【インタビュー】映画『銀魂』 小栗旬「迷っているヒーローに憧れる」&菅田将暉「楽しいことに全力を出す生き方が好き」

2017年7月13日 / 23:36

 『週刊少年ジャンプ』に連載中の空知英秋作の人気漫画「銀魂」が実写映画化され、7月14日から全国公開される。地球人と宇宙からやってきた天人(あまんと)が共に暮らす江戸末期という設定で繰り広げられる派手でとっぴなアクションが見どころで、独特の世界観から実写化不可能とも言われていた。とことんいい加減だけど仲間を守るためには全力を尽くす主人公の坂田銀時を小栗旬が、銀時を兄のように慕う志村新八を菅田将暉が演じる。

映画『銀魂』主役・坂田銀時を演じる小栗旬

 

-「実写化してすみません!」とお二人が謝る動画がネット上で公開されていましたね。

小栗 原作者の空知英秋さんが作っている、いい具合にちゃかして遊ぶムードに、僕らも乗させてもらっている感じがします。そしてやはり福田(雄一)監督が、原作が好きな人たちに喜んでもらえるようなものづくりをしているのではないかと思っています。それでも「こんなの銀魂じゃない」と言われる方もいると思いますが、そればっかりはもう、福田さんのせいです! みんながプレッシャーを抱えながら、ばかなことをやる現場がすてきでした。

菅田 急に福田さんから「小栗くんがこんな動画を上げるから、なんかリアクションしろ」と言われて…。「座長が謝っているんだから、これはもう、僕も謝るしかないな」と。そんなみんなのフットワークの軽さとノリの良さが、撮影が終わってからも続いているのは楽しいです。

銀時を兄のように慕う志村新八を演じる菅田将暉

-原作は漫画。役づくりで意識した点を教えてください。

小栗 原作がある作品、特に漫画の時は、なるべく自分の読んだイメージに近付けていこうと思ってやっています。読み方というのは、僕とほかの皆さんでは違うので、それが万人に受ける役づくりになるかいうと違います。銀さん(主人公の銀時)は、緩くて、ちょっとダサいけれど、本気を出したらかっこいいっていう、男の子が大好きなキャラクター。僕も子どものころからそういう存在に憧れはあったので、自分が憧れるようなイメージの中で作っていけたらと思っていました。

菅田 僕は漫画やアニメーションが大好きで、もちろん作風にもよりますけど、実写化するからこそやるべきことって絶対にあると考えているんです。読み手によって違う読み方をするのは、多分、漫画のコマとコマの間の部分なのではないかと。その部分の解釈と、このメンバーでやるからこその面白さ、というようなところがほしいなあと思います。そうでないと、「アニメーションでいいや」となってしまうので。

-お互いに対してどのような印象を持っていて、共演する中でどのような刺激を受けていますか。

小栗 初めて会ったのはドラマ「獣医ドリトル」(2010年)で共演したころ。「きっと今、いろいろなことに迷っているんだろうな」というのが最初の印象でした。その後、将暉が『共喰い』(2013年)という映画に参加する前日に会いにきて、「明日からやる作品で自分の人生が変わりそうなので、思い切りやってきます」と。その映画が終わってからは、あれよあれよという間に“天才・菅田将暉”になってしまいました。すごく繊細な感覚をしていて、頭がいいですね。現場でも人のことをよく見ていて、「ここはこれをやったら面白いだろうな」というようなことを、繊細に感じている。福田さんも、菅田くんに対する持っていき方がうまいんですが、それを瞬時にやれてしまうところが器用だなあと思います。

菅田 自分の中に葛藤があったころに、小栗さんに言われた「キラキラできるうちにしといたほうがいいよ」という言葉が今でも心に残っています。当時の迷いのようなものがちょっと吹っ切れて、求められるもの、やれることをやっていこうという決意ができたんです。小栗さんは会う度に、最近見た映画やドラマ、舞台、役者さんの話をするんです。そして毎回悔しがっている。それがすごくかっこいいんです。先輩が素直に「あいつのあれが良かったんだよなあ」とか、「俺もこういうのをやりたいなあ」とか言っている。そんな貪欲な姿は、後輩にとっての指針です。

-お二人が演じた銀時と新八の魅力は? そして小栗さんと菅田さんにとってのヒーロー像、憧れる生き方は?

小栗 強過ぎる相手にちゃんと負けるところが、銀ちゃんのいいとこだなあと。負けているのにかっこいい。僕はやっぱり、迷ってるヒーローが好きです。最近見た映画のヒーローは、時代が変わって、本来守るべきものが変わってしまい、それに順応できなくなり、ものすごい矛盾の中で悩んでいました。銀ちゃんも、すごく悩んでいるヒーローなので共感できるし、好きです。そして、楽して勝ちたいと言っちゃうところが面白い。僕もそういうふうに思うことがありますので。唯一無二の存在というより、自分は正しいのかということをいつも考えながら迷って生きているヒーローに憧れます。

菅田 新八は、うそがないですね。うまいこと取り繕って、表面的にでも成立するものがどんどん増えていく時代に、普通に負けるところは負ける、ビビるところはビビる、でも必死、というような。それでいて楽しいことは全力で楽しむ。登場人物たちはとても楽しそうで、人生が豊かになるような感じがします。僕は、遊び心というか、自分が面白い、楽しいと思うことに対してちゃんと本気を出す生き方がすごく好きで、憧れます。与えられた知識や能力をどう使うかという中で、楽しいことに使っている生き方が好きです。

-最後に実写版『銀魂』のPRを。

小栗 『銀魂』という作品に、福田監督が頑張ってきたことが全部詰まっていると思うんです。みんなで本気でばかをやるようなものにお金を使う映画というのは、今のご時勢、なかなか日本では作りにくいところもありますよね。『銀魂』という原作の持つパワーがあるからこそできた部分もあるでしょう。最高のB級映画が出来上がったと思っています。

菅田 いや、A級ですよ。こんな夢のような熱くなれる映画はないですよ。このそうそうたるメンバーで、こんなばかなことにお金をかけてやっている。大事件だと思います。

(取材・文/千葉美奈子)

7月14日公開映画『銀魂』


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

天海祐希、田中哲司、小日向文世、でんでん、塚地武雅「12年の集大成を見届けてください!」大ヒットシリーズ、ついに完結! 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」【インタビュー】

映画2025年12月23日

 2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな)役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ)役の天野はながドラマの見どころを語ってくれた。 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

Willfriends

page top