【映画コラム】どちらも映画館で見るべき映画『最後の決闘裁判』と『DUNE/デューン 砂の惑星』

2021年10月15日 / 07:30

壮大な序章Duneデューン 砂の惑星』

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 かつてデビッド・リンチ監督が映画化(84)したフランク・ハーバートのSF小説を、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督が新たに映画化したスペクタクルアドベンチャー。2部作の第1弾で、原作の前半部分のみを描いているが、それでも2時間35分という長尺だ。

 人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いた西暦1万190年。一つの惑星を一つの大領家が治める厳格な身分制度が敷かれる中、レト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)は、通称「デューン」と呼ばれる砂漠の惑星アラキスを治めることになった。

 アラキスは抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の生産地。アトレイデス家は莫大な利益を得るはずだったが、それは皇帝とメランジの採掘権を持つハルコンネン家による罠だった。

 やがて、レト公爵は殺され、側室のジェシカ(レベッカ・ファーガソン)と息子のポール(ティモシー・シャラメ)も命を狙われることなる。

 最初は、なじみのない名称や耳慣れない固有名詞の羅列に戸惑うが、やがて、ビジュアルの素晴らしさ、独特の質感や色遣い、ハンス・ジマーの音楽、地響きがするような音響効果が相まった世界に圧倒される。リンチはこの壮大なSFとの戦いに敗れたが、ヴィルヌーブは見事にものにした感がある。それもまだ序章に過ぎないのだ。

 同じくヴィルヌーブ監督作の『メッセージ』(16)では、日本の米菓「ばかうけ」の形に似た空中を浮遊する物体が話題となったが、今回も浮遊物が多数登場する。これは彼の好みなのだろう。それもまた面白い。

 コロナ禍の影響もあり、小粒で渋い映画が目立つ中、久しぶりに映画館で見ることが必須だと感じさせる映画が登場したと言っても過言ではない。(田中雄二)

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