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二人の妹と母を守って奮闘する小橋常子(高畑充希)を描く連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。戦後、常子が出版した実用雑誌『あなたの暮し』のカリスマ的な編集長として、同誌を人気雑誌へと導いていく花山伊佐次を演じている唐沢寿明。豪放な性格と反骨精神、ユーモアあふれる人物であると同時に、常子の人生最大の「魂のパートナー」であった花山をどう演じているのか、唐沢が現場での様子を語った。
やっぱり“ユニークな人だった”というところに焦点を当ててやっています。見た目がご本人と違うのは当たり前。ハリボテの顔をつけても何か変でしょ(笑)。なので、見た目とは別のアプローチ法でやっています。
お芝居の部分で、せりふにないようなことを少し付け加えたりします。あまり“足し算”は好きでないけど、そうしないと「この役は成立しないな」と思っていて。普通にやると普通にワンシーンが終わってしまうので、多少はアドリブも入れながらやっています。
それは秘密です。見てのお楽しみじゃないですか(笑)。リハーサルの時にはなかった物が本番にはあるわけで、それを見て思いついたことだったり、その時によって違います。(アドリブを加えることで)“普通の感じ”が出たほうがいい。せりふのやり取りをしているな、というのは嫌じゃないですか。僕らがこうやって話していても、互いにせりふのやり取りなんてしてないでしょ。
彼女はアドリブをやってもちゃんとついてきてくれます。しかもちゃんと役の雰囲気でついてくるから怖い(笑)。すごく勘がいいと思います。あと、充希ちゃんは、僕がアドリブをしても、終わった後は「はい、はい」というクールな対応だからね。先輩という意識はもうあまりないのかも(笑)。彼女は日々のハードなスケジュールや重圧で、少なからずストレスもたまっているはず。そりゃそうだよね。でも、朝ドラのヒロインは修行みたいなもの。でも、やり切れば、その分いいこともあるでしょうし。
やっぱり、ヒロインがオーディションから出てきた新人ではないという部分が大きいと思います。例えば、28年前、当時はまだ結婚してなかったうちの奥さん(山口智子)が主演でやっていた時(1988年の「純ちゃんの応援歌」)は素人じゃないですか。右も左も分からないから、演出家に言われたことは、何であれ「はい」とやっていたわけです。それが充希ちゃんぐらいになると結構キャリアがあるので、「私はこうやりたいと思う」と演出家に意見を伝えることもあるんです。その辺が随分変わったんじゃないかな。どちらがいいとか悪いとかではないけどね。
今回のストーリーを見ていても非常に分かりやすいし「本来テレビってこういうものじゃないかな」と感じます。テレビはテレビの良さが絶対にあるはず。楽に見られた方がいいよね。みんなが、血が出てきたり、人の首が飛んだりというのを見たいわけじゃない。考えても答えが出ないようなものもあまり良くないと思う。好きならチューしちゃえばいいじゃんって(笑)。
あとは、そのヒロインがとにかく“一生懸命頑張る”という部分。今の時代に一番欠けていることが、いまだに詰まっているというところじゃないですか。そういう、現代ではなくなってきていることが描かれているから、余計に主人公たちを応援したくなったり、自分も「もうちょっと頑張らなきゃ」と思ってみたり。そういう単純なことが実はエンターテインメントで一番大事なんじゃないかなと思います。
モチーフとなった花森さんは、要は絵も描けて文章力もずば抜けていて、雑誌の構成力も半端じゃなかった。そういう人ってなかなかいないと思うんですよ。例えば、何か一つのことに才能が突出している人は結構いるけど、トータルで優れている人ってなかなかいないじゃないですか。天才と言われる人は、大体、自分で全部をやってしまう人だと思います。そうしないと気が済まない。人に任せられないといいますか…。
彼に関して書かれている本は読みましたけど、そこに答えはないので。何の本を読んでもそこに“人生”は書いてないじゃないですか。実際に転んだ人にはかなわないでしょ。経験に勝るものはない。本を読んで、取り入れられるものは取り入れて、演技でどう出すかということは考えていますけど。要らないものは全部捨てています。使えないものもね。ブルース・リーのまねは誰にもできないもんね。それと一緒ですよ(笑)。
彼は表紙なども描いていたけど、イラストや残された絵に人間性がすごく出ているなぁと思いました。「どうやったらあの人からあんなに優しい絵が…」って言うと失礼ですが、あんな絵、普通は描けないでしょ(笑)。あれに心が現れているんですよ。すごくピュアな人なんだと思います。
それはどうですかね。僕の中にピュアなものがないので。
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