「万千代が直政になる過程に、直虎がどう関わっていくのかが楽しみ」柴咲コウ(井伊直虎)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年10月8日 / 20:50

 井伊谷が徳川領となり、直虎は農民として暮らす一方、“井伊万千代”と名を改めた虎松(菅田将暉)は、徳川家康(阿部サダヲ)に仕えることとなった。ところがそれは、万千代の養家・松下家を裏切る結果となり、直虎は事態収拾に奔走することに。果たして直虎と万千代の関係は今後どうなっていくのか。直虎役の柴咲コウが、2人の関係や今後の展望などを語った。

井伊直虎役の柴咲コウ

-1年間の長丁場ですが、ここまで演じてきた感想は?

 やっと城主らしくなってきたところでお家が取り潰しになるなど、いろいろな難所があって、直虎は、永遠に幸せになれない女性なのではないかと心配しています(笑)。とはいえ、城主だった時も、充実はしていながらも、全てがうまくいっていたわけではなく、周りに助けられながら何とか頑張ってきた人でした。本当に少しずつ、じっくりと成長させてもらったんだなと思っています。

-共演者にお話を伺うと、柴咲さんが段々、本物の殿のようになってきたとおっしゃる方も多いのですが。

 そのあたりは、扮装から得るものが大きいです。そこから「こういう役柄にしよう、こういう声のトーンにしよう」と作っていく部分が多いので。せりふ一つとっても、尼そぎの格好の時は感情的になって話すことが多かったのですが、髪が伸びるにつれ、そういったことも減ってきました(笑)。それは、たくさんのものを失って慎重になったからなのですが。最近は、井伊家を潰した張本人の近藤(康用/橋本じゅん)さんを、冷静に裏でコントロールしながら人を生かすような知恵もついてきたので、私自身も安心しています。

-第38回から、菅田将暉さん演じる成長した虎松(=万千代)が登場しました。初めて対面した時のお気持ちは?

 そこまで菅田さんと一緒に撮影を重ねていない状態でお芝居ができたので、新鮮な気持ちをそのまま表現できました。時の流れがあるにしても、「(幼少期の虎松を演じた寺田)心くんが、菅田くんになっちゃった!」という驚きのようなものもありましたし。直虎も最初、戸惑っていますからね。「ずいぶん大きくなって」って(笑)。今のようにいろいろなツールのない時代ですから、つながりもないまま、6、7年たっていれば、やっぱりその成長には驚くでしょうし、だからといって面影がないわけでもない。その辺りは、扮装などを工夫されたおかげもあり、違和感なく受け入れられました。

-その時の菅田さんの印象は?

 どこか寄せ付けない雰囲気を、お芝居で表現されていたと思います。最初のあいさつの時は、声のトーンも高く、はきはきと無邪気に「“松下の”虎松です」と言って、ちょっと挑発しているのかな…?と思わせたり…。とはいえ、お寺で「家を再興する気はない」と直虎が告げて去った時(第36回)、気持ちよく別れていませんから。そのわだかまりのようなものは、まだかなりあったと思います。

-万千代は、「首を差し出せ」と言われて一度は井伊谷を去った父・直親(三浦春馬)のように、親子2代で同じような別れと再会を繰り返しました。見守る直虎の心境はどのようなものだったのでしょうか。

 今度こそ本当に失いたくないという思いが強かったのではないでしょうか。お家を守るために人が死んでいくということを嫌というほど経験してきましたから。だから、戦いたい、家を再興したい、それの何が悪いんだと言われても、そこだけは一貫して嫌だと。それが原因で、親子げんかのようにぶつかったりもするのですが。

-今後、直虎と万千代は衝突を繰り返すのでしょうか。

 やはり、自分の二の舞にはなってほしくないですから。直虎も本音では万千代に活躍してほしいでしょうけど、それがイコール「戦に出る、武功を立てる」にならないところで葛藤することになります。

-万千代が仕える徳川家康に対して、直虎はどんな印象を持っているのでしょうか。

 第40回で直虎は家康と二度目の対面を果たしますが、一度目は牢に閉じ込められた直虎が一方的に訴え掛けただけで(第33回)、会ったとはいえないような状況でした。今回、改めて会って感じたのは、話せば分かる人もいるんだなということ。あの時代の武将は、話していても「イラついたら斬ってしまえ」みたいな感じですから(笑)。そんな中で、万千代が仕える殿が、きちんと相手を見極める人だということは安心感につながっていますし、そんな人を選んだ万千代のセンスの良さも感じます。

-家康と対面した直虎の心境はどんなものだったのでしょう。

 大きな勉強をしたと思います。自分にはトップに立つ才能がないけれど、やっていかなければならないという中で当主をやっていた。でも、家康のように凡人であることを自分で見極め、努力を積んでいけば非凡になれることを知った。努力が足りなかったかなと反省する部分もあったのかなと。その一方で、お互いに興味を持って話も盛り上がったことから、立場を超えた絆のようなものを感じたに違いありません。ただ、本来はそう簡単に会える人ではありませんから、家康とは今のところこの2回だけで、今後会えるのかどうか分かりませんが…。

-万千代や万福(井之脇海)など次世代を演じる俳優さんたちが加わった今、座長としてどんなことを感じていますか。

 安心感と同時に、「こうして世代は変わっていくんだな」という、ちょっとした寂しさもあります。直虎が最終回まで生きているのかやや心配ですが(笑)。とはいえ、直虎がまいた種が次世代にどう影響を与えたのかという部分はきちんと描かれるはずなので、それをきちんと表現することが自分の次の目標だと思っています。

-今後の展開で期待していることは?

 史実にない直虎の活躍自体はフィクションになりますが、直政の活躍は歴史上に残っているので、そこにどうつながっていくかですね。成功や結果には、必ずそこに至るプロセスがあり、それを描くことこそがドラマの面白さです。今はまだけんかばかりで、全く受け入れられていない2人の関係がどう好転し、万千代が直政になっていく過程で、直虎がどう関わっていくのか。そんなところを楽しみにしています。

(取材・文/井上健一)


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