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NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、激動の幕末に長州藩を率いた藩主毛利敬親を演じている北大路欣也。敬親は家臣の意見に対してよく「そうせい」と言って意見通りにやらせていたために「そうせい侯」と呼ばれていたが、有能な若者を次々と登用した先見の明のある理想的なリーダーともされ、人物像が確定していない。CMでの軽妙な声の演技が高く評価される一方、人気ドラマで重厚な存在感を発揮し続ける変幻自在の活躍ぶりが話題の名優が、敬親の実像を語る。
世間的には、すごいのかすごくないのかよく分からないんですよ。でも僕は司馬遼太郎先生の「恐ろしいほど寛容な人」という敬親の人物評を信じます。並外れた寛容さを持っていたということです。若い人の情熱につい「そうせい」と言ったのではないでしょうか。敬親は人の話がたくさん聞ける人。逆に言えばうまくしゃべらせるということです。敬親だって、自分の決断には命が懸かっている。生半可な気持ちでは生きていけません。
皆さんのいろんな話を聞いて自分で膨らませていきます。そして、現場で相手役の俳優さんと会って生まれるものもある。一秒一秒が生きているんです。
藩主の立場で入ったわけですから、胸を張って腹に力を入れて萩入りしました。あそこの空気や風を吸い、人とも出会いました。最初のシーンで現地の空気を吸えたことがこれから撮影を進める上でとても大きいです。いまや、天気予報を見ていても長州の方が気になるぐらいです(笑)。
非常に飾らない方で、柔軟性がありますね。だからいろんな役に挑戦されるんだと思います。
前回はこっちから見たけど、今回はあっちから見てというふうに、歴史を遠くから一周するような感じです。敬親をやる人はこれからもたくさんいらっしゃるでしょうが、いろんな人が敬親をやって、それが歴史の全体像になる。その中の1人だと思っていただければ。
縦社会ということをしっかりと感じること。そして次に横社会。それは友人、家族、恋人など。しっかり縦と横を大切にしないとパワーが生まれないんです。その中のどこに僕が演じる敬親が位置しているのかをしっかり分かっていないと駄目ですね。
する必要のないときにはしません。でも気が付いたときは言わせてもらいます。それに、僕らも時々発見があるんです。いまの若い人ってこういう感覚でこれを捉えるんだなとか、逆に教えられることもあるんですよ。
何かを壊す勇気があってなおかつ再生させるエネルギーもないと改革はできない。そういう人物が固まって出てきた時代が幕末なんです。古いものもないといけないし新しいものも創り出さなければいけない。まさに温故知新が必要とされた時代ですね。幕末には殻を破りたいという人たちがたくさんいた。だから大河ドラマでも何年かに一回は幕末物があるじゃないですか。僕も25歳の時に初めて出演した大河では坂本竜馬を演じさせてもらいました。
向学心とエネルギー、そして行動力です。生半可な気持ちではなく、あれだけの行動を起こす覚悟をしている。それを時代が応援する場合もあるし、許さない場合もあります。とにかく強い人、憧れますね。
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