「もしも元気のない芸者がいたらというコントを参考にしたら…」 長野里美(こう)【真田丸 インタビュー】

2016年5月20日 / 16:52

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で、主人公、真田信繁(堺雅人)の兄、信幸(大泉洋)の妻こうを演じている長野里美。病弱な体にむち打って信幸に尽くし支えるが、過酷な運命に見舞われる。長野がこうの悲哀と覚悟を語る。

 

こう役の長野里美

こう役の長野里美

-出演が決まった時のお気持ちは?

 天にも昇る気持ちでした。周りもすごく喜んでくれました。大河ドラマファンの弟はなぜかご祝儀までくれました(笑)。

-大河ドラマでよく見ていた作品は?

 吉永小百合さんが出演していた「風と雲と虹と」。進路を考えあぐねていた時に見て、こういうクリエイティブな世界に行きたいと強く思ったんです。

-脚本の三谷幸喜さんからこうの人物像についての話はありましたか。

 三谷さんの中でのおこうのイメージを詳しく教えていただきました。病弱なんだけど、ちょっと病に酔っているところがあり、悲劇のヒロインタイプだと。笑えるぐらいに負のオーラをまき散らしていながらも、憎めなくてチャーミングな、かわいい女性を演じてくださいとのことでした。でも初登場の3話ではせりふは二言三言で、しかもすぐにせき込んでしまいます(笑)。どう演じたらいいのかすごく悩みました。

-突破口は?

 三谷さんから「志村けんさんの『もしも元気のない芸者がいたら』というコントを参考にしてみてください」と言われていたので「私のパートはコメディーなのね」と感じていろいろ研究しました。でもできないと思って三谷さんに相談したら、「精神的に」ということだったので、コントのことは忘れてやりました。でもどうも体の中に残っていたらしくて、ネットで「志村けんさんみたい」と書かれていて、うれしいような複雑なような感じがしています(笑)。

-病弱なのに懸命に尽くす、謎の役ですね。

 実在の人物で、昌幸(草刈正雄)の一番上のお兄さんの娘なのですが、父親が戦死したため、いとこの信幸と結婚したということは分かっています。病弱だという設定は、のちに信幸に嫁いでくる活発な小松姫(吉田羊)との対比で出てきたことでしょうが、ただの病弱には終わらなかったんですね。病気の自分には存在意義があると感じて自己アピールを始めたのかもしれません。

-こうには過酷な運命が待っています。役柄を深めるチャンスでもありますね。

 でもその運命のおかげで人をしかったり勇気づけたりできるようになる。顔つきから話し方まで変わります。情熱があるから風穴を見つけてどんどん成長する。たくましい人なんだと最近は思えるようになりました。ただ、今後元気になって、ちょっと変わったところが薄まるのはどうかなと。おこう的なものを残しながらも元気な人という演技を模索しているところです。

-このドラマで初めて長野さんを知った人も増えていると思いますが、周りの変化は?

 ツイッターでは(かつて所属していた)第三舞台のファンではない「真田丸」のファンの方からの反応が多い気がします。共演者とは「棚からぼたもち」(の人気)って言っていまして(笑)、本当にラッキーだなと思います。

-堺さんは早稲田大学の演劇研究会の後輩だそうですね。

 映像で共演するのは初めて。でもとてもやりやすいです。

-舞台などでは元気な役が多い長野さんにとって病弱な役は演じにくかったですか。

 病弱さを濃く描く部分は自宅で練習しました。倒れ方とか座り方とか、崩れ落ちていく練習を、自分で動画を撮りながら何回もやりました。

-家庭でふとこうが出てしまったことは?

 それはないですね。おこうは気合を入れないとなかなか容易には出てこられないキャラクターですから(笑)。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな) 役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ) 役の天野はながドラマの見どころを語ってくれ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

 須永恵(福士蒼汰)と恋人の木下亜子(福原遥)は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在、亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・涼だ … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語も、残すは12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」の … 続きを読む

Willfriends

page top