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『週刊少年ジャンプ』に連載中の空知英秋作の人気漫画「銀魂」が実写映画化され、7月14日から全国公開される。地球人と宇宙からやってきた天人(あまんと)が共に暮らす江戸末期という設定で繰り広げられる派手でとっぴなアクションが見どころで、独特の世界観から実写化不可能とも言われていた。とことんいい加減だけど仲間を守るためには全力を尽くす主人公の坂田銀時を小栗旬が、銀時を兄のように慕う志村新八を菅田将暉が演じる。
小栗 原作者の空知英秋さんが作っている、いい具合にちゃかして遊ぶムードに、僕らも乗させてもらっている感じがします。そしてやはり福田(雄一)監督が、原作が好きな人たちに喜んでもらえるようなものづくりをしているのではないかと思っています。それでも「こんなの銀魂じゃない」と言われる方もいると思いますが、そればっかりはもう、福田さんのせいです! みんながプレッシャーを抱えながら、ばかなことをやる現場がすてきでした。
菅田 急に福田さんから「小栗くんがこんな動画を上げるから、なんかリアクションしろ」と言われて…。「座長が謝っているんだから、これはもう、僕も謝るしかないな」と。そんなみんなのフットワークの軽さとノリの良さが、撮影が終わってからも続いているのは楽しいです。
小栗 原作がある作品、特に漫画の時は、なるべく自分の読んだイメージに近付けていこうと思ってやっています。読み方というのは、僕とほかの皆さんでは違うので、それが万人に受ける役づくりになるかいうと違います。銀さん(主人公の銀時)は、緩くて、ちょっとダサいけれど、本気を出したらかっこいいっていう、男の子が大好きなキャラクター。僕も子どものころからそういう存在に憧れはあったので、自分が憧れるようなイメージの中で作っていけたらと思っていました。
菅田 僕は漫画やアニメーションが大好きで、もちろん作風にもよりますけど、実写化するからこそやるべきことって絶対にあると考えているんです。読み手によって違う読み方をするのは、多分、漫画のコマとコマの間の部分なのではないかと。その部分の解釈と、このメンバーでやるからこその面白さ、というようなところがほしいなあと思います。そうでないと、「アニメーションでいいや」となってしまうので。
小栗 初めて会ったのはドラマ「獣医ドリトル」(2010年)で共演したころ。「きっと今、いろいろなことに迷っているんだろうな」というのが最初の印象でした。その後、将暉が『共喰い』(2013年)という映画に参加する前日に会いにきて、「明日からやる作品で自分の人生が変わりそうなので、思い切りやってきます」と。その映画が終わってからは、あれよあれよという間に“天才・菅田将暉”になってしまいました。すごく繊細な感覚をしていて、頭がいいですね。現場でも人のことをよく見ていて、「ここはこれをやったら面白いだろうな」というようなことを、繊細に感じている。福田さんも、菅田くんに対する持っていき方がうまいんですが、それを瞬時にやれてしまうところが器用だなあと思います。
菅田 自分の中に葛藤があったころに、小栗さんに言われた「キラキラできるうちにしといたほうがいいよ」という言葉が今でも心に残っています。当時の迷いのようなものがちょっと吹っ切れて、求められるもの、やれることをやっていこうという決意ができたんです。小栗さんは会う度に、最近見た映画やドラマ、舞台、役者さんの話をするんです。そして毎回悔しがっている。それがすごくかっこいいんです。先輩が素直に「あいつのあれが良かったんだよなあ」とか、「俺もこういうのをやりたいなあ」とか言っている。そんな貪欲な姿は、後輩にとっての指針です。
小栗 強過ぎる相手にちゃんと負けるところが、銀ちゃんのいいとこだなあと。負けているのにかっこいい。僕はやっぱり、迷ってるヒーローが好きです。最近見た映画のヒーローは、時代が変わって、本来守るべきものが変わってしまい、それに順応できなくなり、ものすごい矛盾の中で悩んでいました。銀ちゃんも、すごく悩んでいるヒーローなので共感できるし、好きです。そして、楽して勝ちたいと言っちゃうところが面白い。僕もそういうふうに思うことがありますので。唯一無二の存在というより、自分は正しいのかということをいつも考えながら迷って生きているヒーローに憧れます。
菅田 新八は、うそがないですね。うまいこと取り繕って、表面的にでも成立するものがどんどん増えていく時代に、普通に負けるところは負ける、ビビるところはビビる、でも必死、というような。それでいて楽しいことは全力で楽しむ。登場人物たちはとても楽しそうで、人生が豊かになるような感じがします。僕は、遊び心というか、自分が面白い、楽しいと思うことに対してちゃんと本気を出す生き方がすごく好きで、憧れます。与えられた知識や能力をどう使うかという中で、楽しいことに使っている生き方が好きです。
小栗 『銀魂』という作品に、福田監督が頑張ってきたことが全部詰まっていると思うんです。みんなで本気でばかをやるようなものにお金を使う映画というのは、今のご時勢、なかなか日本では作りにくいところもありますよね。『銀魂』という原作の持つパワーがあるからこそできた部分もあるでしょう。最高のB級映画が出来上がったと思っています。
菅田 いや、A級ですよ。こんな夢のような熱くなれる映画はないですよ。このそうそうたるメンバーで、こんなばかなことにお金をかけてやっている。大事件だと思います。
(取材・文/千葉美奈子)
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