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本作について「台湾生まれでアメリカ育ちの監督が、日本の“おもてなし”を題材にして作品を撮ることは斬新だし、外国人にとっては大げさにも見えるおもてなしに対する皮肉も交えて、日本を客観的に描いているところが面白い」と話す。
また、台湾人スタッフから「日本人スタッフは、段取りやスケジューリングが完璧で、何手も先を読んでいることが素晴らしい」と言われたと話す一方、「台湾の方は柔軟性や発想を大切にしていて、とにかくイチかバチかやってみる」と台湾人の気質を挙げて、「合作映画ならではの撮影現場でした」と語った。
さらに、ジェイ監督の厳しさが伝わるエピソードも披露した。メインキャラクターが集って旅館で執り行う結婚式のことを話し合う、台本約15ページ分の長回しのシーンは、夜9時から深夜まで、全員がもうろうとしながら挑んだ。しかし、数日後に「みんなの疲れが出ているから」と撮り直しを宣告されたそうで、田中は「鬼だと思った。そこから気持ちを立て直すのに1週間ぐらいかかりました。さすがにへこみました」と苦笑いした。
梨花役に関して、「今回の彼女に関しては役作りはしていません」と言いつつも、「医者の白衣、キャリアウーマンのスーツやハイヒールみたいに、一目でその人が何者かが分かる衣装や小道具があればいいけど、梨花にはそのような武器がないので、いつお父さんが亡くなったのか、いつ会社を辞めて旅館に戻ったのか、恋人とは何年前に付き合っていたのか、そういうせりふにはない部分を監督と話し合って明確にすることで、彼女がしっかり存在していることを意識しました」と話す。
そして、「派手な映画ではないけど、『人生は案外短いって誰も教えてくれなかったな』『心残りのない人生などつまらないものだよ』『(おもてなしは)正しいか間違えているかではないんですよ』などの格言のようなせりふにハッとさせられたし、身近にいる人を大事にしようと思えたので、そういう気持ちが伝わるといいな」と言葉に心を込めた。
おととし結婚し、「根を張る場所ができて、以前より自由に大胆になったと思う。気持ち良く、いろんな場所に飛んでいきたい」と胸を躍らせる田中。その針路はやはり台湾か…。「今回は日本で撮影したので、次は私が台湾に行って撮影するのも楽しいだろうな」と本作の逆バージョンに夢をはせる田中の瞳は、この日一番輝いていた。
(取材・文・写真/錦怜那)
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