映画『アメリカ・ワイルド』の案内人、小澤征悦 「“俺でいいのかな”って…」

2016年5月19日 / 22:09

 アメリカ国立公園の大自然や絶景を巡る映画『アメリカ・ワイルド』が21日から公開される。オリジナル版でロバート・レッドフォードが務めた案内人を、日本版では俳優の小澤征悦が担当。実際にアメリカ留学経験のある小澤が作品の魅力や、アメリカへの思いを語った。
 アメリカの国立公園制度生誕100周年を記念して製作したこの映画は、アメリカが誇るイエローストーンや、ヨセミテなどの景色を、最高画質のIMAXカメラで撮影。約40分の上演時間で、観客を地球でもっとも壮大な“美の宮殿”に誘ってくれる。

ナレーションを担当した小澤征悦

ナレーションを担当した小澤征悦

──今回のオファーが来た時はどう思いましたか。

 オリジナル版を担当されているロバート・レッドフォードさんは名優中の名優。そんな素晴らしい人がやっているものの日本語版が俺でいいのかなと思いました。
 ちょっと緊張したのですが、言っていただけるなら一生懸命やろうと。すごく光栄なことですし、受けさせていただきました。

──ナレーションをする上で心掛けたことは?

 まずオリジナルの映像を見たのですが、ロバート・レッドフォードさんはあまりナレーション自体に抑揚をつけていなかったんです。声色も使ってないし、派手な演出もしていない。僕も今回の作品に関しては映像が持つ力というのがありますから、それとぶつからないように意識しました。その中でも棒読みになってはいけないわけで、ある種の感情も表現できたらと思ってやりました。

──難しい部分はありましたか。

 もちろん難しかったです。抑えている分だけ、(感情の揺れ)幅が少ないので。ただ、何回か撮っていくと映像と音楽と自分の声が「あ、はまったな」と感じる時があるんです。そんな瞬間はすごくうれしいです。
 結構不安ですよ。自分だけが(収録)ブースに入っているので、外の声は聞こえません。窓ガラス越しに、誰かが首振ったりしていると「全然ダメだな、こいつ」って言われてるんじゃないかなって…(笑)

──小澤さん自身が行ったことのある国立公園は登場しましたか。

 僕はアメリカで生まれて、日本で言う保育園ぐらいまで住んでいました。学生時代にも日本の大学を1年休学して、ボストン大学というところに留学しまして、その時に、英語の勉強と、結果的に芝居の勉強も初めてしたわけですが、その時にグランドキャニオンは行きました。

──どういう経緯で行かれたのですか。ozawa3_14_NPA_Image_14x09_300dpi_s

 留学当時、僕がどうしてもやりたかったのが、車でのアメリカ横断。東海岸のボストンから西海岸、サンフランシスコまで男友達と二人で横断しました。一週間、8日間ぐらい、ずっと運転しっぱなしで、夜は車の中で寝るみたいな…。その時に、自分たちが通っていた道が“ルート40”と呼ばれる「国道40号線」だったんです。
 ずっと砂漠地帯が続くのですが、途中にグランドキャニオンが近くにあって「どうせなら寄ろうぜ」となって行きました。パーキングに着いたのが夜中。周りは街灯もないし、真っ暗ですよ。周りがどんな景色かも分からない。次の日、明るくなってから、あらためてその絶壁の高さを見ると足がすくみましたね。

──今後、小澤さんが行ってみたい国立公園を教えて下さい。

 前から行きたいと思っていたのが「イエローストーン国立公園」。色鮮やかな間欠泉のあるところです。あとは「ヨセミテ国立公園」。セコイヤの木という樹齢何千年というのがある。屋久島の屋久杉みたいな。それはいつか見てみたいですね。

──小澤さん自身が、自然の中で“癒やし”を感じる瞬間というのは何かありますか。

 アメリカに居た時に、時々夜、外に出てやっていたことがあります。木が周りに生い茂っている場所なんですが、地面に座って、見上げると星空が見えるんです。願わくば風が吹いていてほしい。静けさの中で、風が吹くと、葉っぱがサーと鳴るんですが、その木々が擦れる音を聞くのが好きでしたね。一度は、本当に“神様が降りてきたんじゃないかな”と思う瞬間もありました。まあ、その時は酔っ払ってましたけどね(笑)。

ozawa2_04_NPA_Image_18x12_300dpi_s──作品の中でロッククライミングのシーンなどが登場しますが、小澤さんは体験したことはありますか。

 僕は『クライマーズ・ハイ』(2008年)という映画でロッククライミングのシーンを初めて撮りました。僕はこう見えて結構インドア派でね。よく「意外。キャンプとかやってそう」と言われるのですが、全然、喫茶店とかで本を読んでいるタイプです(笑)。

 ロッククライミングをやった時は体中が筋肉痛になりましたね。最初の訓練で“オーバーハング”というのをやらされたりして、それでヘトヘトになりました。指導の方に「みなさんもこういう訓練されるんですか?」って聞いたら「こんなことを初心者がいきなりやるわけないじゃないですか。役者さんは大変ですね。ハハハハ」って笑われて…(笑)。経験はありますけど、だからこそ、映画を見ると大変そうだな、すごいなと思いますね。

──最後に、この映画の見どころやメッセージをお願いします。

 アメリカの国立公園の大自然の圧倒的な素晴らしさはもちろん、映画を見ているだけで一つの冒険をしたような気分になれる作品だと思います。あとは、やはりお子さんに見てもらいたいですね。この映画を見ることで、子どもたちが「アメリカに行きたい」「自然、動物に関係する仕事がしたい」などと大自然に興味を持つようになってくれたら一番素晴らしいんじゃないかなと思います。

『アメリカ・ワイルド』
5月21日(土)より109シネマズ二子玉川ほかIMAX(R)3D版で公開
(c)VisitTheUSA.com


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

 日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。  主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

 40人の武装強盗団が、ニューデリー行きの特急寝台列車を襲撃! 刀を手に乗客から金品を奪う強盗団のリーダー、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は、大富豪タークルとその娘トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を人質に取り、身代金奪取をもくろむ。だがその列車 … 続きを読む

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

Willfriends

page top