エンターテインメント・ウェブマガジン
NHKの木曜時代劇「吉原裏同心」に出演する俳優の小出恵介がインタビューに応じ、時代劇初主演の感想と手応え、稽古を積んで挑んだ本格的な殺陣について、さらには今後の時代劇出演についての意欲を語った。
本作で小出が演じるのは、かつて豊後岡藩の下級武士だった神守幹次郎。幼なじみの汀女(貫地谷しほり)が夫から乱暴を受けているのを見かねた幹次郎は、汀女と共に故郷を飛び出し、江戸の吉原に流れ着く。薩摩示現流の使い手である幹次郎は、正義感の強さと剣の腕を見込まれて吉原の自警組織“四郎兵衛会所”で裏同心として働くことになる。
最初は正直なところ「まいったな。とても無理だ」と思いました。でも、時代劇には早めに挑戦してみたかったし、立ち回りも自分の体が動けるうちにやっておきたいと思っていたので、これはいい機会だと思って飛び込みました。
三船敏郎さん、仲代達矢さん、勝新太郎さんなど、立ち役の方に注目しながらいろいろな映画を見ました。ところが皆さんのスタイルがまるで違ったので、結局「何でもありなんだ」、「自分なりの立ち役の在り方を見つければいいんだ」というところに行き着きました。それが時代劇の立ち役の醍醐味(だいごみ)なんだと思うと逆にテンションが上がりました(笑)。
“手に付く”という感覚を身に付けたいと思ったので、劇用の刀を家に持って帰って触ったり、撮影の空き時間にも常に触るようにしていました。実際には本番をこなすことが何よりも成長につながります。稽古でやったことも本番を終えるとまた違った形で上達したことが実感できます。今まではそれを積み重ねてきた感じです。今でも週に1~2回は稽古をしています。殺陣をすると今まで使ったことのない筋肉の疲労や体のだるさは感じますが、やればやるほど本当に楽しいです。
時代劇は現代劇と比べるとリアリティーの置きどころがないので、やっぱり違うと思います。それに現代劇を演じる場合はどこかに逃げ場がつくれますが、僕は時代劇については何も知らないし自分の中で何の手だてもないので難しい。だからこそ思い切って飛び込みたいと思いました。武士の生き方や言葉遣いを崩すのではなく、自分から近づいていきたいと思ってやっています。
名前が“幹次郎”というぐらいですから、正統派時代劇の立ち役という感じの性格で、真っすぐでたくましい人です。今まではこういう役をほとんどやってこなかったので、最初は幹次郎の“核”を見つけるのが大変でした。でもこの役は、細かいことをいろいろと考えてやる役ではないと気付きました。今は自分の中にある恥ずかしさや照れ、自信のなさを克服すれば、とても楽しく演じられる気がしています。幹次郎は頭のてっぺんから足の爪先まで正しく真っすぐな人なので、自分とはだいぶ性格が違いますが、そこがいいですね。幹次郎を演じることによって、自分もポキポキと補正されているみたいです。人間性の矯正ベルトみたいな感じで(笑)。
悪いやつをどんどん成敗していくというストーリーなのですごく魅力があると思います。見ている方も思い切って(ドラマに)酔えばいいのかなと思います。僕はよく歌舞伎を見に行きますが、それに近い感覚です。登場人物も悪いやつは気持ちいいぐらいに悪いし、いいやつはあくまでかっこいいところが魅力です。気持ちよくてあっぱれという展開も魅力の一つかなと思います。
最初は、やらなければいけないことをこなすだけで精いっぱいでしたが、今はあまりいろいろなことを意識せず、自然にその場にいられるようになりました。慣れたこともありますが、自分の主体性みたいなものが演技の中に出せるようになってきました。言葉遣いも、最初からナチュラルにしゃべるよりは硬い方がいいと思っていました。自分で言うのも恥ずかしいんですけど、下手くそが頑張ってそれっぽくやっている方が、見ている方には気持ち良く映るのかなと思いました。
まだ撮り終わっていないので、自分の中ではまだまとまっていないんですけど、感覚としては(時代劇は)素直に楽しいです。違う作品や違うチームでやるとまたいろいろと勝手が違ってくるとは思いますが、今回に関しては非常に楽しくやらせてもらえたなと思っています。
ドラマはNHK総合テレビで6月26日午後8時から毎週木曜オンエア。全12回。
映画2025年12月28日
今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】 2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む
ドラマ2025年12月26日
今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む
映画2025年12月24日
脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む
映画2025年12月23日
2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む
映画2025年12月20日
『楓』(12月19日公開) 須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む