「人の家に入る時はちゃんとノックはしますよ」向井理(小橋鉄郎)  【とと姉ちゃん インタビュー】

2016年5月20日 / 16:08

 連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、父・竹蔵(西島秀俊)の弟で三姉妹の叔父・鉄郎を演じている向井理。幼くして両親を亡くし、竹蔵と共に兄弟二人だけで生きてきたが、性格は兄と違いきわめていい加減。定職にも就かず、もうけ話を追い求めて全国を渡り歩く風来坊だ。「ゲゲゲの女房」以来、約6年ぶりに朝ドラに帰ってきた向井が、役柄への思いとこだわりを語った。

 

小橋鉄郎役の向井理

小橋鉄郎役の向井理

-自由気ままで、人の心にも土足で踏み込むようなところがある鉄郎ですが、演じるのは面白いですか。

 あまりやったことのないような役ですし、すごく新鮮です。明るい役なので、気楽にやれるんです。まあ、居ても居なくてもいい人なのかもしれせんが(笑)。今回は、脚本家の西田(征史)さんの当て書きで、昔から僕のプライベートの事も知っている人が書いているので、やりやすいというのもあります。

-鉄郎と向井さんには似ている部分があるということですね。

 あそこまで極端ではないですけど、演技って割と過大にやるものだと思うので、僕が持ち併せている要素を大きくするとああいうことになるのかなと…。嫌われないように演じなければと思いますけど、ちょっと面倒くさいなと思われるような、調子のいい役というのはこっちも調子良くなれるので、楽しいですね(笑)。

-具体的に似ているところを教えてください。

 さすがにあんな人ではないです。ちゃんと人の家に入る時はノックはします(笑)。ただ、僕もどこかに“いたずら心”みたいなのが常にあるので、それをいろんな方向に伸ばしていくとああなるのかなと思います。だから鉄郎に悪気はないし、毎回、事業に失敗をして帰ってくるんですけど、よくよく話を聞いていくと、周りの人が悪い人なんです。鉄郎はだまされている被害者でもあるので、ちょっとかわいそうだなと思います(笑)。

-西田脚本の面白さはどこにあると思いますか。

 やはりテンポがいいということと、悪い人がいないということ。鉄郎もそうですが、なんか面倒くさいけど、憎めないというか…、誰も悪い人にはならない。それは西田さんが一人一人のキャラクターに愛情を持っているからだし、台本も演出もすごく細かい。特に笑いの面にとても細かいので、そこは大事にしないといけないですし、僕がいる意味はそこかなと思います。

-今回は、向井さんに“笑いの部分”が求められているということですね。

 そうですね。オチャラケ担当というか、ボケと突っ込みで言えば、ボケ担当ですね。だから、三姉妹が突っ込みだとすれば、やっぱりボケ役のこっちが(場を)動かしていかなければいけない。テンポの部分は意識していて、僕の役柄の場合は、できるだけワンブレス、一息でせりふを言い切るように気を付けています。それがゆっくりになった時にいつもの鉄郎とはまた違ったキャラクターが見えてくれば、深みが増すかなと思いますが。

-テークごとにいろんなお芝居を試されている印象を受けましたが、意識的にそうしているのですか?

 そうですね。何だか飽きちゃうというか、違うことをやりたくなっちゃうんです(笑)。なるべく“捉えどころのない人”になっていたほうが、後々使い勝手がいいのかなと思っていて…。逆に言うと、何でもありというか、何をやっても「あの人ならやりそうだな」と思ってもらったほうが、後でいかようにも変化できると思います。

-鉄郎は“何でもあり”ということですね。

 「いつの間にかいなくなった」とか、「あの人はもうどこかで死んでいた」とか、そういうことも鉄郎ならあり得ると思うんですよ。そういった、どうにでも処理できる“つぶしが効く”キャラクターをやるにはいろんなことをやっておいたほうがいい。ずっと真面目にやっていくと、変なことを急にするのは駄目なんです。だけど、最初からごちゃごちゃ引っかき回しておくと、ハードルが下がるというか、何か少しでもいいことするとすごく“いい人”に見える。そこを今、熟成している最中です。

-ヒロインの常子を演じる高畑充希さんの印象はいかがですか。

 すごく真面目な方ですね。もう割と“出来上がっている”感じなので、何か僕が言うこともないです。朝ドラも前に経験されているし、本当にしっかりされています。ただ、だからこそ、ブレさせるのが大変。だから僕も高畑さんに対して、アドリブをやるんですけど…。

-どんなアドリブをしたのですか。

 使われるかは分かりませんが、ドキッとさせたいなと思って、顔が近くなった時にウインクをしたことがあります(笑)。固まっていました。それがキュートでした。

-確かに、高畑さんは、よっぽどのことがないと動じなさそうですね。

 もちろんお芝居もしっかりしているのですが、そこをあえて、あたふたしなければいけない時もあるので。別にNGになってもいいので、ちょっと肩の力を抜いてやってもらいたいなと思っていて。そういう時に僕みたいなキャラクターがいると楽なのかなと思います。

-今後、楽しみにしている部分を教えて下さい。

 戦後の闇市のところから、また大きく話が動いていきますし、常子の環境がどんどん変わっていきます。僕も含め、いろんな人が常子の運命を変えていくのですが、雑誌を作り始めたり、そういうきっかけになるシーンがたくさんあるので楽しみです。ただ、鉄郎の去り方は毎回一緒。何かきっかけを残して去っていくというのは、使い勝手のいいキャラクターだなと思います。

-鉄郎の基本スタンスは変わらないということですね。

 そのまま嫌なやつで終わるかもしれないし、まだ分かりません。僕のような役柄ってあまり評価されないんですが、それでもいいやと思っています(笑)。万人受けは絶対しませんが、見ている人が、「また何か来たな」「やらかしてるな」と思ってもらえる存在になれたらいいなと。その分、引っかき回さなきゃいけないので、エネルギーが必要ですけどね。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

鈴鹿央士「絶対に映画館で見て損はさせない映画になっています」『藁にもすがる獣たち』【インタビュー】

映画2026年9月29日

 出会うはずのなかった登場人物たちが、1億円をきっかけに複雑に絡み合いながら“金の獣”と化していく数奇な運命を描いた、曽根圭介の同名小説を城定秀夫監督が実写映画化した『藁にもすがる獣たち』が全国公開中。本作で、主人公のチャンネル登録者数“2 … 続きを読む

向井理、演出家・倉持裕と再びタッグ 6人で描き出す会話劇に「戻ってきたな。こういうことがやりたかった」 M&Oplaysプロデュース「ブランク」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月29日

 向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む

「生きることはこんなに面白いと示したい」制作統括が「ブラッサム」に込めた思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月28日

 ついにNHKで放送開始となった2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」。明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルにした主人公・葉野珠(石橋静河)が、苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人々の … 続きを読む

石橋静河「皆さんに『一歩前進してみようかな』と思っていただけたら」連続テレビ小説主演に懸ける思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月26日

 9月28日から2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」が、NHKで放送開始となる。主人公は、明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルにした葉野珠。彼女が苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人 … 続きを読む

page top