1月9日放送スタート!「三谷幸喜さんの脚本の着眼点が面白い、新しい鎌倉時代の物語」小栗旬(北条義時)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年1月2日 / 12:00

 2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が1月9日からNHKで放送開始となる。「新選組!」(04)「真田丸」(16)を手掛けたヒットメーカー、三谷幸喜のオリジナル脚本の下、源平合戦から鎌倉幕府誕生に至る時代を背景に、鎌倉幕府の最高権力者に上り詰めた2代執権・北条義時の生涯を描く物語だ。主演は、これまで数々の大河ドラマに出演してきた小栗旬。放送開始を前にドラマの見どころ、撮影の舞台裏などを語ってくれた。

北条義時役の小栗旬 (C)NHK

-出演者発表の際に「大河ドラマの経験は、生涯一度は体験したい」というコメントを出していましたが、昨年6月にクランクインして半年ほどたった今の気持ちは?

 実際にやってみると、それほど普段と変わらないな、と。ただ、道のりが長いので、なかなか大変だと思うことは多いです。ほぼ毎日、撮影をしているので、不思議な感覚です。ゴールはまだ全然見えませんし、それでいて、もう半年が過ぎている。普段の撮影は「仕事に行っている」という感覚ですが、今回は生活の一部になっているようで、「なるほど、こういうことをライフワークというのかな」という感じです。

-待望の大河ドラマ初主演ですが、主演として現場で心掛けていることは?

 今回は、本当に何もしていません(笑)。皆さんそれぞれ経験があり、いろいろなところで自分の現場を持たれてきた方たちばかりなので、僕が「こんな現場にするぞ」と引っ張っていく必要がないんです。それはすごく助かるな、と。だから、僕もいたいようにいて、やりたいように芝居をさせてもらっている、という感じで。本当に居心地よくやらせてもらっています。

-三谷幸喜さんの脚本の印象を教えてください。

 初めて脚本を読んだとき、「なるほど、こういう切り口で始めるんだ」とすごく感じました。源頼朝を推挙して挙兵するまでが、北条家のホームドラマみたいなんです。大河ドラマはそんなふうに家族の物語から始まることも多いと思いますが、三谷さんらしいユーモアもあり、皆さんに楽しんでいただける作品になるのではないでしょうか。また、今回の三谷さんの脚本は「去り行く人たちの美学」みたいなものが、非常にかっこよく描かれています。それはちょっと「うらやましいな」と。皆さんの「散り際」がものすごくかっこいいんですけど、僕は最後まで去らないですから(笑)。

-三谷さんの脚本はユニークなせりふ回しにも定評がありますが、その辺はいかがでしょうか。

 普段、時代劇の場合は「ちょっと」という言葉を使ってはいけないと思って参加するのですが、三谷さんの脚本には「ちょっと」が結構出てくるんです。それを見て、「言っていいんだ!?」と(笑)。頼朝役の大泉(洋)さんも「ちょっといいかな?」というせりふがあって、「まさかこんなせりふを大河で言うとは思わなかった」と言っていましたし(笑)。時代劇ではその時代に合った言葉を使わなければいけないので、普通はアドリブを挟むことが難しいのですが、今回はそういう縛りが薄い分、より面白くなっている部分もあるのではないでしょうか。

-主人公の北条義時については、これまで半年ほど演じてきて、どんな人物だと捉えていますか。

 あくまで僕たちが作っている作品の中の話ですが、義時はもともと、自分の置かれている立場にそれほど不満を持っていない青年だったんです。戦にもそれほど興味がなく、米蔵で米の勘定をしている方が楽しい、と言っていたぐらいで。それが、兄の宗時(片岡愛之助)を筆頭にした「源氏が平家に反旗を翻す」という動きに巻き込まれていく。そこから頼朝の横でさまざまな政治のあり方を見てきた結果、だんだん清濁併せ飲む計算高い人になってくる。歴史劇としてはそれが面白いところなのでしょうけど、演じている僕としては、あんなに真っすぐだった青年が、少しずつ「家族を守るためには、こうせざるを得ない」ということに手を染めていくところに悲しさもあって…。

-義時はやがて鎌倉幕府内での権力闘争に巻き込まれていきますが、小栗さんは権力闘争に対してどんなイメージを持っていますか。

 いつの時代もあることなので、人間にとっては避けられないことなのかなと。僕らもそういう歴史の上にいるので、一概に「醜い」とも言えませんし。その裏にあった物語を描くのが歴史劇ですし、単に「俺は権力が欲しい」というだけではない事情が分かると、そこに人間ドラマが見えてくるはずです。義時の場合も、決して権力が欲しかったわけではなく、守らなければいけない人たちが増え、「この人たちを守るためには、こう決断をせざるを得ない」ということを繰り返した結果、権力闘争に加わっているだけで。そんなふうに「この人の本来の心根はどうだったんだろう?」ということが見えてくると、受け取り方も変わってくるのではないでしょうか。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『六人の嘘つきな大学生』(11月22日公開)  大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考に残った6人の就活生への課題は「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨むこと」だった。  全員での内定獲得 … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top