【花燃ゆインタビュー】大沢たかお「時代を超えていく感じがすごく面白い」 群馬県令として産業振興に力を発揮した小田村伊之助役

2015年9月27日 / 10:00

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、明治時代に群馬県令(知事)として近代産業の振興に努めた小田村伊之助(後の楫取(かとり)素彦)を演じている大沢たかお。主人公の美和(井上真央)の姉、寿(優香)の夫となるが、寿を病気で亡くし、美和と再婚した。大沢が小田村の家族への優しい心遣いと、死んでいった志士たちへの思いを語る。

 

小田村伊之助(後の楫取素彦)役の大沢たかお

小田村伊之助(後の楫取素彦)役の大沢たかお

-寿と小田村はどんな夫婦だったのでしょうか。

 史実でもとても仲が良い夫婦のようでした。少ないシーンの中でも寿のことをすごく意識しました。激動の時代でなかなか会えない分、心でつながっていた関係だと思います。

-印象に残るシーンはありますか。

 撮影が始まってからちょうど1年ぐらいたちますが、最近の撮影では長州藩のナンバーツーまで行った割には、泥んこになりながら頬かむりまでして農作業をやっています(笑)。でも、当時の人々は自分自身の中に大きな改革を強いられたわけですから、小田村の姿は象徴的ですよね。時代を超えていく感じがすごく面白いです。

-小田村という人物について感じるところは?

  小田村は「日本はもっといい国にならなければいけない」と思った一人の人間、ワン・オブ・ゼムでいいと思っています。人間は全ての人に華がある。そこを丁寧に演じて後半の「花燃ゆ」を作っていきたいと思っています。最初に登場したころの小田村の熱い感じや、未来に対する強い信念や、ぶれない感じは最後の最後まで通してあげたいと思います。

-小田村は亡くなっていった人たちへの思いを全部背負っているところがありますか。

 美和もそうですが、心の深いところでそういう気持ちはあります。何人もの人が志半ばで倒れたのを見ているわけですから、背負わざるを得ない。彼らの生きざまが心に刻み込まれて、使命を感じて行動しているのだと思います。

-幕末の印象は?

  みんなが世の中を何とかしようとする状況は、争いや無残な死も生み出しますが、誰も世の中を悪くしようとは思っていませんし、幕末はエネルギーに満ちあふれた時代だとあらためて思います。今の時代はそのエネルギーがどこに行ったのかなと思います。

-楫取素彦と名を変え、群馬県令に就任しますね。

 彼の中にどこまで未来の青写真があったのかは分かりませんが、楫取は「子どもが学ぶことが一番大事だ」という考えを群馬でも実践します。それは全国に広がり、後に日本全体が高い学力を得ることにもつながりました。産業の振興には苦労しますが、美和や寿と力を合わせて新しい時代にぶつかっていく様子は今後の見どころになると思います。

-やがて美和と再婚しますが、美和にとっては初恋の人ですね。

 でも意外と美和は(禁門の変で自害した前夫の)久坂玄瑞(東出昌大)のことを引きずっていますよ(笑)。(小田村としては)「もういいんじゃないの」という思いもあるんですけど。

-“座長”としての井上真央さんはいかがですか。

 彼女の真面目さとひたむきさにみんなが付いていっているんだと思います。いつも安定して撮影現場にいようとする姿がいいですね。だからすごく現場が落ち着いている。彼女がそんな空気を作っていると感じています。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

目黒蓮が抱いた“継承への思い” 妻夫木聡、佐藤浩市から受け取った“優しさ”と俳優としての“居住い” 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年11月9日

 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」への出演発表時、“物語の鍵を握る重要な役どころ”という情報のみだった目黒蓮演じる謎の人物。そこから約2カ月、11月2日放送の第4話でようやくその正体の一端が解禁された。男の名は中条耕一、佐藤浩市演じる山王 … 続きを読む

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

Willfriends

page top