよ」と正人が律に言うんですが、その通りで、クラスにいたら「まぁ格好いいよね」って言われるぐらいがちょうどいいんじゃないかな。俺も、ものすごくきれいな女性のところには行かないです。かといって俺がモテているわけではないので、正人を通じてモテたいです。最近は怖い役が続いて、街では「井筒さん(ドラマ「ホリデイラブ 」での束縛夫役)ですか…?」「神堂さん(ドラマ「闇金ウシジマくん」での詐欺師役)ですか…?」って、恐る恐る声を掛けられていたので、5月からは「まぁくん!」って老若男女に手を振ってもらいたいです。

-現場の雰囲気や永野さんのヒロインぶりはいかがですか。

 見ているだけで笑顔になれるヒロインだから、日本中が明るくなるんじゃないかな。台本のト書きに、正人は「いつもふわふわしてる」「ふわりとした笑顔」と書いてありますが、芽郁ちゃん演じる鈴愛が愛くるしくて、こっちも自然とにこにこできるので助かっています。座長としては、まだ18歳だけど楽しむ心を忘れずに一生懸命やっていて、目の届かない部分を健が横でカバーしているから「何だ、おまえら!」という感じですけど(笑)、いいチームだなぁと思います。

-正人が登場する時代はバブル期で、懐かしの衣装やセットにも注目が集まりそうですが、印象的な撮影エピソードがあれば教えてください。

 1990年は4歳だったので、ディスコにはもちろん行ったことがなくて、撮影では目のやり場に困ったし、ダンス指導の先生に男性のステップの踏み方を聞いたら、「いや、基本的に男性は踊らないで、女性を品定めしてた」って言うから、浮かれてんなぁって思いました。それを豊川(悦司)さんに話したら「懐かしいね」って言っていました(笑)。異空間にタイムワープしたようでした。

-ところで、朝ドラは「風のハルカ」(05)以来の出演ですが、特別な思いがあるのでしょうか。

 朝ドラに出られることは役者としての誉れだと思っています。前回はデビューして半年ぐらいだったから何も分からず、一本やりで自信を持ってやっていたけど、当時ディレクターだった勝田(夏子)プロデューサーや、いろんな人に迷惑をかけたと思います。なので今回は恩返しというか、成長した姿を見せたかったけど、意気込み過ぎると正人じゃなくなるから、内心必死になりつつ、肩の力を抜いた武道の達人のようなたたずまいでいました。

-キャリアを積んで、役者としてはどのように変化しましたか。

 若い頃は人生経験も、表現者としてのパターンもないので、一本やりで「いいやりつけたぜ!」ってなるけど、本当は「これだ!」というのはそうそうなくて、パターンは無数にあるし、正解も不正解もなくて、大事なのは相手役に何を渡していけるか?ということ。だから、現場を重ねるたびに、不確か、かつ怖くなって、撮った瞬間から「こうしておけばよかったかな…」と思うし、基本的にはずっとビクビクしているけれど、その分やりがいは増しています。

-今回は正人役に手応えを感じられているようで、視聴者の期待も高まりますね。

 登場から「何だ、こいつ」感はありますが、上京した鈴愛たちが「この人、何者?」と興味を持てるように頑張ったので、メディアの方も、世間に興味を持ってもらえるように促してください。あと、起こっていなくても、“正人ロス”が起こったように書いてください。「べっぴんさん」(16)に出た林遣都が「俺、ロス起きるかと思ったらチクリとも刺さらない」とずっとぼやいていて、「倫也さんも起こると思ったら起こらないですからね」と言っていたので、絶対に起こしたいです(笑)。

(取材・文/錦怜那)

 

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