【映画コラム】 トム・クルーズからシュワちゃんまで。来日会見アラカルト

2013年2月23日 / 17:40

 

アーノルド・シュワルツェネッガー

 常にハイテンションでマシンガンのように言葉を発射するクエンティン・タランティーノ監督。自身初の西部劇『ジャンゴ 繋がれざる者』のアイデアについて「『イングロリアス・バスターズ』のキャンペーンで日本にいたとき、日本でしか売っていないエンニオ・モリコーネたちのマカロニ・ウエスタンのサウンドトラックをホテルで聞いていたら、突然この映画のアイデアが浮かんだんだ。パソコンがなかったから、慌ててホテルの便箋にメモを書いたよ」と明かした。ちなみにマカロニ・ウエスタンとは1960~70年代に作られたイタリア製西部劇のこと。欧米では“スパゲティ・ウエスタン”と呼ばれるが、日本では映画評論家の故淀川長治さんが“マカロニ”と改名して通例となった。

 『フライト』で複雑な心の問題を抱えた機長を演じたデンゼル・ワシントン。かつての『フィラデルフィア』の弁護士や『トレーニング デイ』の刑事の他、最近も『アンストッパブル』の機関士、『デンジャラス・ラン』の元CIA工作員とさまざまな“職業”の男を演じている。その演じ分けについて聞かれると「もちろん演じる前にリサーチはするけど、どの役も完全につかんだという感覚はまだ持ったことがないんだ」と優等生発言。「息子から『二郎は鮨の夢を見る』の話を聞いたからぜひ店に行ってみたい。誰か連れてって」と気さくな一面も披露した。

 さて、今回のトリは淀川さんが名付けた“シュワちゃん”の愛称でも親しまれるアーノルド・シュワルツェネッガーに飾ってもらおう。彼の俳優としての来日は実に10年ぶりのこと。本格的な復帰作『ラストスタンド』で田舎町の保安官を演じている。シュワちゃんは「カリフォルニア州知事を経験し、普通の人々が生きていくことがいかに大変かを知った。そのことが自分の世界観を変え、キャラクター選びや役作りにも反映された。今回は、弱みを持ち、落ちぶれた男という今までとは全く違うキャラクター。『もう一度悪と戦えるのか』と自分に問い掛けるところが新しかった」と語る。筋肉を強調した超人的なヒーローから人間味にあふれた初老の男へと見事に変身した彼の姿は見ものだ。

 2月にしてすでにめじろ押しの感がある来日記者会見。今度はいつ誰がやって来るのだろう。楽しみだ。(田中雄二)

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