【花燃ゆインタビュー】北大路欣也「天気予報を見ていても長州の方が気になります」 有能な若者を次々と藩政に登用した長州藩主の毛利敬親役

2015年5月9日 / 13:13

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、激動の幕末に長州藩を率いた藩主毛利敬親を演じている北大路欣也。敬親は家臣の意見に対してよく「そうせい」と言って意見通りにやらせていたために「そうせい侯」と呼ばれていたが、有能な若者を次々と登用した先見の明のある理想的なリーダーともされ、人物像が確定していない。CMでの軽妙な声の演技が高く評価される一方、人気ドラマで重厚な存在感を発揮し続ける変幻自在の活躍ぶりが話題の名優が、敬親の実像を語る。

 

 長州藩主毛利敬親役の北大路欣也

長州藩主毛利敬親役の北大路欣也

-敬親は歴史的な評価がはっきりしませんね。

  世間的には、すごいのかすごくないのかよく分からないんですよ。でも僕は司馬遼太郎先生の「恐ろしいほど寛容な人」という敬親の人物評を信じます。並外れた寛容さを持っていたということです。若い人の情熱につい「そうせい」と言ったのではないでしょうか。敬親は人の話がたくさん聞ける人。逆に言えばうまくしゃべらせるということです。敬親だって、自分の決断には命が懸かっている。生半可な気持ちでは生きていけません。

-監督やプロデューサーと敬親について話し合ったことは?

  皆さんのいろんな話を聞いて自分で膨らませていきます。そして、現場で相手役の俳優さんと会って生まれるものもある。一秒一秒が生きているんです。

-萩のロケに臨んだ時のお気持ちは?

  藩主の立場で入ったわけですから、胸を張って腹に力を入れて萩入りしました。あそこの空気や風を吸い、人とも出会いました。最初のシーンで現地の空気を吸えたことがこれから撮影を進める上でとても大きいです。いまや、天気予報を見ていても長州の方が気になるぐらいです(笑)。

-主演の井上真央さんはいかがですか。

  非常に飾らない方で、柔軟性がありますね。だからいろんな役に挑戦されるんだと思います。

-大河ドラマは8作目ですね。

  前回はこっちから見たけど、今回はあっちから見てというふうに、歴史を遠くから一周するような感じです。敬親をやる人はこれからもたくさんいらっしゃるでしょうが、いろんな人が敬親をやって、それが歴史の全体像になる。その中の1人だと思っていただければ。

-藩主という役を演じるに当たって気を付けたことはありますか。

  縦社会ということをしっかりと感じること。そして次に横社会。それは友人、家族、恋人など。しっかり縦と横を大切にしないとパワーが生まれないんです。その中のどこに僕が演じる敬親が位置しているのかをしっかり分かっていないと駄目ですね。

-若い方にアドバイスは?

  する必要のないときにはしません。でも気が付いたときは言わせてもらいます。それに、僕らも時々発見があるんです。いまの若い人ってこういう感覚でこれを捉えるんだなとか、逆に教えられることもあるんですよ。

-幕末物の面白さはどういうところにあるのでしょうか。

  何かを壊す勇気があってなおかつ再生させるエネルギーもないと改革はできない。そういう人物が固まって出てきた時代が幕末なんです。古いものもないといけないし新しいものも創り出さなければいけない。まさに温故知新が必要とされた時代ですね。幕末には殻を破りたいという人たちがたくさんいた。だから大河ドラマでも何年かに一回は幕末物があるじゃないですか。僕も25歳の時に初めて出演した大河では坂本竜馬を演じさせてもらいました。

-吉田松陰の魅力はどんなところだと思われますか。

  向学心とエネルギー、そして行動力です。生半可な気持ちではなく、あれだけの行動を起こす覚悟をしている。それを時代が応援する場合もあるし、許さない場合もあります。とにかく強い人、憧れますね。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第十七回「うつろい」朝廷内の権力闘争の傍らで描かれるまひろの成長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月4日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月28日に放送された第十七回「うつろい」では、藤原道長(柄本佑)の兄である関白・藤原道隆(井浦新)の最期が描かれた。病で死期を悟った道隆が、嫡男・伊周(三浦翔平)の将来を案じて一条天皇(塩野瑛 … 続きを読む

妻夫木聡「家族のために生きているんだなと思う」 渡辺謙「日々の瞬間の積み重ねが人生になっていく」 北川悦吏子脚本ドラマ「生きとし生けるもの」【インタビュー】

ドラマ2024年5月3日

 妻夫木聡と渡辺謙が主演するテレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル「生きとし生けるもの」が5月6日に放送される。北川悦吏子氏が脚本を担当した本作は、人生に悩む医者と余命宣告された患者の2人が「人は何のために生き、何を残すのか」という … 続きを読む

【週末映画コラム】台湾関連のラブストーリーを2本『青春18×2 君へと続く道』/『赤い糸 輪廻のひみつ』

映画2024年5月3日

『青春18×2 君へと続く道』(5月3日公開)  18年前の台湾。高校3年生のジミー(シュー・グァンハン)は、アルバイト先のカラオケ店で4歳年上の日本人バックパッカーのアミ(清原果耶)と出会い、天真らんまんでだがどこかミステリアスな彼女に恋 … 続きを読む

城田優、日本から世界へ「日本っていいなと誇らしく思えるショーを作り上げたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年5月3日

 城田優がプロデュースするエンターテインメントショー「TOKYO~the city of music and love~」が5月14日から開幕する。本公演は、東京の魅力をショーという形で世界に発信するために立ち上がったプロジェクト。城田が実 … 続きを読む

「光る君へ」第十六回「華の影」まひろと道長の再会からうかがえる物語展開の緻密さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月27日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月21日に放送された第十六回「華の影」では、藤原道隆(井浦新)率いる藤原一族の隆盛と都に疫病がまん延する様子、その中での主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の再会が描かれた。  この … 続きを読む

Willfriends

page top