鈴木亮平「この映画の、受け入れることの強さ、受け入れることが成長につながるというテーマに感動しました」 映画『バズ・ライトイヤー』【インタビュー】

2022年6月30日 / 07:00

 ピクサー・アニメーション・スタジオの代表作「トイ・ストーリー」シリーズで活躍した、おもちゃのバズのルーツが明らかになる長編アニメーション『バズ・ライトイヤー』が7月1日から公開される。バズのモデルは、スペース・レンジャーのバズ・ライトイヤーという映画の主人公。本作は、バズの持ち主のアンディが大好きだったこの映画の物語を描く。今回、バズ役の日本版声優を務めた鈴木亮平に、バズというキャラクターへの思い、映画のテーマ、吹き替えの裏話などを聞いた。

バズ・ライトイヤー役の鈴木亮平 (C)エンタメOVO

-この映画を見て、心を動かされたテーマや価値観、教えられたことなどはありましたか。

 いろいろあるんですが、一番は「受け入れること」ということですかね。バズは過去の自分の失敗も、自分が完璧なスペース・レンジャーではないということも受け入れて、そこから彼の成長が始まっていきます。そして、周りの仲間を受け入れて、信じることを学んで成長していきます。あとは、バズの時間は途中で止まってしまうので、彼が時間の経過を受け入れる話でもあると思います。時間が進む無常さも全て受け入れて、だからこそ今の人生や仲間は素晴らしいと気付くところが、この映画のテーマだと思います。僕は、この映画の、受け入れることの強さ、受け入れることが成長につながるというテーマに感動しました。

-今回、バズの声を演じてみて、改めて感じたことはありましたか。

 今回は、バズの人生の一部を切り取って描いているので、彼がなぜスペース・レンジャーになったのかは描かれていません。だから、彼が訓練していた時代も見たいと思いますし、この話の後はどうなるのかとか、奥行きが果てしない物語ですよね。

-今回は“人間のバズ”でしたが、これまでバズの声といえば、所ジョージさんのイメージがありました。今回、演じるに当たってプレッシャーは感じましたか。

 正直にいうと、プレッシャーは非常にありました。僕も、アンディと同年代で、所さんのバズで育ってきているので、「どうすれば見る人が納得してくれるのか」と考えましたが、クリス・エバンスさんが声を入れられたものを見て、方向性がはっきりと分かりました。それは、「トイ・ストーリー」シリーズのバズとは完全に違うものにする、主人公として、人間としてのバズを表現するということだと思いました。とはいえ、「さあ行くぞ!」の言い方を、場面によっては、観客が気付かないようなレベルで、コンマ何ミリか所さんに寄せて、英語版と聴き比べてみたら、ちょっとやってるなぐらいの話なんですが、そういうこだわりは入れたつもりです。最初はバズの声に違和感を抱くのは当然だと思いますが、聴いているうちに、物語を見ているうちに、「あっ、これはおもちゃのバズじゃないな」ということが分かってくるはずなので、見てくだされば、皆さんにも納得していただけると思います。

-では、実際に自分が吹き替えた映画を見た印象は?

 恐らく観客の皆さんと同じだと思いますが、最初は、「あれ、所さんのバズじゃない」と自分でも思いました(笑)。でも、「トイ・ストーリー」シリーズとは世界観が全く違って、遥かにリアルに描かれているので、気が付けば、自分がやっていることも忘れて、「バズ、渋い声だな」と思って聴いていました(笑)。

-この映画のバズは、誰にも頼らず、自分一人で全てを背負い込んでしまうところがありますが、鈴木さん自身はいかがでしょうか。

 非常に共感できますね。僕も20代の後半になるまでは、全く同じような感じでした。人から評価されたいし、頼れる人だと思われたい、しかも自分にはその価値があるというか、一人でできると思っていました。全くこの映画のバズと同じです。そこから、「何て自分は何もできないんだ」とか、「人と比べて劣っている俳優なんだ」と気が付いて。そうなったときに、人が自分のことを信用してくれるようになった感じがします。頼られたいとか、頼れるようにしなければと思っているうちは、多分、人から見ると頼りたくないんですよね。自分の弱さを受け入れた人にこそ、ほかの人も弱みを見せてくれるというか、頼ってくれるんじゃないかなという気はします。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

舞台「キングダムII ―継承―」三浦宏規・高野洸・山本千尋・山口祐一郎、「死力を尽くさなければいけない」作品に再び挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月12日

 累計発行部数1億2000万部を突破した、原泰久による大ヒット漫画を原作とした舞台の第2弾となる「キングダムII ―継承―」が、8月9日から上演される。本作は、苛烈な戦乱の中にある中国・春秋戦国時代を舞台に、戦災孤児の少年・信と、のちの始皇 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」戦国の世の難しさを印象付けた播磨攻略戦【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年6月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。小一郎と秀吉が播磨攻略に難渋する様子を描いた6月7 … 続きを読む

山本耕史、「RENT」に続き全編英語上演に挑む「ゼロからのスタートだけどやるしかない」 日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月11日

 山本耕史が、ゆりやんレトリィバァとブロードウェイで活躍するキャストとともに挑む、日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」が、8月19日から上演される。本作は、1997年に映画をもとに誕生し、トニー賞作品賞を含む9部門にノミネー … 続きを読む

吹越満 俳優になった理由は「映画に出たかったから」昭和の文豪・谷崎潤一郎原作の『鍵』で主演【インタビュー】

映画2026年6月10日

 数々の映画やテレビドラマ、舞台まで幅広く活躍し、その顔を見ない日はないと言っても過言ではない名優・吹越満。その主演作『鍵』が、6月12日から公開となる。  吹越演じる主人公・剣持耕三は、医師から余命半年の宣告を受け、その恐怖を忘れるため、 … 続きを読む

【映画コラム】5月の公開映画から

映画2026年6月5日

『サンキュー、チャック』 (5月1日公開)★★★ チャックとは一体何者なのか  大規模な自然災害と人災が次々と地球を襲い、世界は終わりを迎えつつあった。すると、街頭やテレビ、ラジオに突如として、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい … 続きを読む

page top